「せっかく英語学習の教材を買ったのに、子供が全然続けてくれない」「毎日『英語の時間だよ』と声をかけるのが親子ともにストレス」――そんなお悩みはありませんか?多くの保護者が、子供の英語学習の「継続」という壁にぶつかります。学習ツールや教材を用意するだけでは、なかなか習慣は身につかないものです。この記事では、子供が自ら進んで英語に触れたくなる、その根本的な鍵について考えていきます。
子供の英語学習、継続の鍵は「内発的動機」にある
子供が何かを学び続ける原動力は、大きく二つに分けられます。一つは、親からの「ご褒美」や「叱られるから」という外からの刺激(外発的動機)。もう一つは、「面白いから」「できてうれしいから」という内側から湧き上がる気持ち(内発的動機)です。
たとえば、「このプリントを終わらせたらお菓子をあげる」という約束で取り組ませるのは、外発的動機に基づく方法です。短期的には効果があるかもしれませんが、ご褒美がなければやらなくなるリスクがあります。一方、「この英語の歌、かっこいい!自分でも歌ってみたい」と感じて繰り返し聞くのは、内発的動機による行動です。この場合、子供は誰に言われなくても自発的に取り組み、その過程そのものを楽しみます。
「やらされている」学習が続かない理由
保護者の「英語をやってほしい」という気持ちが強すぎると、学習はどうしても「やらされている」ものになりがちです。子供は敏感にその空気を感じ取り、英語自体への興味よりも、「親の顔色をうかがうこと」「叱られないようにすること」に意識が向いてしまいます。これでは、英語学習が負担や義務になってしまい、長続きしません。
大切なのは、保護者の役割を「監督者」から「サポーター」へとシフトさせること。英語学習を「強制する」のではなく、子供の中に「学びたい」という気持ちの種を見つけ、それを育む環境を整えることに焦点を当てましょう。
| 外発的動機(外から与えられる) | 内発的動機(内から湧き上がる) |
|---|---|
| ご褒美(お菓子、お小遣い、ゲーム時間) | 好奇心(「これなに?」「もっと知りたい」) |
| 罰・叱責(「やらないとダメ!」) | 達成感(「できた!」「わかった!」) |
| 他者との比較(「○○ちゃんはできてるよ」) | 没頭・楽しさ(「おもしろいからついやってしまう」) |
| 義務感(「やらなければいけない」) | 有能感(「自分はできる」という自信) |
外発的動機だけに頼ると、その刺激がなくなると行動も止まってしまう可能性があります。一方、内発的動機は、子供自身がエンジンとなるため、持続性と深い学びにつながります。理想は、内発的動機を主軸としつつ、時には外発的動機でうまくきっかけを作ることです。
内発的動機を育むために保護者ができること
では、具体的にどのようにして子供の内発的動機を育てればよいのでしょうか。それは、一方的に「教える」姿勢を手放し、子供の「興味のアンテナ」に寄り添うことから始まります。
- 子供の「好き」から始める:車が好きなら英語の車の図鑑を一緒に見る、音楽が好きなら英語の童謡を流すなど、既にある興味と英語を結びつけます。
- 「できた!」の瞬間を大切にする:小さな成功体験を積み重ねることが自信につながります。たとえ発音が完璧でなくても、「聞き取れたね!」「言えたね!」と共に喜びます。
- 強制せず、選択肢を与える:「今日はこの英語のアプリと、こっちの絵本、どっちがしたい?」と選択させることで、主体性を育みます。
- 親も一緒に楽しむ姿勢を見せる:保護者が英語の歌を口ずさんだり、簡単なフレーズを日常生活で使ってみたりすると、「英語は楽しいもの」というメッセージが自然に伝わります。
子供の英語学習において、保護者の最大の役割は「最高の環境整備士」になること。英語が楽しく身近に感じられる空間と時間を作り、その中で子供自身の「やりたい!」という気持ちが芽生えるのを見守り、後押しすることです。
次のセクションでは、この「内発的動機」を引き出すための、具体的な環境づくりのアイデアと実践的なサポート方法について、さらに詳しくご紹介していきます。
保護者の声かけを変えるだけ!学習意欲を高めるコミュニケーション術
教材や環境を整えても、子供のやる気が続かないと感じることはありませんか?その鍵を握っているのは、保護者の皆さんの日常的な「声かけ」かもしれません。何気なく発している言葉が、子供の気持ちを前向きにも後ろ向きにも変えうることを意識しましょう。ここでは、子供の内発的動機を育むために効果的な声かけのコツと、避けるべき言葉についてご紹介します。
結果ではなく「プロセス」を認める声かけ
声かけの最も重要なポイントは、「結果」ではなく「過程」に目を向けることです。「100点すごいね!」「単語をたくさん覚えたね!」という結果を褒める言葉は一見ポジティブですが、子供は「良い結果を出さなければ認めてもらえない」と感じ、失敗を恐れるようになるリスクがあります。
代わりに、子供が取り組んでいる様子や努力に焦点を当ててみましょう。
- 「今日も自分から英語の動画を見ようとしたんだね。すてきだよ。」
- 「この単語、何度も練習して書いていたね。頑張ったね。」
- 「難しい歌に挑戦しているね。そのチャレンジ精神がいいね。」
- 「あきらめずに最後まで聞いていたね。集中力がすごいよ。」
このような声かけの積み重ねは、「結果がどうであれ、頑張る自分は認められる」という安心感と自己肯定感を育み、挑戦する意欲の土台となります。
子供の興味に寄り添う質問の投げかけ方
「今日は英語何を勉強したの?」と漠然と聞くよりも、子供の体験や感情に寄り添う質問をすることで、学習を「親に報告する義務」から「自分の体験を共有する楽しい時間」に変えることができます。
子供の反応を引き出す効果的な質問例
- 「今日のレッスン(や動画)、一番面白かったところはどこ?」
→ 子供の関心がどこにあるのかを探り、その部分をさらに膨らませるきっかけになります。 - 「その単語、どんな時に使うと思う?」
→ 知識を暗記から実用的な理解へと結びつける思考を促します。 - 「このキャラクター(登場人物)、どんな気持ちだったかな?」
→ 物語や会話の内容を深く理解し、共感する力を養います。英語学習は言語だけでなく、異文化理解にもつながります。 - 「次はどんなことをやってみたい?」
→ 子供自身に次の目標を考えさせ、自発的な学習計画の第一歩とします。
絶対に避けたいNGワードとその理由
一方で、保護者としては励ましのつもりでかけた言葉が、逆に子供のやる気をそいでしまうことがあります。特に、次のような言葉は学習に対するプレッシャーや劣等感を生み出す可能性が高いため、注意が必要です。
- 「どうしてこんなのもできないの?」
理由:失敗を責める言葉は、子供の自信を大きく傷つけます。「失敗は許されない」という恐怖心から、新しいことへの挑戦を避けるようになる可能性があります。 - 「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はもっとできたよ」「お友達の◯◯ちゃんは…」
理由:他者との比較は、学習の目的を「他人に勝つこと」にすり替えてしまいます。自己肯定感が下がり、競争に疲れて学習そのものが嫌いになるリスクがあります。 - 「早くしなさい!」「ちゃんとやりなさい!」
理由:命令口調は、学習を「親からの強制」と感じさせ、自主性を奪います。プレッシャーから集中力を妨げることもあります。 - 「こんなことやってて意味あるの?」
理由:子供が楽しんでいる活動や興味の価値を否定することは、学習意欲の根幹を揺るがします。たとえ保護者には理解できなくとも、子供にとっては意味のある探求であることを尊重しましょう。
もし、ついこれらの言葉を言いそうになったり、言ってしまったりした時は、まず子供の気持ちを受け止め、別の言葉に置き換えることを意識してみてください。例えば、「どうしてできないの?」と言う代わりに、「ここが難しいんだね。一緒に考えてみようか」と声をかけることで、子供は「一人じゃない」と感じ、困難に立ち向かう勇気を持てるようになります。
無理なく続く!「英語タイム」を日常に溶け込ませる習慣化のコツ
内発的動機を引き出す声かけの次は、その動機を継続的な「習慣」に育てることが重要です。「やる気があるときだけ」では、長期的な力はつきません。ここでは、子供が無理なく、自分の生活の一部として英語に触れられるようになる具体的な方法をご紹介します。ポイントは「大きな負担」ではなく、「小さな成功体験」を積み重ねることです。
習慣化の最大の敵は「面倒くさい」という気持ち。それを乗り越えるには、始めるハードルを限りなく低く設定することがコツです。
いきなり「毎日30分」などと高すぎる目標を設定すると、達成できなかった時の挫折感が大きくなります。まずは「5分だけ」「1つの動画を見るだけ」「カードを3枚めくるだけ」など、確実に実行できる短い時間・少ない量から始めましょう。子供が「え、もう終わり?」と感じるくらいがちょうどいいのです。
- 5分チャレンジ: キッチンタイマーで5分を計り、その間は英語の歌を聴いたり、絵本を眺めたりします。
- 「ひとつ」ルール: 1日に「新しい単語を1つだけ覚える」「英語のフレーズを1つだけ言ってみる」と決めます。
新しい習慣をゼロから作るのは大変です。そこで有効なのが、すでに毎日行っている習慣(ルーティン)に紐づける方法です。「〇〇の後にやる」と決めておくと、「やるかやらないか」を毎回考えずにすみ、自然に行動に移せます。
- 朝の支度後: 保育園・幼稚園・学校に行く前に、5分間英語のアニメーションを見る。
- 夕食の後: 食後のデザートタイムに、家族で英語の歌を1曲流す。
- お風呂の前: お風呂に入る前に、お気に入りの英語の絵本を1冊開く。
- 寝る前: ベッドに入ってから、英語の子守唄や穏やかなストーリーを聴く。
子供は目に見える成果やご褒美にやる気を刺激されます。続けた日を記録することで、「自分はできている!」という達成感と自信が育まれ、さらに続ける意欲につながります。
- シールカレンダー: 英語タイムができた日に、好きなシールをカレンダーに貼ります。シールが連なっていく様子が楽しみになります。
- 簡単学習日記: ノートやホワイトボードに、「今日は“apple”と言えた!」「“Hello”の歌を歌った」など、一言でいいので記録します。
- 達成チャート: ゴール(例:20日分のマスを埋める)を決め、1日できたら1マスを塗りつぶします。ゴール達成時には小さなご褒美を。
保護者の役割は、この記録を一緒に楽しむことです。「わあ、今週はたくさんシールが貼れたね!」「この単語、覚えたんだ!すごい!」と、結果そのものよりも、続けているプロセスを認めてあげる声かけが大切です。記録は、子供の頑張りを可視化し、親子で喜びを共有するためのツールなのです。
習慣化は、歯磨きや着替えと同じで、特別なことではなく「当たり前」のことに変えていくプロセスです。短い時間から始め、生活の流れに組み込み、小さな成功を積み上げていく。この繰り返しが、子供の中に「英語は楽しい、またやりたい」という気持ちを定着させ、自発的に学ぶ姿勢の土台を作っていきます。
家庭を小さな英語圏に!環境づくりの3つの視点
声かけや習慣化のテクニックと並び、子供の英語学習を大きく支える要素が「環境」です。特別なイベントではなく、日常の生活空間そのものを少しずつ英語に親しみやすいものに変えていくことが、継続への最大の近道です。ここでは、家庭をまるで小さな英語圏のようにするための、視覚・聴覚・体験の3つのアプローチをご紹介します。
視覚的環境:英語にまつわるものを目につく場所に
子供は、目に入るものを自然に吸収します。「勉強」としてではなく、生活の背景として英語が存在する環境を作りましょう。壁に貼るもの、棚に置くもの、普段使うもののラベルを少し変えるだけで、視覚からのインプット量は格段に増えます。
- リビングや子供部屋の壁に、アルファベットや動物・果物のポスターを貼る。
- 絵本コーナーに、日本語の絵本と並べて英語の絵本や図鑑を置く。表紙が見えるように並べると興味を引きやすい。
- 冷蔵庫にマグネット式のアルファベットや単語カードを貼り、遊びながら触れられるようにする。
- おもちゃの収納ボックスに「Blocks」「Cars」「Dolls」などと英語でラベルを貼る。
- 食器棚の扉に「Cups」「Plates」と書いたメモを貼るなど、身の回りの物の名前を英語で表示する。
完璧である必要はありません。まずは「英語があるのが当たり前」という空間を、親子で一起に作ってみる気持ちから始めましょう。子供が「これなに?」と質問してきたら、それが学びの絶好のチャンスです。
聴覚的環境:BGMや音声を活用した「ながら聞き」
英語の音やリズムに耳を慣らすことは、リスニング力の基礎を作ります。重要なのは、「聞き流す」環境を意図的につくること。集中して聞かせるのではなく、食事の時間やおもちゃで遊んでいる時、移動中の車内などに、自然に英語の音が流れるようにします。
- 朝食やおやつの時間に、子供向けの英語の歌(ナーサリーライム)をBGMとして流す。
- 車での送迎中は、親しみやすい英語のオーディオブックや物語のCDをかける。
- 英語のレッスンで習った歌やチャンツ(リズムに乗せた言葉)の音声を、復習がてら遊び時間に流す。
- 動画配信サービスを利用する場合、英語の音声と日本語の字幕でアニメを見られるコンテンツもあります。まずは日本語字幕でストーリーを理解し、何度か見た後に英語音声のみに挑戦するのも一つの方法です。
音量は小さめにし、子供が他のことに集中しているのを邪魔しない程度にしましょう。あくまで「背景」にあることが継続のコツです。
体験的環境:遊びや日常動作に英語を取り入れてみる
最も効果が高いのは、英語を「学ぶ対象」から「使うツール」に変えることです。遊びや日常生活の一部にほんの少し英語を取り入れることで、子供は「英語=楽しい、役に立つ」と実感します。
- 家事のお手伝いで:「Please pass me the spoon.(スプーンを取ってください)」「Let’s wash the apples.(リンゴを洗おう)」など、簡単な指示や動作を英語で伝えてみる。
- おままごとで:「Would you like some tea?(お茶はいかが?)」「Thank you!」など、役になりきって簡単な会話を楽しむ。
- ボードゲームやカードゲームで:サイコロを振るときは「Roll the dice.」、順番を譲るときは「Your turn.」など、ゲーム中によく使うフレーズを決めて使う。
- 身支度で:「Put on your socks.(靴下をはいて)」「It’s a red shirt.(赤いシャツだね)」と、着ているものや動作を英語でコメントする。
保護者の英語力に自信がなくても大丈夫です。一緒に学ぶ姿勢を見せたり、知っている単語やフレーズを少し使ってみることから始めましょう。間違えても笑い飛ばせる、リラックスした雰囲気が、子供が臆せず英語に触れるための最良の環境です。
壁にぶつかったときの対処法:子供のやる気が下がったら
どんなに良い習慣や環境を整えても、子供の学習には必ず波があります。「昨日までは楽しそうだったのに、今日は机に座ろうとしない」「急に『もうやりたくない』と言い出す」――そんな瞬間は、保護者にとって不安なものです。しかし、これは学習の過程で誰もが通る自然な「スランプ」のサインです。ここで大切なのは、無理に押し進めようとせず、上手に軌道修正する方法を知ること。このセクションでは、子供のやる気が下がったときに、保護者が取るべき具体的なステップをご紹介します。
スランプのサインを見逃さない
まずは、子供の小さな変化を敏感にキャッチすることから始めましょう。スランプは「今日はやらない!」という大きな拒絶だけでなく、もっと些細な行動の変化として現れることが多いのです。
- 言動の変化:「英語タイム」の前になると、ぶつぶつ文句を言う、明らかに嫌そうな顔をする、渋々始める。
- 集中力・態度の変化:以前よりすぐに飽きてしまう。教材をいじるだけで、内容に集中していない。ため息をつく。
- 成果の変化:以前はできていた簡単な単語を忘れている。以前より反応が遅い。間違いが増えた。
一度「休む」「変える」という選択肢の大切さ
サインに気づいたら、「続けること」への固執を一度手放す勇気を持ちましょう。「毎日やらなければ!」というプレッシャーが、かえって英語嫌いを助長してしまうことがあります。ここで有効なのが、以下の柔軟なアプローチです。
「3日間は英語のことは忘れる」「今週末はお休み」など、明確な休憩期間を設けます。子供にも「〇日まではお休みだよ」と伝えることで、安心感を与え、心と頭をリフレッシュさせます。休んでいる間は、英語に触れることを一切強制しないことが鉄則です。
休むほどではないけれど、気分が乗らないときは、学習の方法や内容をガラリと変えるのが効果的です。
- メディアを変える:いつもの教材をやめて、子供が好きな海外のアニメを英語音声で観る。
- 活動を変える:机に向かう学習をやめ、英語の歌をかけて一緒に踊ったり、英語でかるたを作って遊んだりする。
- 場所を変える:リビングではなく、ベランダやカフェテリア風に模したダイニングで「英語タイム」を実施する。
この「変える」という選択肢は、「英語=つまらない勉強」という固定観念を壊し、「英語=楽しいことの一つ」という認識に戻すための重要なリセットボタンとなります。
目標を再設定する:小さな成功体験を作り直す
休憩や変化を経て、学習を再開するタイミングが来たら、次にすべきことは「目標のハードルを思い切り下げる」ことです。スランプの後は「以前と同じようにできない」ことへの挫折感が残りがちです。それを払拭するには、絶対に達成できる、小さな目標からスタートし、「できた!」という成功体験を積み直すことが最も効果的です。
- 「今日はこの絵本の表紙のタイトルを読むだけ」
- 「アルファベットの歌を1回だけ歌う」
- 「知っている動物の名前を英語で3つ言う」
- 「オンラインの学習サービスで、1つのミニゲームをクリアする」
この小さな目標を達成したら、必ず「できたね!」「1ページ読めたね!」と具体的に褒め、成功を一緒に喜びましょう。この積み重ねが、「自分はできる」という自信(自己効力感)を回復させ、次のステップへの意欲へとつながっていきます。
子供のやる気が下がると、「自分のサポートが足りなかったのかも」「環境が悪かったのかも」と、保護者の方が自分を責めてしまうことがあります。しかし、スランプは成長の過程で必ず訪れるものです。あなたのせいではありません。大切なのは、完璧な環境を作ることではなく、壁にぶつかったときにどうフォローするかです。この記事でご紹介した「休む」「変える」「小さく始める」という選択肢を、どうかご自身へのプレッシャーを軽減するツールとしても活用してください。あなたの柔軟な対応が、子供の長い学習の旅を支える最も強い力になります。
保護者自身が英語を楽しむ姿が最高の教材
家庭内の環境を整え、学習習慣をサポートすることはもちろん大切ですが、それ以上に強い影響力を持つものがあります。それは、保護者自身が「英語を楽しんでいる姿」を見せることです。子供は親の背中を見て育つと言いますが、英語学習においてもこれは真実です。「勉強させなければ」という義務感から解放され、「一緒に楽しむ」という姿勢へとシフトすることが、子供の自発的な意欲を引き出す鍵となります。
「学ばせたい」から「一緒に楽しみたい」へ
保護者が英語に関心を持ち、楽しそうに接している様子は、子供にとって英語を「楽しいもの」「身近なもの」と認識する最も強力なメッセージです。例えば、家事をしながら英語のポップソングを口ずさんだり、週末に家族で英語音声のアニメ映画を観たりする。そうした日常の何気ない瞬間が、英語を「特別な勉強」ではなく、「生活の一部」として定着させる土壌を作ります。
保護者が楽しんでいるものは、子供も「やってみたい」と自然に思うものです。英語学習を「親子の共通の趣味」の一つに昇華させましょう。
この際に大切なのは、保護者も完璧な英語を話そうとしないことです。むしろ、知らない単語があれば「これ、どういう意味かな?」と子供と一緒に調べてみたり、自分の発音に自信がなくても、歌やセリフを真似してみたりする姿を見せることです。それが、「学ぶことは恥ずかしいことではなく、楽しい探求である」というメッセージを伝えます。
保護者の挑戦が子供に与える影響
保護者自身が新しいこと(例えば、オンライン英会話に挑戦する、英語のレシピで料理を作ってみるなど)に取り組む姿は、子供にとって最高のロールモデルです。子供は、大人である保護者でさえも「学び続けている」「挑戦している」という事実から、学習者としての在り方を学びます。
「お母さん(お父さん)も頑張ってるんだ」という事実は、子供に「自分もやってみよう」という勇気と正当性を与えます。
この影響は、英語学習に限りません。困難に直面した時にどう対処するか、失敗をどう受け止めるかといった、学習全般に通じる重要な態度を、保護者の背中を通して吸収していきます。保護者が英語学習に前向きに取り組むことで、家庭内に「成長マインドセット」が醸成されるのです。
完璧を目指さない、間違いを恐れない姿勢を見せる
多くの日本人学習者が苦手意識を持つ「間違えることへの恐れ」。これは、子供の学習意欲を削ぐ大きな要因の一つです。この恐れを和らげる最も効果的な方法は、保護者自身が間違いを恐れず、笑い飛ばせる余裕を見せることです。
例えば、発音がうまくできなかった時に「あら、変な言い方しちゃった!もう一回やってみよう」と軽く言い直してみる。子供が間違えた時にも、「お母さんもよく間違えるよ。でも、間違えたら正しいのがわかるからいいんだよね」と声をかける。このような日常の積み重ねが、子供にとって英語を話すことに対する「安心感」を育みます。完璧でなくていい、挑戦することが尊いのだというメッセージは、言葉で説くよりも、態度で示す方がはるかに伝わります。
- 英語でジェスチャーゲーム:動物や動作の単語カードを用意し、保護者が英語で言いながらジェスチャー。子供がマネして答えます。役割を交代しても盛り上がります。
- 一緒に歌ってみよう:子供向けの簡単な英語の歌(Head, Shoulders, Knees and Toes など)の動画を見ながら、保護者も一緒に大きな声で歌い、体を動かします。
- おうち英語クイズ:食事の時に、テーブルの上のものを指さして「What’s this?」と質問。子供が「It’s a cup!」などと答えます。保護者も答える側になってみましょう。
- 絵本の読み聞かせ(ハーフ&ハーフ):英語の絵本を読み聞かせる時、簡単なページは子供に読んでもらい、難しいページは保護者が読む。一緒に「協力」して1冊を読み上げる達成感を味わえます。
保護者が英語に対してオープンで楽しむ姿勢を持つことは、どんな高価な教材よりも、子供の心に「英語は楽しい」という種をまくことになります。まずはご自身が、肩の力を抜いて英語に触れる時間を作ることから始めてみてください。その変化が、きっとお子さんの態度にも良い影響を与えるはずです。
よくある質問(FAQ)
- 子供が英語を「勉強」と感じて嫌がります。どうすれば楽しく感じさせられますか?
-
「勉強」という意識を変えることが第一歩です。遊びや日常生活の中に自然に英語を取り入れてみましょう。例えば、お風呂で体の部位を英語で言いながら洗ったり、おやつの時間に「I want an apple!」とリクエストするゲームをしたりするなど、英語を「使うツール」として体験させることで、楽しさが生まれます。また、保護者自身が楽しそうに英語の歌を口ずさんだり、映画を観たりする姿を見せることも非常に効果的です。
- 保護者の英語力に自信がありません。それでも家庭で英語環境を作れますか?
-
もちろん可能です。むしろ、完璧な英語力よりも大切なのは、「一緒に学ぶ姿勢」と「間違いを恐れない雰囲気」です。知っている単語やフレーズを少しずつ使ってみたり、「この単語の発音、どうだった?」と子供と一緒に調べてみたりするだけで十分です。大切なのは、英語を「特別で難しいもの」ではなく、「親子で楽しみながら触れられるもの」として位置づけることです。市販のCDや動画、アプリなどのリソースも積極的に活用しましょう。
- 習慣化を始めたのに、3日坊主で終わってしまいます。どうすれば続けられますか?
-
最初のハードルが高すぎる可能性があります。目標を思い切り小さくして、確実に達成できることから始めましょう。「毎日5分」から始め、「今日は3分だけでもOK」と柔軟に対応します。また、習慣を「歯磨きの後」「夕食の前」など、すでに定着している生活リズムに紐づけると、忘れにくくなります。シールカレンダーなどで「続けたこと」を目に見える形で記録し、小さな成功を一緒に喜ぶことも継続の大きな助けになります。
- 他の子と比べて進みが遅いと不安になります。比較せずに見守るには?
-
比較してしまう気持ちは自然なものです。しかし、英語学習は長距離走であり、個人のペースと興味が最も重要です。他の子との比較ではなく、「昨日の子供自身」と比べて成長した点に目を向けるように意識を切り替えましょう。「先週は言えなかった単語が今日は言えた」「以前より英語の歌を楽しそうに聴いている」など、小さな変化を見つけて認めてあげることが、子供の自信と継続意欲を育みます。
- 子供が「もうやりたくない」と強く拒否した時、どう対応すべきですか?
-
それは「休憩が必要」という明確なサインです。まずは子供の気持ちを受け止め、無理強いするのはやめましょう。「そうか、今はやりたくないんだね」と共感した上で、「じゃあ、今週はお休みにしようか」「代わりに英語のアニメを観るのはどう?」など、「休む」か「形を変える」という選択肢を提示します。強制すると英語嫌いを助長するリスクがあります。しばらく離れてから、また小さな目標から再開すれば大丈夫です。

