ビジネス英会話で会議をリードする!『ファシリテーション英語』実践フレーズ集

グローバルなビジネスシーンでは、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まる会議が日常茶飯事です。そんな場面で、ただ議題をこなすだけの進行役では、真の成果を生み出すことは難しいかもしれません。求められるのは、活発な議論を引き出し、建設的な合意へと導く「ファシリテーション」の技術。このセクションでは、英語での会議を成功させるファシリテーターの本質的な役割と、そのために必要なマインドセットについて深掘りします。

目次

ファシリテーターの役割とは? 会議の質を決める「中立の促進者」

ファシリテーター(Facilitator)とは、文字通り「物事を容易にする人」という意味です。会議の「司会者」や「議長」とは一線を画し、自ら意見を主張するのではなく、参加者全員が意見を出しやすく、建設的な議論ができる「場」を作ることに専念する中立的な促進者です。

ファシリテーターの3つの核心役割
  • プロセスの管理: 議論が脱線しないよう、時間と議題を管理し、ゴールに向かう道筋を示す。
  • 参加の促進: 積極的な人だけではなく、発言しづらい人にも声をかけ、多様な意見を引き出す。
  • 合意形成の支援: 対立する意見を整理し、共通理解や解決策を見つけるプロセスを支援する。

会議の進行役とファシリテーターの違い

混同されがちな「進行役」と「ファシリテーター」の違いを、以下のように整理できます。

進行役 (Chairperson)ファシリテーター (Facilitator)
立場: 議長。議論に参加し、自ら意思決定を行うこともある。立場: 中立の促進者。議論の内容には関与せず、プロセスに専念する。
焦点: 議題に沿って会議を時間内に進めること。焦点: 参加者全員の対話の質を高め、最適な合意に導くこと。
発言: 「私の意見では…」「我々は〜すべきだ」と自らの見解を述べる。発言: 「Aさんのご意見は…ということですね」「他にご意見はありますか?」と参加者の意見を引き出す。

例えば、新しいプロジェクトの方向性を決める会議では、進行役は自身の案を推すかもしれませんが、ファシリテーターは全員の案を公平に引き出し、整理して比較できるようにします。

英語でのファシリテーションが成功する3つのマインドセット

英語での会議では、言語の壁に加え、文化やコミュニケーションスタイルの違いが大きなハードルになります。以下のマインドセットを持つことが、成功への第一歩です。

  1. 「完璧な英語」より「明確なプロセス」を重視する
    文法や発音の細かい間違いを気にするよりも、議論の流れを誰もが理解できるように示すことが重要です。「今、何について話しているのか」「次に何をするのか」を簡潔な英語で常に共有しましょう。
  2. 「沈黙」を恐れず、多様性を意識する
    英語ネイティブの参加者が議論をリードしがちですが、非ネイティブや内向的な人の意見こそ貴重な場合があります。あえて間をとり、「I’d like to hear from someone who hasn’t spoken yet.(まだ発言していない方のご意見をお聞かせください)」と促す勇気を持ちましょう。
  3. 「意見の整理役」に徹する
    複雑な議論や対立が起きた時こそ、ファシリテーターの真価が問われます。自ら解決策を提示するのではなく、「So, we have two main opinions: A and B. Let’s list the pros and cons of each.(では主にAとBの2つの意見がありますね。それぞれの長所と短所をリストアップしましょう)」と、建設的に前に進むための「枠組み」を提供します。

英語でのファシリテーションでは、言語力そのものよりも、「場をデザインするプロセス力」がより強く求められます。次のセクションでは、このマインドセットを具体化する、実践的なフレーズを学んでいきましょう。

会議の成功は「事前準備」で8割決まる! セッティング英語

前のセクションでは、ファシリテーターの役割について考えました。では、具体的に何から始めればよいのでしょうか? 実は、ファシリテーションの成否は、会議が始まる前にほぼ決定しています。明確な目的の共有、適切なアジェンダの設定、参加者の準備状態など、会議前の「セッティング」がすべての土台となるのです。ここでは、そのために必要な英語フレーズと実践的な手順を紹介します。

アジェンダ共有と目的明確化のフレーズ

まず、会議の「何のために」「何を決めるのか」を明確に共有しましょう。「Objective(目的)」と「Outcome(期待する成果)」を区別して設定するのがポイントです。

  • Objective(目的): 会議を開催する理由。議論する「テーマ」や「目標」です。
    例: To discuss the Q3 marketing strategy. (第3四半期のマーケティング戦略について議論するため)
  • Outcome(成果): 会議終了時に得られる具体的な「アウトプット」や「決定事項」です。
    例: To finalize the key messaging and allocate the budget for the next campaign. (次回キャンペーンの主要メッセージを確定し、予算を配分すること)
ポイント

Outcomeを具体的に設定することで、会議が「ただ話し合う場」から「意思決定と行動を生む場」に変わります。参加者全員が同じゴールを目指せるよう、事前に共有してください。

会議招集のメールやチャットで使えるフレーズはこちらです。

  • 目的 (Objective) を伝える
    • The objective of this meeting is to… (この会議の目的は…です)
    • The primary goal for our session is to… (我々のセッションの主な目標は…です)
  • 期待する成果 (Desired Outcome) を伝える
    • By the end of this meeting, we aim to have… (会議終了時までに、…を得ることを目指します)
    • The desired outcome is to reach a decision on… (期待する成果は、…についての決定に至ることです)
  • アジェンダを共有する
    • Please find the detailed agenda attached. (詳細なアジェンダを添付します)
    • We will follow the agenda outlined below. (下記に概説したアジェンダに沿って進めます)

参加者の事前準備を促す丁寧なリマインダー

アジェンダを送るだけでは不十分です。参加者に「事前に何をしてきてほしいか」を具体的に、かつ丁寧に伝えることで、会議の生產性は飛躍的に向上します。

グローバルチームでは、タイムゾーンや業務習慣の違いから、資料に目を通す時間が限られていることも。リマインダーは早めに、そして明確に送りましょう。

  • 資料の事前確認を促す
    • I encourage everyone to review the attached materials in advance. (皆様には事前に添付資料に目を通していただくようお願いします)
    • Please come prepared having read through the background document. (背景資料を読み、準備を整えてご参加ください)
  • 質問や意見を事前に受け付ける
    • If you have any initial thoughts or questions on the agenda items, please feel free to share them beforehand. (アジェンダ項目について初期のご意見や質問があれば、事前にお寄せください)
    • This will help us make the most of our time together. (これにより、皆で過ごす時間を最大限に活用できます)
  • 時間と役割を確認する
    • The meeting is scheduled for 60 minutes. (会議は60分間の予定です)
    • [Name] will be taking notes, and [Name] will be presenting the first topic. ([名前]が議事録を担当し、[名前]が最初のトピックを発表します)
STEP
目的と成果を設定する

「何のために会議を開くのか(Objective)」と「会議後、何が決まっているべきか(Outcome)」を明確に文章化します。曖昧な表現は避け、具体的な動詞(decide, finalize, brainstormなど)を使いましょう。

STEP
アジェンダを作成・共有する

Outcomeを達成するための議論の流れを、時間配分と共にアジェンダに落とし込みます。各項目に責任者(Owner)を割り当て、事前準備が必要な項目には明記します。

STEP
参加者に準備を依頼する

会議の1〜2日前を目安に、アジェンダと資料を送付し、具体的な事前準備(資料確認、意見提出など)を依頼するリマインダーを送ります。時間、場所(またはオンラインミーティングのリンク)、役割分担も改めて確認しましょう。

例文ボックス:アジェンダ共有メールの文例

Subject: Pre-read & Agenda: Q3 Marketing Strategy Meeting

Hello Team,

I hope this email finds you well. This is a friendly reminder about our upcoming meeting to discuss the Q3 marketing strategy (Objective).

Our desired outcome is to finalize the key messaging pillars and allocate the preliminary budget for the upcoming campaign.

Please find the detailed agenda attached. To ensure a productive discussion, I kindly ask you to:

  • Review the attached market analysis report.
  • Come prepared with your top 2-3 ideas for key messaging.

The meeting will be held via online meeting tool. [Name] will be taking minutes.

Looking forward to our discussion.

Best regards,
[Your Name]

このように、会議前に「目的」「成果」「アジェンダ」「事前準備事項」の4点を明確に共有することで、参加者は意味のある貢献ができる状態で会議に臨めます。これが、活発で生產的な議論への第一歩なのです。

会議スタート! 場の雰囲気を作り、目的を全員で確認する

アジェンダを事前に共有し、準備が整ったら、いよいよ会議の開始です。この瞬間が、その後の会議の流れを決定づける非常に重要なタイミングです。参加者がリラックスして発言できる雰囲気を作り、全員が同じゴールを共有していることを確認する。ここでは、そのための具体的なフレーズとマインドセットを学びましょう。

アイスブレイクと場を温める一言

いきなり本題に入るのではなく、短い一言で参加者の緊張をほぐしましょう。特にビデオ会議では、相手の表情や反応が読み取りにくいため、最初の数分間の「ウォームアップ」が効果的です。

ポイントは、簡単に答えられる質問や軽い雑談から始めることです。天気の話や週末の過ごし方など、個人的な話題を少し挟むことで、参加者の一体感が生まれます。

実践フレーズ集:アイスブレイク

天気や場所を話題にする
“Good morning/afternoon, everyone. Looks like it’s a beautiful day in Tokyo.” (皆さん、おはようございます/こんにちは。東京は良い天気のようですね。)
“For those joining from overseas, hope you’re having a great start to your day.” (海外から参加の皆さん、良い一日の始まりでありますように。)

簡単な雑談を振る
“Before we dive in, how was everyone’s weekend?” (本題に入る前に、皆さんの週末はいかがでしたか?)
“I hope you all had a chance to relax a bit.” (皆さん少しリラックスする時間があったと良いのですが。)

感謝の一言を伝える
“Thank you all for taking the time to join us today.” (本日はお時間をとってご参加いただき、ありがとうございます。)
“I really appreciate everyone being here on such short notice.” (突然のお知らせにもかかわらずご参加いただき、感謝しています。)

目的とゴールを共有し、共通認識を作る

場が温まったら、すぐに会議の本質的な目的に立ち返ります。これは、事前に共有したアジェンダの文章を読み上げるだけではありません。「なぜ今、この議題について話すのか」「今日の会議が終わった時、何が決まっていて欲しいか」を明確に共有し、全員の参加意識を高めることが目的です。

  • 目的 (Purpose): 会議を開催する根本的な理由。「〜について理解するため」「〜の問題を解決するため」。
  • ゴール (Goal/Desired Outcome): 会議の終了時に達成したい具体的な成果。「〜の決定をする」「〜の方向性で合意する」「〜のアクションアイテムを明確にする」。

これらの要素を共有するための定番フレーズを覚えておきましょう。

  • 目的を確認する
    “As a quick reminder, the purpose of today’s meeting is to…” (簡単に確認すると、本日の会議の目的は…です。)
    “We’re here today to…” (本日は…のために集まりました。)
  • 期待する成果を共有する
    “By the end of this session, we aim to have…” (このセッション終了時までに、…を得ることを目指します。)
    “Our desired outcome is a clear decision on…” (我々の期待する成果は、…についての明確な決定です。)
  • アジェンダを提示する
    “We’ll follow the agenda as shared. First, we’ll discuss…, then move on to…” (共有したアジェンダに沿って進めます。最初に…について議論し、次に…に移ります。)
    “We have allocated [時間数] minutes for each topic.” (各トピックに[時間数]分ずつ割り当てています。)
実践フレーズ集:参加促進

全員の参加を促す
“This is an important topic for all of us, so I encourage everyone to share your thoughts.” (これは皆さんにとって重要な話題ですので、ぜひ皆さんの考えを共有してください。)
We’d love to hear from all perspectives, so please don’t hesitate to jump in.” (様々な視点からの意見をお聞かせください。遠慮なく発言してください。)
“Let’s make this a collaborative discussion.” (これは共同での議論にしましょう。)

会議の最初の5分間で「場の温まり」と「目的・ゴールの再確認」を行うことで、参加者の集中力と当事者意識が高まり、その後の生產的な議論につながります。

議論を「引き出し」「整理する」 促進のためのキーフレーズ

場の雰囲気を作り、目的を確認できたら、次はファシリテーターの本領発揮です。会議の価値は、そこから生まれるアイデアや建設的な議論によって決まります。しかし、なかなか意見が出ない、あるいは話が脱線してまとまらない…そんな経験はありませんか?ここでは、議論を活性化させ、有益な結論へと導くための「促進(ファシリテーション)」の実践フレーズを学びます。

ファシリテーターの2つの役割

優れたファシリテーターは、単なる進行役ではありません。以下の2つの役割を果たします。

  • 意見を引き出す:参加者の知識や経験を引き出す「問いかけ」の達人です。
  • 議論を整理する:出された意見をまとめ、全体像を可視化して共通理解を作ります。

沈黙を恐れず、意見を引き出す問いかけ

誰も発言しない沈黙は、ファシリテーターにとってプレッシャーです。でも、それは考えを整理している時間かもしれないし、発言のきっかけを待っている時間かもしれません。沈黙を恐れず、適切な問いかけで意見を引き出しましょう。

質問のタイプを使い分ける

質問タイプ目的と例文得られる回答
オープンクエスチョン
自由な意見や考えを引き出す。
“What are your thoughts on this proposal?”
(この提案についてどう思いますか?)
“How would you approach this challenge?”
(この課題にどうアプローチしますか?)
多様な視点、詳細な説明、新しいアイデア
クローズドクエスチョン
合意形成や確認、方向性を決める。
“Do we agree to proceed with option A?”
(案Aで進めることに同意しますか?)
“Is the deadline feasible for everyone?”
(この期限は全員実行可能ですか?)
Yes/No、選択肢、明確な決定

特にオープンクエスチョンは、議論の幅を広げるのに効果的です。以下のような定番フレーズを覚えておきましょう。

  • 一般的な意見を求める: “I’d like to hear everyone’s input on this.” (皆さんの意見を聞きたいです。)
  • 別の視点を求める: “Are there any other angles we should consider?” (考慮すべき他の視点はありますか?)
  • 特定のメンバーに促す(丁寧な表現):
    “[Name], you have experience in this area. What’s your take?” ([名前]さん、この分野にご経験がありますね。どうお考えですか?)
    “I’d be curious to hear from [Name/those who haven’t spoken yet].” ([名前/まだ発言していない方]の意見をぜひ伺いたいです。)

発言を要約・整理し、論点を可視化する

さまざまな意見が出てきたら、次のステップは「整理」です。ファシリテーターは、個々の発言を全体像の中に位置づけ、次の議論の方向性を示す必要があります。

要約と整理の定型フレーズ集
  • 要約して確認する:
    “So, what I’m hearing is that we have two main concerns: budget and timing.”
    (つまり、主な懸念は予算とタイミングの2点だと理解しました。)
    “Let me summarize the key points so far.” (ここまでの要点をまとめさせてください。)
  • 論点を可視化する:
    “Let me capture that on the board (or in this document).”
    (それをホワイトボード(またはこの資料)に書き留めましょう。)
    “It seems we’re discussing three separate issues. Let’s list them.” (3つの異なる課題について議論しているようです。リスト化しましょう。)
  • 合意部分と未解決部分を分ける:
    “We all agree on the goal. The question is how to achieve it.”
    (目標については全員合意しています。問題は達成方法です。)
    “This point seems settled. Shall we move on to the next topic?” (この点は決まったようです。次の議題に移りましょうか?)

「So, what I’m hearing is…」は、発言者の意見を尊重しつつ、自分の理解を確認する非常に便利な表現です。これにより、誤解を防ぎ、議論を前に進めることができます。また、ホワイトボードや共有ドキュメントに書き留める行為は、全員が同じ情報を見て議論する「共通の土台」を作り、生產性を大きく高めます。

良い例: 要約と次のアクションを示す。
“To summarize, Team A will handle the market research, and Team B will draft the initial proposal by next Friday. Does that reflect our discussion correctly?” (まとめると、Aチームが市場調査を担当し、Bチームが来週の金曜日までに提案書の初稿を作成します。これで議論の内容は正しく反映されていますか?)

脱線を防ぎ、時間内に収める「軌道修正」と「時間管理」

前のセクションで学んだファシリテーションのスキルを使い、活発な議論を引き出すことができたとしましょう。しかし、会議にはもう一つ重要な役割があります。それは、生產的な議論を時間内に収め、明確な結論や次のアクションへと導くことです。議論が深まるのは良いことですが、気づけば本筋から大きく外れていたり、時間が大幅に超過していたりすると、会議全体の価値が損なわれてしまいます。ここでは、議論が脱線したときに本題に戻す「軌道修正」と、会議をスムーズに進める「時間管理」の具体的な英語表現を学びます。

議論が脱線したときのナビゲート方法

会議中、一部の参加者が熱心に議論している内容が、実はアジェンダの目的とは関係ない方向へ進んでいることがあります。このような「脱線」は創造性を生むこともありますが、時間が限られているビジネス会議では、適切に軌道修正する必要があります。ポイントは、相手を否定したり、話を遮るような印象を与えずに、自然に本題へと導くことです。

脱線を指摘する際は、「That’s an interesting point, but…(それは興味深い点ですが…)」のように、まず相手の発言を認める一言を添えると、角が立ちません。

  • 婉曲的に脱線を指摘し、本題に戻す
    「That’s an interesting perspective. To keep us on track with today’s agenda, could we perhaps circle back to the main point about [議題名]?」
    (それは興味深い見解ですね。今日のアジェンダに沿って進めるために、[議題名]に関する本題に戻っていただけますか?)
  • 脱線した話題を別途扱うことを提案する
    「I think that topic deserves its own discussion. Let’s put it in the parking lot for now and schedule a follow-up if needed. For now, let’s focus on [現在の議題].」
    (その話題は別途議論する価値があると思います。今は「駐車場(保留事項)」に入れて、必要であればフォローアップ会議を設定しましょう。今は[現在の議題]に集中しましょう。)
  • 時間の制約を理由に戻す
    「In the interest of time, I’d like to steer us back to our original topic of [議題名].」
    (時間の都合上、元の議題である[議題名]に話を戻したいと思います。)

タイムキーピングを円滑に行う表現

ファシリテーターは、常に時間の流れを意識し、参加者と共有する「時間管理者」でもあります。各議題に割り当てられた時間を定期的に共有することで、参加者自身も時間感覚を持ち、議論を効率化できます。

  • 定期的に残り時間を共有する
    「Just a quick time check – we have about 10 minutes left for this item.」
    (時間の確認です。この項目の残り時間は約10分です。)
    「We’re halfway through the time allocated for this discussion.」
    (この議論に割り当てられた時間の半分が経過しました。)
  • 次の議題に移ることを促す
    「We’re running a bit behind schedule. To cover all remaining items, I suggest we move on to the next topic, [次の議題名].」
    (少し予定より遅れています。残りの項目を全てカバーするために、次の議題「[次の議題名]」に移ることを提案します。)
  • 時間内に結論が出そうにない場合の対応
    「It seems we need more time to reach a conclusion on this. How about we take the discussion offline and reconvene with a smaller group next week?」
    (これについて結論を出すにはもう少し時間が必要なようです。この議論はオフラインで継続し、来週小さなグループで再度集まるのはいかがでしょう?)
    「Let’s summarize the key points discussed so far and decide on the next steps.」
    (これまで議論された要点をまとめ、次のステップを決めましょう。)
軌道修正と時間管理の実践フレーズ集
状況使える英語フレーズニュアンス
話題がそれた時That’s a valid point. To stay on track, let’s refocus on…
(ごもっともなご意見です。軌道に戻すために、…に焦点を戻しましょう。)
相手の意見を認めつつ、優しく本題へ誘導。
時間を共有する時We have 5 minutes remaining for this agenda item.
(この議題項目の残り時間は5分です。)
淡々と事実を伝え、時間意識を高める。
結論が難航する時I propose we park this and assign [人名] to take it forward.
(これは一旦保留し、[人名]に引き継いで進めてもらうことを提案します。)
会議を止めず、責任者を明確にして先送り。
次の議題へ移る時Let’s shift gears and move on to the next topic.
(ギアをチェンジして、次の話題に移りましょう。)
気分転換を促すカジュアルでポジティブな表現。

これらの「軌道修正」と「時間管理」のスキルは、会議を単なる「話し合い」から、結果を生み出す「生產的な作業」へと変える鍵となります。参加者の意見を尊重しつつ、全体のゴールと時間枠を常に意識してファシリテートすることで、全ての参加者が「時間を有意義に使えた」と感じる会議を実現できます。

合意形成とアクションプラン策定 会議に「決着」をつける

活発な議論が行われ、時間管理もしっかりできたなら、いよいよ会議の集大成です。どんなに素晴らしいアイデアが出たとしても、会議の成果は「何を決めたか」「次に誰が何をするか」が明確にされなければ価値がありません。このセクションでは、議論の結果を確実に「決着」させるための2つの重要なステップ、合意内容の確認と具体的なアクションプランの設定に使える英語フレーズを学びます。

STEP
合意内容の確認と明確化

まずは、議論の結果、何に合意したのかを全員で確認します。認識のズレは後のトラブルの元になります。

  • 合意確認のフレーズ
    Are we all aligned on this? (これで全員の認識は合っていますか?)
    Is everyone okay with this decision? (この決定で皆さん大丈夫ですか?)
    Do we have a consensus? (合意は得られましたか?)
  • 決定事項を要約するフレーズ
    Let me summarize the decision. (決定事項を要約させてください。)
    So, the conclusion is that we will… (つまり、結論としては私たちは…します。)
    To recap, we’ve agreed to… (繰り返しますが、私たちは…することに合意しました。)
ポイント

「Are we all aligned on this?」は、合意確認の定番フレーズです。「Agreed?」よりも丁寧で洗練された印象を与えます。これに対して参加者が「Yes, we are.」「I’m aligned.」と返せば、確実に合意が取れた証になります。

STEP
具体的なアクションアイテム(Who does What by When)の設定

合意が確認できたら、それを実行に移すための具体的な行動計画を作ります。ここで重要なのは、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確にすることです。これを「Action Items」と呼び、議事録の核心部分となります。

  • アクションアイテムを設定・確認するフレーズ
    Let’s define the next steps. (次のステップを定義しましょう。)
    Who will be the owner of this task? (このタスクの責任者は誰になりますか?)
    What’s the deadline for this action item? (このアクションアイテムの期限は?)
  • 議事録に記録する際の定型文
    [担当者名] will [具体的なタスク] by [期限]. (例: Jane will draft the proposal by next Friday.)
    Action item: [担当者名] to [具体的なタスク]. Deadline: [期限].

例: アクション設定の実際の会話
ファシリテーター: “So, we’ve decided to update the project timeline. Let’s define the next steps. Who will be the owner of updating the document?”
参加者A: “I can take that.”
ファシリテーター: “Great, thank you, Alex. What’s a reasonable deadline? How about by the end of this week?”
参加者A: “That works for me.”
ファシリテーター: “Perfect. So the action item is: Alex to update the project timeline by Friday EOD (End of Day). Is that clear to everyone?”

STEP
次のステップとフォローアップ方法の確認

最後に、決定事項とアクションプラン全体を俯瞰し、フォローアップ方法を確認して会議を締めくくります。

  • 総括とフォローアップのフレーズ
    To summarize, we’ve decided to… and the action items are… (まとめると、私たちは…を決定し、アクションアイテムは…です。)
    I will send out the meeting minutes with all the action items by tomorrow. (明日までに全てのアクションアイテムを含む議事録を送ります。)
    Let’s schedule a quick follow-up next week to check the progress. (進捗を確認するため、来週簡単なフォローアップ会議を設定しましょう。)
    Thank you everyone for your contributions. This was a productive meeting. (皆さん、ご協力ありがとうございました。生產的な会議でした。)
知っておきたいこと

「Owner」という単語は、ビジネスシーンで「責任者」「担当者」を指す一般的な表現です。「Person in charge」よりもシンプルでよく使われます。また、期限を伝える際は「by Friday EOD」「by COB (Close of Business) next Monday」のように、一日の終わりを明確にすると誤解が生まれにくくなります。

【実践シミュレーション】 よくある会議シーン別 ファシリテーション例

ここまで、議論を活性化させる「促進」、脱線を防ぐ「軌道修正」、そして結論を導く「合意形成」の各フェーズで使えるフレーズを学んできました。しかし、実際の会議では、これらのフレーズを状況に応じて組み合わせ、柔軟に使い分ける必要があります。このセクションでは、2つの典型的な会議シナリオを通して、学んだフレーズが実際の会話の流れの中でどのように機能するかを体感していただきます。各シナリオを追うことで、ファシリテーターとしての一連の動きをイメージできるようになります。

シミュレーションを活用するポイント
  • フレーズの組み合わせ:単体のフレーズだけでなく、どのように前後の会話とつなげるかに注目してください。
  • 会議のゴールを意識する:各シナリオには異なる目的(アイデア創出 vs 問題解決)があります。目的に応じてファシリテーションの重点も変わります。
  • 柔軟な対応:想定外の発言や議論の停滞が起こった場合に、「促進」や「軌道修正」のフレーズをどう呼び出すかを考えながら読み進めてください。

シナリオA: ブレインストーミング会議

新しいサービス企画について、多様なアイデアを幅広く出し合う会議です。ファシリテーターの役割は、批判を排し、自由な発想を促し、できるだけ多くのアイデアを引き出すことです。

会議シミュレーション:ブレインストーミング

ファシリテーター: Good morning, everyone. Thank you for joining today’s brainstorming session for our new project. The goal for the next 30 minutes is to generate as many ideas as possible, no matter how wild they may seem. Let’s start with a broad question: “What are some unmet needs our potential customers might have?”

参加者A: I think they might want a more personalized experience.

ファシリテーター: Great, “personalized experience.” “Could you elaborate on what ‘personalized’ means in this context?”

参加者A: Well, maybe the service could remember their preferences.

ファシリテーター: Perfect. I’ve noted that down. “What other angles can we think of? How about focusing on convenience or saving time?”

(少し間が空く)

ファシリテーター: Let’s try a different approach. “Imagine you are the customer. What would frustrate you about current solutions in the market?”

参加者B: The sign-up process is often too long and complicated.

ファシリテーター: Excellent point! “Complicated sign-up process.” “Does that spark any ideas for how we could simplify it?” Let’s build on that.

(議論が特定の技術的詳細に入り込み、脱線し始める)

ファシリテーター: That’s an interesting technical point. To keep us focused on idea generation for now, “Could we park that technical discussion and come back to it later? For the moment, let’s continue listing potential customer pain points.”

… (15分後) …

ファシリテーター: We have about 5 minutes left. We have a fantastic list of pain points here. “Let’s do a quick round-robin for one final idea from each person based on what we’ve heard.”

ブレインストーミングでのファシリテーションの鍵は、「批判しない」「量を求める」「結合し発展させる」です。沈黙が生まれたら別の質問の切り口を用意し、深掘りしすぎたら再度広げるという柔軟な舵取りが求められます。

シナリオB: 進捗報告と課題解決会議

現在進行中のプロジェクトの進捗確認と、発生している課題の解決策を探る会議です。ファシリテーターの役割は、現状を正確に把握し、建設的な議論を通じて具体的な解決策や次のアクションを明確にすることです。

会議シミュレーション:進捗報告・課題解決

ファシリテーター: Let’s begin our weekly project sync. To start, “Could each team lead give a brief update on their status, focusing on key achievements and any major blockers?” Let’s start with the marketing team.

マーケティングリーダー: We’re on track with the campaign launch materials. However, we’re blocked because we haven’t received the final product specifications from the development team yet.

ファシリテーター: Thank you. I’ve noted “delay in receiving specs” as a blocker. “Development team, could you provide an update on the specs and clarify the timeline?”

開発リーダー: We’re facing an unexpected technical issue, which is causing the delay. We need about three more days.

ファシリテーター: I see. So the core issue is a technical challenge causing a three-day delay. “How does this impact the overall project timeline, especially the marketing launch?” Let’s assess the impact together.

(議論が技術的問題の原因追究だけに集中し始める)

ファシリテーター: Understanding the root cause is important. To move us towards a solution, “Could we shift our focus from ‘why it happened’ to ‘how we can mitigate the impact’?” What are our options?

参加者C: Marketing could start with the assets that don’t require the final specs.

ファシリテーター: That’s a practical suggestion. “Does everyone agree that this is a viable workaround?” … (確認後) … Good. “Let’s clarify the action items. Development, you will deliver the specs by Thursday EOD. Marketing, you will proceed with draft assets for components A and B immediately. Is that correct?”

参加者一同: Yes. / Agreed.

ファシリテーター: Great. I’ll document these action items and send out the minutes. Thank you for the productive discussion.

課題解決会議では、「問題の明確化」→「影響の評価」→「解決策の模索」→「合意とアクションの明確化」という流れを意識します。議論が原因追及や非難に傾いたら、未来志向の解決策探しに導くことがファシリテーターの重要な役割です。

まとめ:ファシリテーション英語で会議を価値ある場に変える

英語でのファシリテーションは、単なる会議進行の技術ではありません。多様な背景を持つ人々の知恵を引き出し、最適な合意へと導く「場のデザイン」の技術です。本記事で紹介したフレーズは、そのための強力なツールです。

STEP
事前準備で土台を固める

目的と期待する成果を明確にし、具体的なアジェンダと事前準備事項を共有します。これにより、参加者は価値ある貢献ができる状態で会議に臨めます。

STEP
場を作り、議論を促進する

アイスブレイクで緊張をほぐし、目的を再確認した上で、適切な問いかけで多様な意見を引き出します。沈黙を恐れず、全員の参加を促しましょう。

STEP
プロセスを管理し、結論に導く

議論が脱線したら優しく本題に戻し、時間を意識しながら進行します。最後は合意内容を確認し、「誰が」「何を」「いつまでに」行うかを明確にしたアクションプランで締めくくります。

最初はフレーズ集を手元に置きながら実践してみてください。慣れてくれば、「完璧な英語」よりも「明確なプロセス」を重視するという根本的なマインドセットが身につき、自然と適切な表現が口から出てくるようになります。英語での会議を、単なる報告の場から、真の価値を生み出す創造的な場へと変えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

英語がネイティブレベルでなくても、ファシリテーターは務まりますか?

もちろん務まります。むしろ重要なのは、完璧な文法や発音ではなく、「議論の流れを明確に示すプロセス力」です。シンプルで明確な英語を使い、事前にフレーズを準備しておくことで、自信を持って進行できます。非ネイティブであるからこそ、他の非ネイティブ参加者の気持ちを理解し、配慮できるという強みもあります。

議論が白熱して対立が起きた時、どうファシリテートすればよいですか?

対立は新しい視点が生まれるチャンスです。まずは、「So, what I’m hearing is…」などを使って、それぞれの立場を中立に要約・確認します。その後、「Let’s list the pros and cons of each option.」(それぞれの選択肢の長所と短所をリストアップしましょう)や、「What’s our common goal here?」(ここでの共通の目標は何ですか?)と問いかけ、建設的な議論の枠組みを提供しましょう。

「Parking lot」(駐車場)とは何ですか?どのように使いますか?

「Parking lot」は、現在の議題とは関係ないが重要な話題が出た時に、それを一旦保留するための概念的なスペースです。「That’s an interesting point. Let’s put it in the parking lot and come back to it later if we have time.」(それは興味深い点です。駐車場に入れて、時間があれば後で戻りましょう)のように使います。議事録に「Parking Lot Items」として記録し、必要に応じて別の会議で議論します。これにより、本題から脱線せずに重要な指摘を記録できます。

オンライン会議と対面会議で、ファシリテーションのポイントは変わりますか?

基本の役割は同じですが、オンライン会議では特に以下の点に注意しましょう。1) アイスブレイクをより意識する(カメラオフでの参加が多いため)、2) 発言の機会をより積極的に均等に配分する(「[Name], what are your thoughts?」と名前を呼ぶ)、3) 視覚的な共有を活用する(画面共有で議事録やホワイトボードをリアルタイムで書く)。チャット機能も意見を拾う補助ツールとして有効です。

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