英語で「〜できる」を表す表現として、まず思い浮かぶのは「can」と「be able to」の2つではないでしょうか。学校では「canは可能、be able toは能力」と習った方も多いはずです。しかし、実際の英文に触れるうちに、この単純なルールでは説明できない場面が次々と現れ、いつしか「どっちを使えばいいんだろう?」と迷うようになってしまう。これは多くの学習者が経験する共通の悩みです。この記事では、その迷いを根本から解消するために、従来の二分法を超えた、全く新しい視点から「can」と「be able to」の使い分けを徹底解説していきます。
「can」と「be able to」の違いは、単なる「可能」と「能力」ではない
なぜいつまでも迷うのか?従来の説明の限界
多くの参考書や授業では、「can」と「be able to」の使い分けを以下のように説明しています。
- can:生まれつきの能力や、一般的に可能なこと(例:I can swim.)
- be able to:努力によって獲得した能力や、特定の状況下での可能性(例:I was able to finish the work.)
この説明自体は間違っていません。しかし、これだけではスッキリと腑に落ちない例がたくさんあります。例えば、以下のような英文を考えてみましょう。
- He can speak three languages.(彼は3ヶ国語を話せる。)
- After studying hard, he is able to speak three languages.(一生懸命勉強した後、彼は3ヶ国語を話せるようになった。)
この場合、「can」も「be able to」も「(努力によって獲得した)能力」を表しています。では、なぜ使い分けられるのでしょうか?
鍵は「話し手の認識」にある:心理的視点の導入
実は、この使い分けの本質は、話し手がその「できる」という状態をどのように捉えているか、つまり心理的視点の違いにあります。
「can」は、話し手がその能力や可能性を一般的・恒常的・当たり前のものとして認識している時に使います。一方、「be able to」は、それを具体的・状況的・特別な結果として認識している時に使います。これは「可能 vs 能力」ではなく、「一般的視点 vs 具体的視点」の違いなのです。
先ほどの例で考えてみましょう。
- 「He can speak three languages.」では、話し手は「彼が3ヶ国語を話せる」という事実を、彼の持っている属性や特徴として、静的に捉えています。今この瞬間の能力を報告しているというより、彼についての一般的な情報を伝えている感覚です。
- 「After studying hard, he is able to speak three languages.」では、話し手は「努力」という具体的なプロセスを経て、「話せるようになった」という変化や達成の結果に焦点を当てています。ここでは、能力そのものよりも、そこに至るまでの状況や経緯が重要な文脈となっています。
この「心理的視点」の違いこそが、「can」と「be able to」の使い分けを統一的に説明する鍵となります。次のセクションでは、この視点を基に、時制や様々な文脈での具体的な使い分けを詳しく見ていきましょう。
過去形が明らかにする決定的な違い:could と was/were able to
現在形の「can」と「be able to」の違いを押さえたら、次は過去形です。英語学習者の多くが陥る落とし穴が、この「could」と「was/were able to」の使い分けです。多くの場合、どちらも「〜できた」と訳せてしまうため、混同しがちです。しかし、ここにこそ、両者の本質的な違いが最も明確に現れるのです。
過去形では、「継続的な状態」を表すのか、「一回きりの具体的な行動」を表すのかが、表現を選ぶ決め手になります。このルールを理解すれば、過去の「〜できた」で迷うことはほぼなくなります。
「継続的な能力」を語るときは『could』, 「(具体的な場面で)実際にできた」は『was/were able to』
この見出しがすべてを物語っています。過去の「能力」には2種類あるのです。
- 一般的能力: 過去のある期間にわたって持っていたスキルや能力。例えば、「子供の頃、泳げた」「学生時代、ピアノが弾けた」といった表現です。
- 特定の成功・達成: ある特定の状況で、努力や工夫の結果として「実際にやり遂げた」こと。例えば、「難しい問題を解くことができた」「遅刻せずに会議に間に合うことができた」といった表現です。
この「一般的能力」には「could」を、「特定の成功・達成」には「was/were able to」(または「managed to」)を使うのです。
| 使う表現 | 意味の核心 | 例文 |
|---|---|---|
| could | 過去の継続的・一般的な能力 | I could swim when I was five.(5歳の頃、泳げた。) |
| was/were able to | 過去の特定の状況での成功・達成 | I was able to finish the report last night.(昨夜、なんとかレポートを終わらせることができた。) |
「could」は過去の「状態」を、「was/were able to」は過去の「具体的な行動(結果)」を表す、と考えるとわかりやすいでしょう。日本語ではどちらも「〜できた」と訳せますが、英語ではこの違いが厳然と存在します。
【正誤例で確認】could と was/were able to の使い分け
- 正しい例(継続的能力): She could speak three languages fluently in her twenties.(彼女は20代の頃、3ヶ国語を流暢に話せた。)
- 正しい例(特定の達成): After studying hard, he was able to pass the difficult exam.(一生懸命勉強した後、彼はその難しい試験に合格することができた。)
- 注意すべき例: 「昨日、渋滞の中、なんとか空港に間に合った。」
→ (誤)I could get to the airport in time yesterday despite the traffic.
→ (正)I was able to get to the airport in time yesterday despite the traffic.
上記の誤りの例では、「昨日」という特定の一度きりの状況で「実際に間に合った」という成功を表しています。これは「could」ではなく「was able to」を使うべき場面です。
例外:感覚動詞では「could」が万能
ここで重要な例外をお伝えします。「見る」「聞く」「嗅ぐ」などの感覚を表す動詞(see, hear, smell, feel, tasteなど)の場合は、過去の一般的な能力でも特定の場面での知覚でも、どちらにも「could」が使えることが一般的です。
- I could see the mountains from my old house. (継続的能力:昔の家から山が見えた。)
- I listened carefully and could hear a faint sound. (特定の知覚:注意深く耳を澄ますと、かすかな音が聞こえた。)
感覚的な「知覚」は、努力して「達成」するものというよりは、自然に「できる」状態だからだと考えられます。そのため、過去形でも「could」が広く使われ、特定の状況でも違和感が少ないのです。ただし、「was able to see」と言っても間違いではありません。
過去形の使い分けルールを一言でまとめると、「昔は〜できた(状態)なら『could』、その時なんとか〜できた(行動)なら『was/were able to』」。そして感覚動詞は特別に扱う。この原則を覚えておけば大丈夫です。
未来を語るときの「見えない壁」:can の使用制限とその理由
これまで見てきた「話し手の認識」という視点は、未来の表現を考えるときにも大きなヒントを与えてくれます。多くの学習者が直面する疑問、「未来の『できる』は『can』じゃダメなの?」という問題です。実は、「can」は基本的に「未来」を単独で表すことができません。これは、canの本質が「現在の話し手の認識」を表すことに起因しています。未来はまだ確定していない「事象」だからです。
未来の単純な予定や約束を伝えるときには、「will be able to」を使います。「can」は使いません。
- I can meet you next week. (不自然な表現)
- I will be able to meet you next week. (自然な表現:来週なら会えるよ)
なぜ「can」が使えないのでしょうか? それは、来週会えるかどうかは、今この瞬間には「確定した状態」ではないからです。天候、体調、交通機関など、未来には不確定要素がたくさんあります。「will be able to」は、そのような「未来に実現するであろう能力や可能性」という「事象」を表現するのに適しているのです。
未来の「〜できる」は、『will be able to』が基本形です。can は未来の単純な予定や約束には使えません。
未来の単純な予定・意思には『will be able to』, 『can』が未来で使える例外ケース:確信と現在の決定
では、「can」は一切未来の文脈で使えないのでしょうか? そうではありません。ここでも「話し手の認識」が鍵になります。以下の2つのケースでは、未来のことを言っているのに「can」を使うことが可能です。
- ケース1:現在の状況から未来の可能性が極めて高いと話し手が確信しているとき
- ケース2:現在の決定として未来の許可を与えるとき
どちらのケースも共通しているのは、「話し手が未来を“現在の延長線上にある確かなもの”として認識している」という点です。
実際の例文で、ニュアンスの違いを体感してみましょう。
シチュエーション:今日は定時で仕事が終わりそうな状況。同僚に伝えます。
- I can leave early tomorrow. (明日は早く帰れるよ。)
この「can」は、明日という未来について話していますが、「今の状況(今日の仕事の進み具合)を見る限り、明日早く帰れることはほぼ確実だ」という現在に基づく強い確信を表しています。未来を「今の延長にある確かな状態」として捉えているため、「can」が使えるのです。
シチュエーション:友達が「来週のパーティーに行ってもいい?」と聞いてきました。あなたが主催者です。
- Yes, you can come to the party. (うん、あなたもパーティーに来ていいよ。)
ここでの「can」は、未来(来週のパーティー)に対する許可を、今この瞬間に決定して与えていることを表します。許可という「状態」を、現在の決定として設定しているのです。これも、未来の事象を「現在の決定という状態」として認識していると言えます。
この2つの例外を理解すると、「can」と「will be able to」の使い分けがはっきりします。未来のことを話すときは、まず「will be able to」が基本。しかし、「今すでに確信している」または「今ここで決定・許可する」という強い現在性がある場合に限り、「can」の使用が可能になるのです。このルールを押さえることで、未来表現での迷いは大きく減るはずです。
「一回限りの成功」と「持続する能力」:状況的可能性 vs 内在的能力
これまで見てきた過去形や未来形の違いを理解する上で、実は現在形の本質を捉えることが最も重要です。現在形の「can」と「be able to」の使い分けには、「状況的可能性」と「内在的能力」という、英語の奥深いニュアンスの違いが隠れています。
「できる」という日本語訳だけでは区別がつきませんが、英語ではこの区別が明確です。この違いをマスターすれば、より自然で、より正確な英語表現が可能になります。
困難を乗り越えた「達成」には be able to, 生まれ持った「属性」や「特性」には can
この区別を最も簡単に理解する方法は、「一回限りの成功」か「持続する能力」かを考えることです。
特定の状況下での努力や運による「達成」は「be able to」、個人や物が本来持つ「属性・特性・機能」は「can」で表します。
具体的な例で理解を深めましょう。
- 「be able to」が自然な例
「やっとの思いで重いドアを開けた」
→ The door was very heavy, but I was able to open it.
(特定の状況下での一回限りの努力と成功) - 「ぎりぎりで電車に乗れた」
→ I was able to catch the train just in time.
(運やタイミングによる一回限りの成功) - 「時間内にレポートを終わらせられた」
→ I was able to finish the report on time.
(特定の締め切りという状況下での達成)
- 「can」が自然な例
「彼は3か国語を話すことができる」
→ He can speak three languages.
(彼が持つ恒常的な言語能力という属性) - 「このアプリはPDFをJPEGに変換できる」
→ This app can convert PDF files to JPEG.
(アプリが持つ恒常的な機能) - 「彼女はピアノを弾くことができる」
→ She can play the piano.
(彼女が持っている技能という特性)
この区別は、特にTOEICのPart 5(短文穴埋め問題)や、英検の語法・文法問題で頻出のポイントです。選択肢に「can」と「is able to」の両方が現れたら、この「一回性 vs 恒常性」の観点で考えるのが正答への近道です。
その「できる」が、特定の状況や努力の結果なのか、それとも持って生まれた(または長期的に保持している)能力・特性なのかを判断します。
- be able to を示唆する言葉:
「finally(ついに)」「managed to(どうにか〜した)」「with difficulty(困難ながら)」「in time(間に合って)」など、努力や状況を表す副詞・句。 - can を示唆する言葉:
「fluently(流暢に)」「well(上手に)」「always(いつも)」「by nature(生まれつき)」など、能力の質や恒常性を表す言葉。
主語が「人」か「物」かもヒントになります。機械やツールの「機能」は、それが設計上持っている「属性」なので、ほぼ確実に「can」を使います。
例外に注意!
上記のルールには、知っておくべき重要な例外があります。「学習によって身につけた能力」は、長期的に保持される「特性」とみなされるため、「can」を使って表現するのが一般的です。例えば、「泳ぐことができる(泳ぎを習得した)」「車の運転ができる(免許を取得した)」などは、特定の状況ではなく、その人が持っている技能として「can」で表します。
TOEICや英検では、「Despite the noise, she ( ) concentrate and finish her work.」のような問題が出題されます。ここで「騒音にもかかわらず」という「特定の困難な状況」が示されているので、答えは「was able to」になります。このように、文脈に隠れた「状況」のヒントを見逃さないことが高得点のカギです。
許可・依頼・申し出:フォーマル度と心理的距離のニュアンス
「can」は、可能性や能力だけでなく、日常会話で頻繁に使われる「許可」「依頼」「申し出」の表現でも欠かせません。しかし、ここでも「can」と「be able to」の使い分け、そしてより丁寧な表現との選択が重要になります。この使い分けの鍵は、「場面のフォーマル度」と「相手との心理的距離」にあります。
「許可」を求める時、「can」はフレンドリーで、「be allowed to」は規則を意識した表現。丁寧さが必要な場面では「could」や「may」を選びましょう。
「許可」の can と be allowed to の微妙な差
「〜してもいい?」と許可を求める時、多くの学習者は「Can I…?」を最初に学びます。これは間違いではありませんが、より状況に合った表現を覚えると、会話の幅が広がります。
基本的なルールは以下の通りです。
- Can I…? / Can you…?:最も一般的でカジュアルな表現です。友人や家族との日常会話で使います。
- Could I…? / Could you…?:「Can」よりも丁寧で控えめな響きがあります。目上の人や、ややフォーマルな場面で好まれます。
- May I…?:非常に丁寧でフォーマルな表現です。公式な場や、厳格な印象を与えたい時に使います。学校の先生が「May I have your attention?(静かにしてください)」と言うようなイメージです。
一方、「be allowed to」は少し性質が異なります。これは「(規則・法律・権限によって)許可されている」という客観的事実を述べる表現です。
つまり、友達に「携帯電話使っていい?」と聞くときは「Can I use my phone?」が自然ですが、図書館で「ここで飲食は許されていますか?」と規則を確認する時は「Are we allowed to eat here?」の方が適切です。
「依頼」と「申し出」における自然さの違い
「依頼(相手に何かをしてほしい)」と「申し出(自分が何かをしてあげる)」でも、同様のニュアンスの違いが存在します。
依頼の丁寧さのグラデーション:Can you…? < Could you…? < Would you mind…?
- Can you pass me the salt?(塩取ってくれる?)→ 非常にカジュアルな依頼。
- Could you send me the file by tomorrow?(明日までにファイルを送ってくれますか?)→ ビジネスメールなどでも使える丁寧な依頼。
- Would you mind closing the window?(窓を閉めていただけますか?)→ 最も丁寧で遠慮がちな依頼。「mind(気にする)」を使うことで、相手の意向を尊重する姿勢を示します。
次に「申し出」を見てみましょう。相手を手伝いたい時、最も自然でよく使われるのは「Can I help you?」です。店員が客に声をかける定番フレーズとしてもお馴染みですね。
Shall I…? も申し出で使えますが、「Can I…?」よりも格式ばった、あるいはやや古風な響きがあります。特にイギリス英語で好まれる傾向があります。
- Can I carry your bags?(鞄をお持ちしましょうか?)→ 自然でフレンドリーな申し出。
- Shall I open the window?(窓を開けましょうか?)→ 丁寧で控えめな申し出。状況によっては「Can I…?」より適切に感じられる場合もあります。
| 場面・意図 | カジュアル ← フォーマル度 → 丁寧 | 主な使用例 |
|---|---|---|
| 許可を求める | Can I…? → Could I…? → May I…? | 友達に借りる / 上司に確認 / 公式な申請 |
| 依頼をする | Can you…? → Could you…? → Would you mind…? | 家族に頼む / 同僚に依頼 / 目上の人にお願い |
| 申し出をする | Can I…? → Shall I…? | 日常的な手助け / 丁寧な配慮を示す |
| 規則の有無を確認 | Be allowed to (フォーマル度に関わらず客観的事実を問う) | |
このように、「許可」「依頼」「申し出」の表現は、単に文法が正しいかどうかだけでなく、どの表現がその場に最もふさわしいかを考えることが、自然な英語コミュニケーションへの近道です。
否定文ではどうなる? can’t と not able to の意外な共通点と違い
これまで「can」と「be able to」の肯定文の違いを見てきました。では、否定形の「can’t」と「not able to」はどう使い分ければいいのでしょうか?実は、過去形や未来形と同様に、否定文でも「時制」と「否定の対象」が使い分けのカギになります。ここを理解すれば、より自然で正確な否定表現が身につきます。
過去の「できなかった」はほぼ同じ意味に
過去のある特定の場面で「できなかった」と言いたい時、多くの学習者は「couldn’t」しか思い浮かばないかもしれません。しかし、実は「wasn’t/weren’t able to」も同じように使うことができ、両者の意味の違いはほとんどありません。
過去の一回限りの出来事や具体的な状況で「できなかった」と表現する場合、「couldn’t」と「wasn’t/weren’t able to」はほぼ同じ意味で置き換えが可能です。どちらを使っても大きな問題はありません。
過去の特定の「できなかった」は「couldn’t」と「wasn’t/weren’t able to」でほぼ同じ。
以下の例文で、その使い方を確認してみましょう。
I couldn’t open the door yesterday. (昨日、私はそのドアを開けることができなかった。)
I wasn’t able to open the door yesterday. (昨日、私はそのドアを開けることができなかった。)
どちらの文も、昨日という特定の日に、物理的にドアを開けることができなかったという事実を伝えています。ニュアンスの違いはほとんど感じられません。
未来の「できないだろう」と強い不可能性の表明
未来のことを「できないだろう」と否定する場合、一般的には「won’t be able to」を使います。ここでも「can’t」は単純未来として使えないというルールが適用されます。
- I won’t be able to attend the meeting tomorrow. (明日の会議には出席できないでしょう。)
- She won’t be able to finish the report by Friday. (彼女は金曜日までにレポートを終えられないだろう。)
一方で、「can’t」は現在の状況や判断に基づいて「(将来的にも)ありえない」「絶対に無理だ」という強い不可能性を表明する際に未来の意味で使うことができます。
I can’t come tomorrow no matter what. (明日は何があっても来られません。)
この文は、単に「明日来られないだろう」と予測しているのではなく、「(現在の状況から判断して)明日来ることは絶対に不可能だ」という強い断定と、ある種の諦めのニュアンスを含んでいます。これが「can’t」が持つ、現在の判断に基づく強い不可能性の表明です。
「ありえない!」という推量の「can’t」
否定文の「can’t」にはもう一つ、非常に重要な用法があります。それは「〜のはずがない」「〜であるわけがない」という現在の推量を表す用法です。これは「be able to」では表現できない、「can」独自の否定の意味です。
- That can’t be true! (それは本当なはずがない!)
- He can’t be at home now. (彼が今家にいるはずがない。)
- You can’t be serious. (本気じゃないだろう。)
「〜のはずがない」という推量の否定は「can’t」でしか表現できない。これは「be able to」に置き換えられない重要な用法。
- 過去の「できなかった」 : 「couldn’t」と「wasn’t/weren’t able to」はほぼ同じ意味で使える。
- 未来の「できないだろう」 : 一般的には「won’t be able to」を使う。ただし、強い不可能性の表明には「can’t」も使える。
- 推量の「ありえない!」 : 「can’t」のみが持つ特別な用法。「〜のはずがない」という意味で、この場合は「be able to」では表現できない。
実践!総合クイズで理解度をチェック
これまで学んできた「can」と「be able to」の使い分け。頭ではわかっていても、実際に問題を前にすると迷うことはありませんか?ここでは、TOEICや英検形式の選択問題と、微妙なニュアンスを再現する和文英訳問題に挑戦していただきます。解答解説では「なぜそれが正しいのか」を、心理的視点から深く掘り下げて説明します。理解の最終チェックとして活用してください。
空所補充問題(TOEIC/英検形式)
次の5問は、過去・未来・否定形・一回性/継続性など、様々な観点から出題します。正しい選択肢を選んでください。
- 1. Despite the heavy rain, the rescue team finally ( ) reach the stranded hikers before nightfall.
-
- could
- was able to
- were able to
正解: 3. were able to
- 2. I’m not sure if I ( ) attend the meeting tomorrow. My schedule is still up in the air.
-
- can
- will be able to
- am able to
正解: 2. will be able to
- 3. When I was a child, I ( ) swim for hours without getting tired. Those were the days.
-
- could
- was able to
- can
正解: 1. could
- 4. Sorry, but I ( ) help you move the piano. I have a bad back.
-
- can’t
- am not able to
- won’t be able to
正解: 1. can’t / 2. am not able to (両方正解)
- 5. The system is under maintenance, so you ( ) access your account for the next few hours.
-
- can’t
- won’t be able to
- aren’t able to
正解: 2. won’t be able to
- 3. were able to:主語は「the rescue team」で複数形です。過去の一回限りの具体的な成功(やっとのことでたどり着くことができた)を表すため、「could」ではなく「were able to」が正解です。「could」は継続的な能力や一般的な可能性に使われます。
- 2. will be able to:未来の「できるかどうか」の可能性を表しています。未来形で「can」を使うことは基本的にできず、「will be able to」が唯一の正しい形です。スケジュールが不確実という文脈も未来形を後押しします。
- 1. could:過去の継続的・一般的な能力を表しています。子供の頃に「何時間も泳げた」というのは習慣的・潜在的な能力なので、「could」が最も自然です。「was able to」は、特定の日にそれを達成したニュアンスが出てしまいます。
- 1. can’t / 2. am not able to:両方正解です。現在の能力の欠如を表す場合、「can’t」と「am not able to」はほぼ同じ意味で使えます。ただし、「can’t」の方が会話ではより頻繁に使われる傾向があります。腰が悪いという永続的な状態を示しているので、「won’t be able to」(未来の一時的な不能)は不適切です。
- 2. won’t be able to:未来の一時的で特定された期間(次の数時間)における不能を表します。「for the next few hours」という未来の期間指定があるため、「will be able to」の否定形が最適です。「can’t」は現在の一般的不能、「aren’t able to」は現在の継続的不能を表し、未来の特定期間にはあまり使いません。
和文英訳:微妙なニュアンスを再現せよ
次は、日本語の微妙な含意を英語で正確に表現する力試しです。それぞれの文に込められた「心理」を考えながら、適切な『can』または『be able to』の形で英訳してみましょう。
- 1. (鍵が見つからず焦っていたが)よかった!やっとドアを開けられた。
-
(解答例) Thank goodness! I was finally able to open the door.
- 2. 彼は生まれつき音楽の才能があって、3歳の時からピアノが弾けたそうだ。
-
(解答例) He has a natural talent for music and could play the piano from the age of three.
- 3. もし明日時間があれば、あなたを駅まで送れるよ。
-
(解答例) If I have time tomorrow, I will be able to give you a ride to the station.
- 「やっと…できた」という「達成感」と「困難の克服」:文脈から、これは過去の一つの具体的な出来事での成功であり、おそらく努力や試行錯誤の末の結果です。このような「一回性の成功・達成」を表すには「was able to」が必須です。「could」を使うと、「ドアを開ける能力はあった(けど開けたかどうかは不明)」という意味合いになり、達成感が伝わりません。
- 「元々できた」という「生得的・継続的な能力」:この文は、彼が3歳の時点でピアノを弾くという一般的・潜在的な能力を持っていたことを述べています。特定の日に一曲を弾いたという話ではなく、過去にわたる能力の存在が焦点です。したがって、「could」が最も適切です。「was able to」を使うと、3歳の時に(何かの曲を)弾くことに成功した、という一回的なニュアンスが強くなってしまいます。
- 「もし…なら、できるだろう」という「未来における条件付きの可能性」:未来の出来事であり、その実現は「時間があるかどうか」という条件に依存しています。未来の可能性、特に条件節(if節)の中で表現する場合は、「will be able to」が最も明確で自然な選択肢です。未来形で「can」を使うことはできません。ここでの心理は、現在の約束ではなく、未来の状況が整った際の見込みを伝えています。
このセクションで試した内容は、試験問題を解く上でも、自然な英会話や英文を書く上でも、非常に重要な判断基準です。迷った時は、「一回限りの具体的成功か?(→ be able to)」「継続的・一般的な能力か?(→ can/could)」「未来の話か?(→ will be able to)」と自問してみると、答えにたどり着きやすくなります。
まとめ:使い分けの核心は「話し手の認識」にあり
「can」と「be able to」の使い分けは、単なる文法ルールの暗記ではなく、話し手が状況をどう捉え、どう表現したいかという視点の違いに基づいています。この記事で解説したポイントを整理しましょう。
- 過去形: 継続的・一般的な能力は「could」、特定の状況での成功・達成は「was/were able to」。
- 未来形: 基本的に「will be able to」を使う。強い確信や現在の決定による許可の場合のみ「can」が使える。
- 現在形: 恒常的・内在的な能力・属性は「can」、一回限りの状況的達成は「be able to」。
- 許可・依頼・申し出: フォーマル度に応じて「Can I…?」「Could I…?」「May I…?」を使い分ける。規則の確認には「be allowed to」。
- 否定形: 過去の「できなかった」は「couldn’t」と「wasn’t/weren’t able to」はほぼ同義。未来の不能は「won’t be able to」。推量の「ありえない」は「can’t」のみ。
この「心理的視点」を理解することで、文法書には載っていない微妙なニュアンスを感じ取り、より自然で適切な表現を選ぶ力が身につきます。最初は意識して使い分ける必要があるかもしれませんが、英語に触れ、実際に使っていくうちに、この感覚は自然と体に染み込んでいくはずです。

