AI辞書アプリ「DiQt(ディクト)」において、2026年8月6日、東京外国語大学の専攻28言語に対応する教材シリーズの第2弾として、CEFR(セファール)レベルA2に相当する「基礎単語帳」が新たに公開されました。これは2025年11月に公開された入門レベル(A1)の単語帳に続く教材で、多言語学習において入門の次に立ちはだかる「語彙を増やし、使い方を定着させる」という課題への支援を目的としています。
A2レベル「基礎単語帳」で、語彙学習の次のステップを支援

まず押さえておきたいのは、今回追加された教材が対象とする「A2レベル」の位置づけです。語学学習の国際標準規格であるCEFRでは、A2は「基礎段階の言語使用者」と定義されています。具体的には、自分や家族、買い物、地元の地理、仕事など、直接的に関係のある領域について、単純で直接的な情報交換ができるレベルです。A1の「入門」で自己紹介やごく基本的な表現を学んだ学習者が、次に目指すべき「基礎」を固める段階と言えるでしょう。
「基礎段階の言語使用者」に分類されるレベルです。身近で日常的な事柄について、簡単な文章や頻出表現を使ってコミュニケーションを取ることができるようになることを目指します。例えば、短いメモやメッセージを書いたり、身近な話題について簡単な会話をしたりする力が身につきます。
多言語学習におけるデジタル教材の課題を解決
今回の追加には、英語以外の言語を学ぶ際に多くの学習者が直面する課題への解決策が込められています。それは、入門レベルを超えた後、体系的で継続的に学べるデジタル教材が限られているという問題です。単語の意味を覚えるだけでなく、それを実際の文脈でどう使うのかを学ぶ教材は、特にマイナー言語では見つけにくいものです。
株式会社BooQsは、東京外国語大学が主導する「CEFR-J x28 Project」との産学連携プロジェクトの一環としてこの課題に取り組んできました。今回の「基礎単語帳」は、その取り組みの第2弾として位置づけられており、単に単語を羅列するのではなく、以下のような特徴を持っています。
- 日本語から対象言語、対象言語から日本語への双方向学習が可能。
- 単語ごとに用意された「例文問題」で、文脈の中での使い方を学べる。
- スペイン語や中国語、アラビア語など14言語では、単語と例文の発音問題にも対応。
対応言語は、英語やフランス語、ドイツ語といったメジャー言語から、ウルドゥー語やベンガル語、ウズベク語など、学習教材が豊富とは言い難い言語まで、以下の28言語に及びます。
- 英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語
- 中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語
- ロシア語、アラビア語、ヒンディー語、トルコ語 など
4つの特長で「覚えても忘れる」を防ぐ



今回追加された基礎単語帳は、単語を一時的に覚えるだけではなく、知識を確実に定着させるための4つの学習機能を備えています。語彙学習の最大の課題である「暗記と忘却の繰り返し」を解消する、多角的なアプローチが特徴です。
体系的に学べる双方向の単語問題
単語帳では、学習する言語から日本語の意味を答える問題と、日本語の意味から学習する言語を答える問題の両方向から出題されます。これは、一方通行の暗記を超えた理解を促します。例えば、英語を学ぶ場合、”happy”という単語を見て「幸せな」と答えるだけでなく、「幸せな」という日本語を見て”happy”と答える練習をすることで、単語の「認知」と「想起」の両方の力を鍛えることができます。
文脈で理解を深める例文問題
各収録語彙には、その単語が実際に使われている例文と日本語訳が用意されています。これは、単語を文脈の中で捉え、実際の使い方を学ぶ上で極めて重要です。例文と日本語訳を両方向から学習できるため、読解力と表現力の基礎を同時に養うことが可能です。
単語帳だけの学習と、例文も併用した学習では定着率に差が出ると言われています。単語を文脈とセットで記憶することで、脳内での情報の結びつきが強まり、必要な時に引き出しやすくなるのです。
14言語で発音問題も対応
スペイン語、イタリア語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、ブラジルポルトガル語、中国語、ポーランド語、アラビア語、韓国語、ベトナム語、タイ語、ヒンディー語、マレー語、英語の14言語では、単語と例文の発音問題が利用できます。語学学習において、発音はコミュニケーションの根幹をなす要素です。意味や使い方を知っていても、正しく発音できなければ伝わりません。この機能により、「読めるけど話せない」という壁を越え、基礎的なスピーキング力の向上を目指すことができます。
| 学習スタイル | 得られる力 | 定着度の目安 |
|---|---|---|
| 単語帳のみ | 意味の認知・想起 | 基礎的な理解 |
| 単語帳 + 例文 | 文脈理解・運用能力 | 実践的な定着 |
| 単語帳 + 例文 + 発音 | 総合的な言語運用能力 | 高い定着と応用 |
間違えた問題を復習し、記憶を定着
学習を進める中で間違えた問題は、アプリ内の復習機能で効率的に再学習できます。これは、忘れかけのタイミングで適切に復習を促す仕組みです。新しい語彙との出会いから問題演習、復習までを一つのサービス内で行うことで、学習の継続性を高め、「覚えても忘れてしまう」という語学学習の古典的な課題に直接アプローチしています。
- 双方向の単語問題で「認知」と「想起」を鍛える
- 例文問題で単語の実際の使い方を文脈ごと学習
- 14言語で発音問題に対応し、スピーキングの基礎を養成
- 間違えた問題を最適なタイミングで復習に回す
英語学習者にとっての活用メリット



今回追加された28言語対応の「基礎単語帳」は、英語学習者にとって、資格試験対策と総合的な語彙力強化の両面で価値を持つ学習ツールです。単語を調べ、覚え、文の中で理解し、発音するまでの一連の学習サイクルを一つのアプリ内で完結できる効率性が魅力です。
単語の意味確認(辞書機能)、暗記(単語帳)、文脈理解(例文)、発音練習まで一つのアプリで完結する効率性が最大の魅力です。
TOEICや英検の基礎語彙対策に
国際標準規格CEFRのA2レベルは、日常会話や基礎的な文章理解に必要な語彙層です。これは、TOEICではスコア目安200〜400点程度、英検では3級〜準2級の基礎固めに相当するレベルと考えられます。これらの試験で高得点を目指すには、まずこのレベルの語彙を確実に定着させることが第一歩です。
DiQtの「基礎単語帳」は、A2レベルの語彙を体系的に網羅しており、試験対策の土台作りに適しています。単語問題では「英→日」「日→英」の双方向から出題されるため、単語の意味を認識するだけでなく、自分で書いたり話したりするための「出力力」も同時に鍛えることができます。
「読む・書く・聞く・話す」の総合学習ツールとして
単語学習を「暗記」で終わらせないための工夫が、例文問題と発音問題に詰まっています。例文問題を通じて、単語が実際の会話や文章の中でどのように使われるのかを文脈ごと学べます。これは、リーディング力とライティング力の向上に直結します。
さらに英語を含む14言語では、単語と例文の発音問題も用意されています。画面を見て音声を聞き、自分でも発音を試すことで、「聞く」と「話す」の基礎的なスキルも養うことが可能です。特に独学では練習機会が少ないスピーキングの基礎を、アプリ内で気軽に試せる点はメリットです。
- 資格試験の基礎固めに:A2レベル語彙の体系的学習でTOEIC・英検の土台を強化。
- 四技能を総合的に伸ばす:単語暗記に加え、例文で読解力・表現力、発音問題でリスニング力・発話力を養成。
- 学習の継続をサポート:間違えた問題の復習機能で、記憶の定着を促進し、「覚えては忘れる」を防ぐ。
- マルチリンガル学習の基盤として:英語学習で効果を実感した後、同じシステムで他の言語の学習を開始できる。
このように、DiQtの「基礎単語帳」は、単なる単語暗記アプリを超えて、語学学習の核となる語彙力を「読む・書く・聞く・話す」のすべての側面から支える総合学習ツールとしての価値があります。英語学習の次のステップとして、また将来的に複数言語を学びたいと考えている学習者にとって、強力な味方となるでしょう。
東京外大との産学連携「CEFR-J x28 Project」との連携



今回の「基礎単語帳」追加の背景には、東京外国語大学との深い産学連携があります。2024年、同大学が主導する「CEFR-J x28 Project」の一環として、このアプリが大学に導入されました。これは、多言語教育の現場における実践的なニーズを反映した教材開発の基盤となっています。
「CEFR-J x28 Project」は、ヨーロッパで広く使われる語学力の基準「CEFR」を日本の教育環境に合わせて調整した「CEFR-J」を、東京外国語大学で学べる28言語すべてに適応させ、体系的な教材開発と学習評価の基盤を整備することを目指しています。
この連携に基づき、まず2025年11月には学習の最初の一歩となる「入門単語帳」が公開され、今回の「基礎単語帳」へと発展しました。大学の教育研究と連動することで、単なる単語の羅列ではなく、学習者が実際に必要とする基礎語彙とその使い方を体系的に学べる教材シリーズが構築されている点が特筆されます。
大学の語学教育を支える学習基盤、教育機関向けの専用システム「DiQt LMS」も展開
このアプリの技術とノウハウは、一般の学習者向けサービスだけでなく、教育機関の語学教育を支援する専用システム「DiQt LMS」としても展開されています。このシステムにより、大学などの教育機関は、独自の単語帳や問題集の作成、学習者の進捗管理、詳細な学習分析を行うことが可能になります。
- 東京外国語大学への導入実績(2024年)
- 九州大学、北海道教育大学、函館工業高等専門学校など複数の教育機関での採用
- 語彙学習や発音学習、学習履歴分析に関する機能開発の支援も実施
つまり、今回学習者が利用できる「基礎単語帳」は、大学の語学教育現場で培われた信頼性の高いコンテンツに基づいており、個人学習でも高い学習効果が期待できる仕組みと言えるでしょう。
アプリの入手方法と今後の展望
今回、A2レベル「基礎単語帳」が追加された語学学習アプリは、複数の利用形態を用意しており、学習者の環境に合わせて柔軟に利用できます。具体的には、Webアプリ、iOSおよびAndroid向けのスマートフォンアプリ、そしてブラウザ拡張機能が提供されています。これにより、パソコンでじっくり学習する時も、外出先のスキマ時間にスマートフォンで確認する時も、ブラウジング中に単語を調べてすぐに単語帳に追加することも、シームレスに行うことが可能です。
今回のプレスリリースでは、サービス全体の基本料金や「基礎単語帳」自体の価格設定に関する具体的な言及はありません。アプリのダウンロード自体は無料で行える可能性がありますが、詳細な料金体系や課金の有無については、各アプリストアのページまたは公式サイトでご確認ください。
アプリの基本的な使い方は直感的です。まずアプリにログインし、画面上の「単語帳」メニューを選択します。次に、学習したい言語をプルダウンメニューから選び、最後に「基礎単語帳」をタップするだけで学習を開始できます。単語の意味確認と例文学習は別々のメニューから選択可能で、自分の学習スタイルに合わせて進められます。
この学習の流れをステップで確認してみましょう。
アプリにログインし、メイン画面から「単語帳」を選択します。
プルダウンメニューから、英語やフランス語など、学習したい言語を選択します。
表示された教材一覧から「基礎単語帳」を選び、「単語帳」または「例文問題」のどちらから学習を始めるかを決定します。
中級・上級レベルへの拡充を計画
今回のA2レベル「基礎単語帳」の追加は、多言語学習を支援するこのサービスの成長の一歩に過ぎません。発表によると、開発元は今後も各言語の中級・上級レベルの語彙や例文教材を順次拡充していく計画を明らかにしています。これは、学習者が入門レベルからスタートし、最終的には高度な運用力の習得を目指すまでの長期的な学習旅程を、一つのプラットフォーム内で継続的にサポートできる「多言語学習基盤」の構築を目指すためです。
特に英語以外の言語では、レベルに応じた体系的なデジタル教材が不足しているケースが多いのが現状です。辞書、単語帳、例文、復習機能を連携させるこのアプリのアプローチは、教材が限られている言語の学習者にとって、自分のペースで確実に語彙力を伸ばしていくための貴重な環境を提供する可能性があります。今後の教材拡充に期待が寄せられます。
関連リンク










