「whichとthatの違いって何?」「whoとwhomはどう使い分けるの?」「カンマをつけるかつけないかで迷う…」そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。学校では「whichは物、thatは物・人」「whoは主格、whomは目的格」と個別のルールを学びますが、それだけでは実際の会話や文章でスムーズに使いこなすのは難しいものです。
実は、ネイティブスピーカーは一つひとつのルールを暗記しているのではなく、「自分が伝えたい情報の性質」をまず判断しています。この最初の判断が、正しい関係代名詞と句読点の選択を導く、最も重要な鍵なのです。このセクションでは、その「ネイティブの思考回路」の第一歩である「情報の性質」を見極める方法を、徹底的に整理していきます。
関係代名詞の大前提:あなたが伝えたい情報は「必須」か「追加」か?
関係代名詞を使うとき、最初に自問すべきことはこれです。「この情報がなければ、相手は私が言いたい『誰』『何』を特定できないだろうか?」
関係代名詞の選択は、文法の「形」からではなく、伝えたい情報の「役割」から始まります。その情報が「必須」か「追加」かを判断することが、すべての基礎です。
制限用法(必須情報)と非制限用法(追加情報)を「思考」の観点から理解する
- 制限用法(必須情報): これは、文の主役である「先行詞」が何であるかを、聞き手・読み手が明確に特定するために絶対に必要な情報です。この情報を省略すると、誰のことか、どのもののことかがわからなくなってしまいます。
- 非制限用法(追加情報): 先行詞が何であるかはすでに特定されており、それに付け加えるコメントや補足説明です。この情報がなくても、文の核心的な意味は伝わります。
ネイティブの頭の中では、まず「この情報は文の核心か?それとも付加的なものか?」というフィルターが働いています。この思考プロセスを意識することが、関係代名詞マスターへの近道です。
カンマの有無が意味を大きく変える:2つの用法の視覚的・意味的違い
この「必須」と「追加」の違いは、書かれた英文ではカンマの有無という明確な視覚的サインで表されます。以下の比較テーブルで、その違いを具体的に確認しましょう。
| 用法 | 視覚的特徴 | 情報の性質 | 例文と解説 |
|---|---|---|---|
| 制限用法 (Restrictive Clause) | カンマなし | 必須情報 (先行詞を限定・特定) | The book that I borrowed from you was fascinating. (あなたから借りたその本は面白かった。) → 「どの本?」を特定するための必須情報。カンマがなく、文と一体化。 |
| 非制限用法 (Non-restrictive Clause) | カンマあり (前後または前) | 追加情報 (先行詞に付随する説明) | This novel, which I borrowed from you, was fascinating. (この小説は、あなたから借りたものなのですが、面白かった。) → 「この小説」はもう特定済み。借りたことは補足的な追加情報。カンマで区切られる。 |
例文の違いを考えてみましょう。「The book that I borrowed…」では、話し手が読んだ「本」がたくさんある中で、「あなたから借りた」という情報が、どの一冊のことを指しているのかを聞き手に伝えるための決定的な要素です。これを省略すると「The book was fascinating.」だけで、どの本かが特定できません。
一方、「This novel, which I borrowed…」では、話し手は目の前にある「この小説」という特定の一冊を指しています。聞き手もそれがどの小説かわかっています。その上で、「実はあなたから借りたんですよ」という追加の事実を付け加えているのです。この情報がなくても「この小説は面白かった」という核心メッセージは変わりません。
つまり、関係代名詞を前にしたら、まずは「カンマが必要か否か」を判断する。その判断基準が、「伝えようとしている情報が、先行詞を特定するために必須かどうか」なのです。この大前提をしっかりと押さえた上で、次に進む「which」「that」「who」「whom」の個別の使い分けが、驚くほどすっきりと理解できるようになります。
「who」と「whom」の完全マスター:主格・目的格の区別と、現代英語における「whom」のリアルな使われ方
関係代名詞「who」と「whom」の使い分けは、多くの学習者が直面する壁です。文法書には「whoは主格、whomは目的格」と書かれていますが、実際の会話や文章ではどのように使い分けられているのでしょうか。このセクションでは、その核心となる「主格・目的格の見分け方」と、現代英語における「whom」のリアルな使われ方を、文型分析を通じて完全に整理します。
「who」は主語、「whom」は目的語:文型分析で見分ける確実な方法
「who」と「whom」を迷わず使い分けるための絶対的なルールは、関係詞節の中で、その単語が「主語」として働くか「目的語」として働くかを見極めることです。次の例で考えてみましょう。
関係詞節を独立した疑問文に置き換えて考えると、主格か目的格かが明確になります。「Who is talking?」なら主語なので「who」、「Whom did you meet?」なら目的語なので「whom」です。
下の表は、「who」と「whom」が使われる代表的なパターンを対比したものです。主語か目的語かの区別が一目瞭然です。
| 働き | 関係代名詞 | 例文と分析 |
|---|---|---|
| 主語 (S) | who | The woman who is talking is my teacher. (話しているその女性は私の先生です。) → 「who」は節内で「is talking」の主語。 |
| 動詞の目的語 (O) | whom | The man (whom) you met yesterday is a doctor. (あなたが昨日会ったその男性は医者です。) → 「whom」は節内で「met」の目的語。 |
| 前置詞の目的語 | whom | The colleague to whom I reported the issue. (私がその問題を報告した同僚。) → 「whom」は前置詞「to」の目的語。 |
判断フロー:実践的な選択方法
- 手順1:先行詞(修飾される名詞)の直後に関係詞節を作ると仮定する。
- 手順2:その節の中で、関係代名詞に当たる部分が主語(S)か目的語(O)かを考える。
- 手順3:主語なら「who」、目的語なら「whom」が原則。ただし、口語では目的語の場合「whom」を省略するか「who」を使うことも多い。
口語では「who」が主流?フォーマルな場面で「whom」が活躍するケース
ここが最大のポイントです。文法上のルールと、実際の使用頻度には大きなギャップがあります。日常会話やカジュアルなメールでは、目的格であっても「whom」の代わりに「who」が使われることが非常に多く、目的格の関係代名詞自体が省略されることさえ珍しくありません。
「whom」はフォーマルな書き言葉や格式ばったスピーチで生き残っています。一方、ほとんどの日常的な場面では、「who」が目的格の役割も担うようになってきています。これは「間違い」ではなく、言語の自然な変化です。
では、「whom」が確実に必要とされるのはどのような場面でしょうか? 主に以下の2つです。
- 前置詞の直後:前置詞の目的語として関係代名詞を使う場合、特に書き言葉では「to whom」「for whom」「with whom」のように「前置詞 + whom」の形が好まれます。
- フォーマルな文書や試験:学術論文、ビジネスレター、そしてTOEICや英検などの公式試験では、文法ルールに忠実な使い方が求められます。目的格の位置で「who」を使うと、減点対象となる可能性があります。
最後に、試験対策と実践的なコミュニケーションのバランスについて整理しておきましょう。
- TOEICや英検では「who」と「whom」を厳密に区別する必要がありますか?
-
はい、区別する必要があります。これらの試験では正式な文法ルールが採点基準となります。特にPart5(文法問題)やライティングセクションでは、目的格の位置で「who」を選ぶと誤りと判断される可能性が高いです。前置詞の直後(e.g., “to ___”)は「whom」が正解の可能性が特に高いので、意識して区別しましょう。
- 日常会話で「whom」を使いすぎると不自然ですか?
-
場合によりますが、カジュアルな会話で頻繁に「whom」を使うと、少々堅苦しく聞こえることがあります。ネイティブスピーカー同士の自然な会話では、目的格は「who」か省略形が主流です。重要なのは、相手と場面に応じて使い分ける柔軟性を持つことです。友達とのチャットでは「who」、ビジネスメールや公式発表では「whom」と意識するだけで、あなたの英語の適応力は大きく向上します。
核心の比較:「which」と「that」を使い分けるネイティブの「3つの判断基準」
前のセクションで、「who」と「whom」の使い分けは「文の中で主語か目的語か」という文法的な役割が決め手であることを学びました。では、「which」と「that」の場合はどうでしょうか? これらはどちらも「物や事柄」を先行詞とする関係代名詞ですが、ネイティブは単なる文法ルールよりも、「伝えたい情報の本質的な性質」に基づいて使い分けています。ここでは、その思考プロセスを3つの具体的な判断基準に分解して解説します。
基準1: 情報は必須か?「that」の領域と「which」の領域を分ける決定的な線引き
最も重要な基準は、関係代名詞以下が示す情報が「必須(制限的)」か「追加(非制限的)」かです。これは、先行詞をどの程度限定しているかで判断します。
- 必須情報(制限用法): 先行詞の意味を特定するために欠かせない情報。この情報がなければ、どの「物・事柄」を指しているかが曖昧になります。この場合、「that」または「which」が使用可能ですが、特に口語やアメリカ英語では「that」がより一般的です。
- 追加情報(非制限用法): 先行詞について補足的に説明する情報。この情報がなくても、先行詞が何を指すかは明確です。この場合、「which」のみが使用可能で、カンマで区切ります。「that」は使えません。
以下の質問で、情報の性質を判断できます。
- この情報がなければ、先行詞が何を指すか特定できないか?
→ Yes: 必須情報 → 「that」が最適 - この情報は、すでに特定された先行詞についての「余談」や「補足説明」か?
→ Yes: 追加情報 → 「which」のみ使用可能(カンマ必須)
基準2: 先行詞の特殊性:最上級・序数・all/everyなどが先行詞の場合の傾向
先行詞が特定の言葉で修飾されている場合、「that」を強く好む傾向があります。これは、これらの言葉自体が強い限定性を持つため、それに続く関係代名詞も「必須情報」を導く「that」と相性が良いからです。
以下のような先行詞が来る場合、「that」の使用が圧倒的に自然です。
- 代名詞: all, everything, anything, nothing, little, much
- 限定形容詞: the only, the very, the same, the first, the last
- 最上級・序数: the best, the most important, the second
例: 「This is the best movie that I have ever seen.」(これは私が今まで見た中で最高の映画です。)この文では、「which」を使うことも文法的には可能ですが、「that」の方がはるかに自然に響きます。
基準3: 文体とリズム:フォーマルな文章と口語的な文章での好まれる選択
最後は文体や文章のリズムに基づく微調整です。地域差や文脈によっても好まれる選択が変わります。
| 状況 | 傾向 | 例 |
|---|---|---|
| アメリカ英語(口語・公式問わず) | 制限用法では「that」を強く好む。「which」は非制限用法にほぼ限定。 | The car that I bought is red. (一般的) |
| イギリス英語 | 制限用法でも「which」が広く容認される。ただし「that」もよく使われる。 | The car which I bought is red. (容認される) |
| フォーマルな文章(学術論文、公式文書) | 「which」の使用頻度がやや高くなる傾向があるが、基準1,2は最優先。 | Factors which influence the outcome… |
| 文章のリズム | 「that」の方が短く鋭い響き。「which」の方が少し柔らかくフォーマルな印象。同じ単語の繰り返しを避けるため選択されることも。 | …a method that is effective and which can be easily applied. |
試験では、以下の点がよく問われます。「正しいものを選べ」形式では、文法的に絶対に誤りである選択肢を消去法で除外することが有効です。
- 非制限用法(カンマあり)で「that」を使っている選択肢は絶対に誤り。逆に、制限用法で「which」を使っているものは、文法的には誤りではないため、他の要素(先行詞の特殊性など)で判断。
- 先行詞が「all」や最上級の場合、「which」よりも「that」が正解となる可能性が高い。
- 「前置詞+関係代名詞」の形(in which, about whichなど)では、「which」しか使えません。「in that」は「〜という点で」という別の意味になるため注意。
この3つの基準を頭に入れることで、「which」と「that」の選択は、単なる暗記から「意味と効果を考えた能動的な選択」に変わります。次のセクションでは、「whose」を含めた所有格の使い方をマスターしていきましょう。
実践演習:英文読解と英作文で迷わない「関係代名詞選択フローチャート」
これまで学んできた主格・目的格・所有格の違いや、「who/whom」「which/that」の使い分けを、実践の場で確実に活かすにはどうすればよいでしょうか。ここでは、迷いなく関係代名詞を選び、正確に文を読み書きするための具体的な判断プロセスを、読解と作文の両面から解説します。最終的には、あなた自身の「思考回路」を構築することを目指しましょう。
ステップバイステップ判断:先行詞から正しい関係代名詞を導く7つの質問
関係代名詞を選ぶ際、多くの学習者は「感覚」や「暗記」に頼りがちです。しかし、ネイティブの思考に近づくには、体系的に質問を自問するプロセスが最も確実です。以下の7つのステップに従って、誰でも正しい選択ができるようになります。
これが最初の分岐点です。「人」なら「who/whom/whose」の候補に絞られます。
先行詞を特定するために欠かせない情報なら必須(カンマなし)。単なる補足説明なら追加(カンマあり)。
- 主語 → who / which / that
- 目的語 → whom / which / that / (who)
- 所有格 → whose
ついている場合、制限用法では「that」が好まれます(例:the best book that I have ever read)。
- フォーマルな文書:whom(目的格時)、非制限用法のwhichを厳密に使用。
- 会話やカジュアルな文章:whomの代わりにwhoやthat、または関係代名詞の省略も可。
必要なら、「前置詞 + whom/which」の形式か、「whom/which/that … 前置詞」の語順を確認します(例:the person to whom I spoke)。
選択した関係代名詞とカンマの有無で、意図した意味が正確に伝わるかを確認します。
長文読解編:関係代名詞の種類が文の解釈に与える影響(制限vs非制限の見極め)
英文を読む際、関係代名詞の前にある「カンマ」の有無に注意を払うだけで、文の解釈が大きく変わります。これは筆者が「核心情報」と「補足情報」をどのように区切っているかを示すサインだからです。
- カンマなし(制限用法):「その中で特定の一つ」。先行詞の範囲を限定します。
例:My brother who lives in Tokyo is a doctor. (東京に住んでいる方の兄弟。兄弟が複数いる可能性を示唆。)

