「うちの子、テストではそこそこ点数を取っているのに、なぜか内申点が上がらない……」そんな悩みを抱えている保護者の方は少なくありません。実は、内申点の仕組みはテストの点数だけでは語れない、少し複雑な構造になっています。高校受験を控えた今だからこそ、内申点の基本をしっかり押さえておきましょう。
そもそも「内申点」とは?高校受験との関係をおさらい
内申点が高校受験に影響する仕組み
内申点とは、中学校での学習状況を記録した「調査書(内申書)」に記載される評定をもとに算出される点数のことです。高校入試では、当日の学力検査(入試本番)の得点と並んで、内申点が合否判定の重要な要素として使われる都道府県がほとんどです。
内申点の扱い方は都道府県によって大きく異なります。中学3年生の成績のみを使う地域もあれば、1年生から3年生までの全学年分を合算する地域もあります。また、学力検査と内申点の比重(例:6対4、7対3など)も地域差があるため、お子さんが受験する都道府県のルールを事前に確認しておくことが欠かせません。
「内申点」と「調査書点」はほぼ同じ意味で使われますが、厳密には各教科の5段階評定を合計したものが「内申点(素点)」、それを都道府県のルールに従って換算したものが「調査書点」です。9教科×5点満点=45点満点が基本単位となります。
「5段階評定」はどうやって決まるのか
各教科の5段階評定は、「観点別評価」をもとに算出されます。観点別評価とは、学習状況をいくつかの観点(視点)に分けてA・B・Cの3段階で評価するものです。現行の学習指導要領では、主に以下の3つの観点が設けられています。
- 知識・技能(基礎的な知識や技術が身についているか)
- 思考・判断・表現(学んだ知識を活用して考え、表現できるか)
- 主体的に学習に取り組む態度(意欲的に学習しているか)
この3つの観点それぞれにA・B・Cがつき、その組み合わせによって最終的な5段階評定が決まります。たとえば3観点すべてがAなら「5」、すべてBなら「3」が目安ですが、組み合わせによって「4」や「2」になることもあります。
テストの点数と内申点がズレる理由
「テストで高得点なのに内申が4止まり」という状況は、観点別評価の仕組みを知ると納得できます。テストの点数が反映されるのは主に「知識・技能」の観点です。一方、「主体的に学習に取り組む態度」の観点は、授業中の発言・提出物・ノートの記録などが評価材料になります。ここが不十分だと、テストが満点でも評定が5にならないケースが生じます。
提出物の未提出や授業態度の問題は、「主体的に学習に取り組む態度」の評価を大きく下げる原因になります。テスト対策と並行して、日常の学習習慣を整えることが内申アップの近道です。
- 内申点と評定は同じものですか?
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厳密には異なります。「評定」は各教科についた1〜5の数字そのもの、「内申点」はその評定を合計したり換算したりした点数を指します。ただし日常会話では「内申点が5だった」のように評定と同じ意味で使われることも多いです。
- 内申点は何年生の成績が使われますか?
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都道府県によって異なります。中学3年生の成績のみを使う地域、1〜3年生すべてを使う地域、学年ごとに比重を変える地域など、さまざまなパターンがあります。お住まいの地域の教育委員会や学校に必ず確認してください。
- 観点別評価のABCはどこで確認できますか?
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学期末に配布される通知表(通信簿)に記載されていることがほとんどです。教科ごとに3つの観点それぞれのA・B・Cが示されているので、どの観点が弱いかを確認する際に活用しましょう。
中学英語の「観点別評価」3つの柱を完全解説
現行の学習指導要領では、中学校の成績は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されます。テストの点数だけが内申点を決めるわけではない、という点をまず押さえておきましょう。
観点①「知識・技能」——何をどう評価されるか
英語の基礎となる文法・語彙・発音・表記の正確さを測る観点です。定期テストの語句問題・文法問題・リスニング問題などが主な評価材料になります。「単語を正しく書けるか」「文法ルールを正確に使えるか」といった、いわば英語の土台部分です。
観点②「思考・判断・表現」——テストの点数だけでは測れない力
英語を実際に「使う力」を見る観点です。英文読解・英作文・スピーキングなど、知識を活用して情報を整理・発信できるかどうかが問われます。定期テストの記述問題や、授業中のパフォーマンス課題(スピーチ・ペアワーク・ライティング課題など)がおもな評価対象です。
パフォーマンス課題は事前に準備できます。課題の出題意図を理解して取り組むことで、評価を大きく上げられます。
観点③「主体的に学習に取り組む態度」——授業態度だけじゃない!
「静かに授業を聞いているかどうか」だけで判断されると思われがちですが、実際はもっと広い視点で評価されます。振り返りシートの記述・自主的な課題提出・ポートフォリオへの取り組みなど、自己調整学習の姿勢が重視されます。「できなかったことを振り返り、次に活かそうとしているか」が問われる観点です。
3観点がどのような評価材料と結びついているか、以下の表で確認しましょう。
| 観点 | 主な評価材料 | 具体例 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 定期テスト(語彙・文法・リスニング) | 単語テスト、文法穴埋め問題 |
| 思考・判断・表現 | 記述問題・パフォーマンス課題 | 英作文、スピーチ、ペアワーク |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 振り返りシート・提出物・ポートフォリオ | 自主学習ノート、課題の提出状況 |
3観点それぞれにA・B・Cの評価がつき、その組み合わせで5段階評定(1〜5)が決まります。目安は次のとおりです。
- 評定5:3観点すべてがA(またはAが2つ以上でBが1つ)
- 評定4:AとBの組み合わせが中心
- 評定3:3観点すべてがB(標準的な状態)
- 評定2:BとCの組み合わせが中心
- 評定1:3観点すべてがC、または提出物の大幅な未提出など
具体的な換算基準は学校・教科・担当教員によって異なります。上記はあくまで一般的な目安として参考にしてください。
観点①「知識・技能」を伸ばす家庭サポート——定期テスト対策の最適解
定期テストで高得点を取るための家庭学習ルーティン
「知識・技能」の評価は、定期テストの得点が大きく影響します。テスト直前に詰め込もうとしても定着しにくいため、テスト2〜3週間前から逆算してスケジュールを組むことが高得点への近道です。以下のステップを参考に、無理のない計画を立ててみましょう。
テスト範囲を把握し、教科書の本文を毎日1〜2ページ音読する習慣を始めます。声に出すことで文の流れが頭に入りやすくなります。
新出単語と重要文法事項を一通り確認します。1日10〜15語を目安に、音声を聞きながら発音・意味・つづりをセットで覚えましょう。
ワークや問題集を使って知識を確認します。間違えた問題だけをピックアップしてくり返し解き直し、確実に得点できる状態に仕上げます。
新しいことは詰め込まず、これまで学んだ単語・文法・教科書本文を軽く見直します。音読を1回通して行うと記憶の定着に効果的です。
単語・文法の定着を加速させる親のサポートポイント
単語暗記は「書いて覚える」だけでは不十分です。教科書や市販の単語帳には音声データが付属していることが多いので、耳で聞きながら口を動かす「音声+書き」の組み合わせを習慣にしましょう。親が英語を苦手に感じていても、十分にサポートできる方法があります。
単語帳や教科書の本文を見ながら「この日本語、英語で何て言う?」と問いかけるだけでOKです。正誤の判断はお子さん自身にさせることで、自己採点力も育ちます。答え合わせは教科書やノートを一緒に確認すれば十分です。
リスニング力を底上げする日常的な取り組み
定期テストにはリスニング問題が含まれる学校がほとんどです。対策として最も手軽で効果的なのが、教科書付属の音声データを使ったシャドーイングです。音声を流しながら少し遅れて声に出してついていく練習で、リスニングとスピーキングを同時に鍛えられます。
家庭でできる「知識・技能」サポートのチェックリスト
- テスト3週間前にスケジュールを一緒に立てている
- 教科書の音読を毎日の学習ルーティンに組み込んでいる
- 単語暗記に音声を組み合わせている
- 親が「問題出し係」として週2〜3回関わっている
- 教科書付属の音声データを活用してリスニング練習をしている
観点②「思考・判断・表現」を伸ばす——スピーキング・英作文対策
「思考・判断・表現」は、英語を使って自分の考えを相手に伝える力を評価する観点です。スピーキングテスト(パフォーマンス課題)や英作文・記述問題がその主な評価場面となります。「知識・技能」と並んで内申点への影響が大きいため、家庭でも意識的に対策を取ることが重要です。
パフォーマンステスト(スピーキング)で評価を上げるコツ
多くの中学校では、「自己紹介をする」「道案内をする」「自分の意見を述べる」といったロールプレイや発表形式のスピーキングテストが実施されています。評価基準は主に「内容の適切さ」「流暢さ」「文法・語彙の正確さ」の3点です。ここで重要なのは、丸暗記よりも「伝える練習」を積み重ねることです。
課題のテーマ(例:好きな食べ物、将来の夢など)に対して、まず日本語でも構わないので自分の意見・理由・具体例を箇条書きにしてみましょう。
「I think … because …」「For example, …」など、汎用性の高いフレーズを数パターン身につけておくと、どんなテーマにも応用できます。
親が英語を話せなくても大丈夫です。「ちゃんと聞いてくれる人」がいるだけで練習の質が上がります。うなずいたり、「もう一度言ってみて」と促すだけで十分なサポートになります。
英作文・記述問題で差がつく答え方の練習法
英作文の評価では、文法の正確さはもちろん、「意見と理由が論理的に書かれているか」が重視されます。授業のワークシートや定期テストの記述問題を丁寧に仕上げることが、そのまま評価アップにつながります。
- P(Point):まず結論・意見を述べる 例)I like summer the best.
- R(Reason):理由を続ける 例)Because I enjoy swimming in the sea.
- E(Example):具体例を加える 例)I went to the beach with my family.
- P(Point):最後にもう一度まとめる 例)That’s why summer is my favorite season.
家庭でできる『使える英語』を育てる会話トレーニング
日常の中に小さな英語タイムを設けるだけで、スピーキング力は着実に伸びます。以下のような取り組みが効果的です。
- 夕食後に「今日あったことを1〜2文で英語で言う」習慣をつける
- 授業で習ったフレーズを使って親子で短いやりとりをしてみる
- 英語のワークシートや課題の英作文を音読してから提出する
親が英語を話せなくても「聴衆役」になるだけで十分です。子どもが話す英語をしっかり聞いてあげることが、最大のサポートになります。
観点③「主体的に学習に取り組む態度」を上げる——見落としがちな評価ポイント
授業中の態度だけじゃない!評価される『主体性』の正体
「主体的に学習に取り組む態度」と聞くと、「授業中にうなずく」「積極的に手を挙げる」といった姿勢を想像しがちです。しかし実際には、提出物の質・振り返りシートの記述内容・ポートフォリオなど、多面的な証拠から総合的に評価されます。授業態度はあくまで一要素に過ぎません。
先生が見ているのは「学ぼうとする意欲が行動として表れているか」です。提出物を期限通りに出す、振り返りシートに具体的な記述をする、自主学習ノートを継続するといった積み重ねが、評価に直結します。
提出物・振り返りシートで差をつける書き方のコツ
振り返りシートは多くの中学校で定期的に記入を求められますが、書き方次第で評価が大きく変わります。「楽しかった」「難しかった」で終わる記述は、主体性の証拠として弱いと判断されやすいです。
NG例:「今日の授業は難しかったです。でも楽しかったです。」
OK例:「疑問詞を使った疑問文の語順がまだ不安定なので、教科書の例文を5つ音読して覚えます。次の授業では自分から発言することを目標にします。」
OK例のポイントは「できるようになったこと・まだ不十分なこと・次の行動目標」の3点を盛り込んでいる点です。この構成を意識するだけで、記述の質が格段に上がります。
自主学習ノートや家庭学習記録を内申点に活かす方法
家庭での自主学習ノートは、先生に提出・確認してもらう機会があれば「主体的な学習の証拠」として機能します。毎日少しずつでも継続し、日付と学習内容を記録しておきましょう。
万が一提出が遅れそうな場合は、放置せず担任や教科担当の先生に事前に相談することが大切です。「遅れます」と一言伝えるだけで印象は大きく変わります。無断で未提出のまま放置するのが最もマイナス評価につながります。
親が提出物のチェックに関わる場合は、「出したの?」と問い詰めるより、週に一度確認する習慣をつくる程度にとどめましょう。子ども自身が管理できるよう、見守りながらサポートする距離感が理想的です。
提出物・態度面の家庭チェックリスト
- ワーク・プリントの提出期限を把握している
- 振り返りシートに「できたこと・課題・次の目標」を書いている
- 自主学習ノートに日付と内容を記録している
- 提出物の遅れが出そうな場合は先生に事前相談している
- 親は「管理」ではなく「確認サポート」にとどめている
観点③は「やる気があるかどうか」を行動の積み重ねで証明する観点です。小さな習慣の継続が、着実に評価につながります。
内申点が伸び悩んだときの親子コミュニケーションと先生への相談術
内申点が思うように上がらないとき、焦りから「もっと勉強しなさい」と声をかけがちです。しかし、原因が観点ごとに異なる以上、まず「どの観点が低いのか」を親子で正確に把握することが出発点になります。通知表を引っ張り出して、3つの観点別評価を一緒に確認してみましょう。
子どもが「なぜ評価が低いか」を自分で把握できているか確認する
通知表を見るとき、総合評定(5段階)だけに目が行きがちですが、観点別評価(A・B・C)の欄も必ず確認してください。「知識・技能」はBなのに「思考・判断・表現」がCなら、テスト勉強よりもスピーキングや英作文の練習が優先課題です。子ども自身が「どこが弱いか」を言語化できているかどうかを親が確認するだけで、改善の方向性がぐっと明確になります。
「なんとなく英語が苦手」ではなく「スピーキングの観点がCだから練習が必要」と言えるレベルまで自己分析できているかを確認しましょう。
担任・英語教師への効果的な相談の仕方
先生への相談で避けたいのが「なぜこの評価なんですか?」という問い方です。先生側も答えにくく、会話が終わってしまいます。代わりに、具体的な改善策を引き出せる質問を準備しましょう。
- 「思考・判断・表現の観点を上げるには、具体的にどの部分を改善すればよいですか?」
- 「提出物や授業中の取り組みで、今後意識すべき点はありますか?」
- 「次の定期テストまでに家庭でできることを教えていただけますか?」
三者面談・個人懇談の前には、子どもの現状(観点別評価・提出物の状況・授業での様子)を親子で整理し、質問リストを1枚のメモにまとめておくと当日の会話がスムーズです。限られた時間を最大限に活かせます。
内申点改善に向けた家庭での目標設定と振り返りサイクル
家庭でのサポートは、定期テストを区切りにしたPDCAサイクルで回すのが効果的です。以下の4ステップを繰り返すことで、継続的な改善につながります。
観点別評価(A・B・C)を親子で確認し、どの観点が課題かを特定する。「英語全体が弱い」ではなく観点レベルで原因を絞り込む。
「次の通知表で思考・判断・表現をCからBにする」など、観点ごとに具体的な目標を1〜2個に絞って設定する。
目標に対応した具体的な行動(提出物の質を上げる・音読練習を週3回行うなど)を日常に組み込む。
定期テスト後・通知表受け取り後に結果を確認し、うまくいった点・改善が必要な点を親子で話し合ってSTEP1に戻る。
親の関わり方で大切なのは、「確認する・一緒に考える」役割に徹することです。計画を親が立てたり、毎日細かく口を出したりすると子どもの自律性が育ちません。子どもが自分で考えて動けるよう、「どうすればいいと思う?」と問いかけるサポート型の関わりを意識しましょう。
- 先生に相談するタイミングはいつがベストですか?
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通知表を受け取った直後か、三者面談・個人懇談の機会が最適です。定期テスト後も先生が評価を把握しているタイミングなので相談しやすいです。
- 親が直接先生に相談するのは過干渉になりませんか?
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子どもの現状を把握するための相談は過干渉ではありません。ただし、「評価を上げてほしい」と要求するのではなく、「家庭でどうサポートできるか」を聞く姿勢が大切です。
- 子どもが相談を嫌がる場合はどうすればよいですか?
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まず通知表を一緒に見ることから始めましょう。責める口調を避け、「どの観点が下がったか確認しよう」という事実確認のスタンスで話すと、子どもも受け入れやすくなります。

