グローバルな映画制作・映像制作現場で即戦力になる!助監督・制作進行が使う「映像制作英語」実践ガイド:撮影指揮・現場連絡・ポスプロまで現場で使える専門表現を徹底解説

撮影現場は、クリエイティビティと緊張感が交錯する場所です。多国籍クルーが集う国際的な制作現場では、安全で円滑な撮影を実現するための共通言語として英語が、助監督や制作進行の必須スキルとなります。このセクションでは、フロアマネージャーとして撮影を指揮・進行する際に、安全、効率、正確さを確実に伝えるための基本フレーズをマスターしましょう。

目次

フロアマネージャーとしての基本:安全・効率・正確さを伝える必須フレーズ集

撮影現場の進行役は、単に指示を出すだけではありません。チーム全体の安全を守り、予定を管理し、情報の伝達を正確に行うことが求められます。ここでは、その核となる3つの役割に焦点を当て、現場で即座に使える表現を学びます。

「安全第一」を英語で徹底する:ロケ現場の基本ルール宣言

撮影が始まる前の安全確認は、何よりも優先されるプロセスです。セーフティブリーフィングやロケハンで、全員に共通認識を持ってもらうための表現を覚えましょう。

Safety First! 安全確認フレーズ

以下のフレーズを、はっきりとした声で全員に聞こえるように発声します。

  • “Safety first, everyone.” (安全第一です、皆さん。)
  • “Please be aware of your surroundings.” (周囲の状況に注意してください。)
  • “Watch your step. The floor is uneven.” (足元注意。床が平らではありません。)
  • “Fire exits are located at the back and on the right.” (非常口は後方と右側にあります。)
  • “No running on set, please.” (セット内での走行はご遠慮ください。)

タイムマネジメントと状況報告:予定・遅延・変更を明確に伝える

撮影スケジュールは常に流動的です。遅延や変更が生じた際に、明確かつ冷静に状況を伝えることが、チームの信頼と次の行動を決定します。

「5分遅れます」「次のセットアップに移ります」といった進行状況の報告は、無線でクルー全体に伝える「コール」と、監督やプロデューサーなど主要メンバーへの個別報告を使い分けることがポイントです。

  • 全体へのアナウンス例: “Attention, everyone. We are running about five minutes behind schedule.” (皆さん、注意してください。スケジュールより約5分遅れています。)
  • 次の行動への移行: “We are moving on to the next setup. Lighting and camera, please proceed.” (次のセットアップに移ります。照明、カメラ、準備を進めてください。)
  • 遅延の報告: “Director, we have a slight delay due to a camera adjustment. Estimated ten minutes.” (監督、カメラ調整のため少し遅れています。予想10分です。)

多国籍クルーとの基本的な連絡網:誰に、何を、どう伝えるか

大規模な現場では、すべての情報を全員に一度に伝えるのは非効率です。伝達すべき内容に応じて、適切な相手を選び、明確な表現で連絡することが求められます。

伝達先を使い分ける表現

役職名を正確に呼び、誰に対する指示・報告なのかを明確にします。

  • デパートメントヘッドへの連絡: “I need to speak with the Gaffer (照明責任者) and the Key Grip (グリップ責任者), please.”
  • 特定のチームへの指示: “Camera team, we are ready for a rehearsal.” (カメラチーム、リハーサルの準備ができています。)
  • 全体への重要なアナウンス: “This is an announcement for all departments. Lunch will be served in 30 minutes.” (全部署へのお知らせです。30分後に昼食が配膳されます。)

これらの基本フレーズは、安全で効率的な撮影現場を作る土台となります。次のセクションでは、実際の撮影指揮で使う具体的なコールバックや、俳優・スタッフへの細やかな指示表現へと進みましょう。

撮影現場の実践英語:ADとしての撮影指揮とセットの流れを止めないコミュニケーション

フロアマネージャーとしての基礎を押さえたら、いよいよ撮影が始まります。助監督にとって最も緊張する瞬間であり、求められる英語スキルが最も研ぎ澄まされる場面が、カメラが回っている「セット」です。ここでは、撮影の流れをスムーズに指揮し、トラブルを最小限に抑え、俳優を含む全クルーに敬意を持って指示を出すための実践的な英語表現を学びます。カットがかかるまでの数分間、現場のすべての目と耳はあなたに向けられます。

撮影開始からカットまでの標準的な指示の流れ

撮影の一連の流れには、ほぼ決まった指示コールの順序があります。これを明確に、大声で、ゆっくりと発声することで、現場全体に緊張感と一体感が生まれます。

STEP
準備完了の確認

監督がOKを出したら、各部門に最終確認をします。
「Picture is up!」 (撮影準備完了)
「Sound?」 (音声は?)
「Camera?」 (カメラは?)

STEP
静粛の呼びかけ

現場全体に静寂を求めます。最も一般的な表現です。
「Quiet on set!」
より強い指示が必要な場合: 「Settle down, please!」 (落ち着いてください!) または 「Absolute quiet, please!」 (完全な静寂をお願いします!)

STEP
撮影開始の合図

俳優やエキストラにアクションを開始するよう指示します。
「Background action!」 (エキストラ、アクション開始!)
「And… action!」 (俳優、アクション開始!)

STEP
撮影終了の合図

監督の合図を受けて、撮影を終了します。
「Cut!」 (カット!)
演技が続いている場合などは、「And cut!」 と少し間を置いて言うこともあります。

「Rolling!」(回っています) や 「Speed!」(音声OK) は、カメラオペレーターや録音技師が発するコールです。ADはその報告を聞いてから次のステップに進むのが一般的です。

「もう一度!」「音NG!」トラブル発生時の即座の対応

完璧なテイクは稀です。技術的問題や外部ノイズで撮影が中断することは日常茶飯事です。その際、ADは中断の理由を全クルーに即座に共有し、次のアクションを指示しなければなりません。

撮影中断の理由を明確に伝える

理由を伝えずに「もう一度」だけを繰り返すと、同じミスが発生したり、クルーの士気が下がったりします。必ず原因を特定し、簡潔に共有しましょう。

  • 「Hold, please. We have a plane (in the background).」 (中断してください。背景に飛行機の音が入っています。)
  • 「Sorry, that’s a technical. Camera lost focus.」 (すみません、技術的問題です。カメラのフォーカスが外れました。)
  • 「We’ll go again. The boom dipped into the frame.」 (もう一度いきます。ブームマイクがフレームに入りました。)
  • 「That was perfect for performance, but we need another for safety.」 (演技は完璧でしたが、安全のために別テイクを撮ります。)

撮影を再開する際は、「Back to one, please.」 (最初のポジションに戻ってください) や 「We’re going again.」 (もう一度いきます) と告げ、現場を元の状態に戻します。

俳優・エキストラ・クルーへの明確かつ尊重ある指示の出し方

俳優は役作りに集中している繊細な存在です。エキストラやクルーも同様に、敬意を持って接することが重要です。指示は具体的で、かつポジティブな表現を心がけます。

演技者へのディレクションは、監督からの注事項を翻訳・伝達する役割でもあります。抽象的な表現は避け、具体的な動作や感情で伝えましょう。

状況望ましい指示例避けたい指示例
位置の微調整「Could you take half a step to your right?」
(半歩右にずれていただけますか?)
「Move right.」 (漠然としている)
自然な動きを求める「Just walk to the door as you normally would.」
(普段通りにドアまで歩いてください。)
「Be natural.」 (抽象的で役に立たない)
タイミングを合わせる「On my cue, turn and look surprised.」
(私の合図で振り返り、驚いた表情をしてください。)
「Look surprised later.」 (「後で」が曖昧)
エキストラへの指示「Background actors, please keep your conversations to a low murmur.」
(エキストラの皆さん、会話は小声でお願いします。)
「You in the back, be quiet!」 (個人を非難するような言い方)

常に「Please」や「Could you」を使い、指示の後には必ず 「Thank you.」 を付け加える習慣をつけましょう。たとえ短い時間でも、「Take five, everyone.」 (5分間休憩です) と告げ、緊張をほぐす配慮も重要です。明確な指示と敬意あるコミュニケーションは、効率的な撮影と良好な現場環境の両方を実現する鍵です。

「Action!」と「And… action!」の使い分けは?

「Action!」は直接的な開始合図です。「And… action!」は、エキストラの動き(Background action!)の後に、少し間を置いて俳優の演技を開始させる際に使います。この「And…」の間によって、現場のリズムと緊張感が作られます。

技術的問題で中断した時、「Sorry」は必ず言うべきですか?

ADの指示ミスや確認不足が原因であれば「Sorry」で謝罪します。しかし、カメラや音声の機材トラブルなど、ADの直接的な責任でない場合でも、「Sorry, that’s a technical.」と一言添えることで、チーム全体への配慮を示せます。無言で中断するよりも現場の雰囲気が良くなります。

エキストラへの指示で気をつけることは?

個人を指名して指示を出すのは避け、「Background actors」や「Everyone in the back」のように集団として呼びかけます。具体的な動作(「Please look at the window」「Start walking when you hear the bell」)を短い文で伝え、必ず「Thank you」で締めくくります。彼らも撮影の重要な一部であるという尊重の態度が大切です。

現場の「つなぎ役」として:他部署とのリレーと問題解決の英語

撮影の実作業は、多様な専門部門が有機的に連携することで成り立っています。助監督や制作進行は、これらの部門同士を「つなぐ」重要なリレー役であり、細かい調整から予期せぬ問題解決まで、現場のあらゆる情報のハブとなります。このセクションでは、主要な部門との連絡で必要となる具体的な英語表現を、状況別に学んでいきましょう。

アート部門・衣装・メイクとの細かい調整と確認

撮影の視覚的クオリティを左右するアート部門(美術)、衣装、メイクアップとのコミュニケーションでは、細かさと正確さが求められます。監督やカメラマンの意図を汲み取り、具体的に伝達する能力が試されます。

  • 確認・進捗の確認: “Is the prop for the next scene ready?” (次のシーンの小道具は準備できていますか?) / “Can I check the color tone of the costume under this lighting?” (この照明下で衣装の色味を確認してもいいですか?)
  • 微調整の依頼: “The director wants the background to look slightly more weathered.” (監督が背景をもう少し使い古された感じにしたいそうです。) / “Could we adjust the actor’s makeup for a more natural look in the close-up?” (クローズアップ用に、俳優のメイクをもっと自然な感じに調整できますか?)

G&E(照明・電源)やサウンドとの技術的な要求伝達

照明(Grip & Electric)や音響(Sound)部門とのやり取りは、技術的な専門用語を交えながら、問題を明確に指摘する必要があります。感覚的な表現ではなく、事実に基づいた具体的なコミュニケーションが現場をスムーズにします。

現場の目と耳になる

助監督は監督の「目」であり「耳」でもあります。技術的な問題を発見したら、それが誰の責任かではなく、「何が」「どこで」「どうなっているか」を客観的に報告することが第一歩です。その後、該当部門に解決を依頼します。

部門典型的な連絡内容キーフレーズ例
G&E (照明)影の問題、光量・色温度の調整“We’re concerned about the shadow at this angle.” (この角度で影が気になります。) / “Can we soften the key light a bit?” (キーライトをもう少し柔らかくできますか?)
サウンドノイズ、マイクの映り込み、音質“There’s a microphone boom in the shot.” (マイクのブームが画面に映り込んでいます。) / “We’re picking up some ambient noise from the street.” (通りから環境音が入っています。)
カメラフォーカス、レンズの変更、機材トラブル“The focus seems soft on the actor’s eyes.” (俳優の目にピントが甘いようです。) / “We need to switch to a wider lens for this shot.” (このショットには広角レンズに切り替える必要があります。)

ロケーションマネジメント:近隣住民・施設管理者との折衝サポート

ロケ撮影では、現場の外とのコミュニケーションも重要です。近隣の住民や施設の管理者に対して、撮影チームを代表して丁寧に説明し、理解と協力を得ることは、制作進行や助監督の大きな役割です。

こんな時どうする?

状況: 予定より撮影が長引き、許可時間の延長が必要になった。近隣の商店街の管理者に説明しなければならない。

対応と表現: まずは誠意を持って謝罪し、状況を説明します。 “We sincerely apologize for the inconvenience. We’re running a bit behind schedule due to unforeseen technical issues.” (ご不便をおかけして誠に申し訳ありません。予期せぬ技術的問題のため、スケジュールが少し遅れています。) その上で、具体的な要望を伝えます。 “We would like to request a 30-minute extension of our filming permit. We will ensure minimal disruption.” (撮影許可を30分延長させていただきたいのですが、ご迷惑は最小限に抑えます。)

  • 許可・調整の依頼: “We need to discuss extending our filming hours for today.” (本日の撮影時間の延長についてご相談したいのですが。) / “We’d like to request a temporary road closure for the next two hours for a safe filming environment.” (安全な撮影環境のため、次の2時間、道路の一時的な通行止めをお願いしたいです。)
  • 謝罪と説明: “We apologize for the noise. We are filming a scene that requires this level of sound, but we will wrap up shortly.” (お騒がせして申し訳ありません。この音量が必要なシーンを撮影していますが、すぐに終わります。)
  • 安全への配慮: “Please be advised that there will be special effects smoke in this area for the next take.” (次のテイクでは、このエリアで特殊効果の煙を使用する予定ですので、ご注意ください。)

ポストプロダクションへの引き継ぎ:編集・VFX・音響への効果的な報告

撮影現場での仕事は、最後のカットが終わって終了ではありません。助監督や制作進行の重要な役割の一つは、撮影された膨大な素材と、その現場での知見を、ポストプロダクション(編集・VFX・音響)のチームに正確かつ効果的に引き継ぐことです。編集者やVFXアーティストは、現場を見ていません。あなたの報告が彼らの唯一の「目と耳」となります。曖昧なコメントはポスプロの作業を遅らせ、追加コストを生み出す原因にもなります。ここでは、各部門が本当に必要とする情報を伝えるための実践的な英語表現と、報告のコツを学びます。

撮影レポートとカメラレポート:編集室が求める情報の書き方

編集者は、数時間分の撮影素材から数分のシーンを組み立てます。彼らが最も知りたいのは、「どのテイクが、どのような理由でベスト(あるいはワースト)なのか」という選考理由です。単に「Take 3 is good」と書くだけでは不十分です。

編集者が歓迎する具体的なコメント例

  • 演技に関するコメント: “Take 3 has the best overall performance, but the actor’s movement in Take 2 feels more natural for the blocking. Take 4 was ruined by a line flub.” (全体の演技はテイク3がベストだが、俳優の動きはブロッキング的にはテイク2の方が自然。テイク4は台詞の噛みがあった。)
  • 技術的なコメント: “Take 1 is technically perfect but feels a bit stiff. In Take 5, the focus pull was slightly late, but the emotional peak is strong.” (テイク1は技術的に完璧だが少し固い印象。テイク5ではフォーカスプルがわずかに遅れたが、感情のピークが強い。)
  • 監督の指示: “Director prefers the energy of Take 2, even with a minor boom shadow. Circle take is 3.” (監督はマイナーブームの影があってもテイク2のエネルギーを気に入っている。サークルテイク(優先使用テイク)は3。)
ポイント

カメラレポートには、カメラの設定(レンズ、絞り、ISO)、フィルターの有無、特別な機材(ジンバル、ドリーなど)の使用も記載します。編集者はこれを見て、カット間の色味や画質の違いを理解し、調整の参考にします。例: “Shot on 50mm, T2.8, with 1/8 Black Pro-Mist filter. Steadicam operated.” (50mmレンズ、T2.8、1/8 Black Pro-Mistフィルター使用。ステディカム操作。)

VFXが必要なショットの特徴を具体的に伝える

VFX(視覚効果)チームは、あなたの報告を元に、膨大な作業時間を割り当てます。曖昧な表現は、後で「想定外」のトラブルを引き起こします。具体的な問題点と、そのショットがVFX処理に適しているかどうかを明確に伝えましょう。

VFXアーティストが知りたい「具体的な問題」

  • グリーン/ブルースクリーン関連: “There’s a slight shadow on the left edge of the greenscreen in Takes 1-3.” (テイク1〜3で、グリーンスクリーンの左端にわずかな影あり。)“A tracking marker on the floor is partially visible in the wide shot.” (広角ショットで床のトラッキングマーカーが一部見えている。)
  • ワイヤー/安全策の除去: “The actor’s safety wire is visible in frames 1050-1100. It’s thin but against a bright sky.” (俳優の安全ワイヤーがフレーム1050〜1100で見える。細いが明るい空を背景にしている。)
  • 撮影時の制約: “We couldn’t remove a modern street sign in the background. It will need painting out.” (背景の現代的な道路標識を除去できなかった。ペイントアウトが必要。)
  • 重要な情報の提供: “For the clean plate, we shot an extra take without actors immediately after.” (クリーンプレート用に、俳優不在の別テイクを直後に撮影済み。)

音声に関する注意点(環境音、NGテイク理由)の伝え方

音響エンジニアは、最良の音声テイクを選び、不要な雑音を除去します。現場でしかわからない「音のコンテキスト」を、音声ログやコメントで詳細に伝えることが、高品質な音響作業への第一歩です。

効果的な音声ログの書き方

  • 環境ノイズの特定: “Take 2 is good for performance, but has airplane noise starting at 00:01:15:10.” (テイク2は演技は良いが、00:01:15:10から飛行機の音が入っている。)“Constant low hum from the building’s AC in all takes of this setup.” (このセットアップの全テイクに建物の空調の低い唸り音が継続して入っている。)
  • マイク関連の問題: “Lav mic rustle from costume movement is noticeable in Take 1. Boom is clean.” (テイク1で衣装の動きによるラベリエマイクのガサガサ音が目立つ。ブームマイクはクリーン。)“Wind noise spoiled Take 4 despite the blimp.” (ウィンドスクリーン使用にも関わらず、テイク4は風切り音で台無し。)
  • 演技以外のNG理由: “Take 3 is marked NG because of a crew cough off-camera. Audio is otherwise perfect.” (テイク3はオフカメラでのクルーの咳が原因でNGマーク。音声自体は完璧。)
  • ワイルドトラック/環境音の記録: “60 seconds of room tone recorded after the scene.” (シーン後に60秒間のルームトーン(環境音)を録音済み。)“Wild lines for the overlapping dialogue were captured separately.” (被る台詞用のワイルドライン(別録り音声)を別途収録済み。)
報告すべき項目チェックリスト
  • 各テイクの選考理由(演技・技術・監督の好み)
  • サークルテイク(Circle Take)の明示
  • カメラ設定(レンズ、絞り、フィルター)
  • VFXが必要な部分の具体的な場所と問題内容
  • クリーンプレートや参照ショットの有無
  • 音声トラブル(環境音、マイクノイズ、オフスクリーン音)の詳細
  • NGテイクの具体的な理由
  • 録音済みのワイルドトラックやルームトーンの有無
「Circle Take」とは何ですか?

「Circle Take」または「Selected Take」とは、監督が編集に使用することを推奨する、そのシーンの「優先テイク」です。撮影レポートでは必ずこれを明記します。他のテイクが演技的に優れている場合でも、監督の最終的な判断として「Circle take is 3.」のように伝えることで、編集者の作業の方向性を明確にします。

VFXチームに「クリーンプレート」を撮影するのはなぜ重要ですか?

クリーンプレートとは、俳優や特定の小道具など、後で削除する対象物がない状態で撮影した背景だけのショットです。VFX作業において、対象物を削除した後の空白部分を自然に埋める(「ペイントアウト」する)際の参照画像として不可欠です。現場で「For the clean plate, we shot an extra take without actors.」と報告することで、VFXチームは作業効率と品質を大幅に向上させることができます。

音声ログで「ルームトーン」を録音・報告する理由は?

ルームトーンとは、その場所特有の環境音(空調音、外の交通音、機器の微かな唸りなど)です。編集工程で、異なるテイクをつなぎ合わせたり、無音部分を埋めたりする際に、背景の環境音が不自然に変わったり途切れたりしないよう、このルームトーンをブリッジとして使用します。現場で録音しておくことで、音響エンジニアはシーン全体の音の連続性を保証できます。

ポストプロダクションへの報告は、単なる事務連絡ではありません。現場の「意図」と「状況」を次の工程に継承する、創造的なコミュニケーションの一部です。明確で具体的な報告は、編集、VFX、音響の各チームがあなたの撮影した素材の価値を最大限に引き出すための、最高のサポートとなるのです。

緊急事態とクレーム対応:想定外の事態でチームをまとめる英語

撮影現場は常に不測の事態に直面します。天候の急変、機材の故障、スタッフやキャストの体調不良、近隣からの苦情など、リスクは常に隣り合わせです。助監督や制作進行の真価が問われるのは、まさにこうしたトラブルの瞬間です。状況を素早く把握し、明確な指示と冷静なコミュニケーションでチームをまとめ、最小限の影響で撮影を前進させる。このセクションでは、緊急事態とクレーム対応に必須の英語表現を、具体的なシナリオを通じて学びます。

天候急変や機材トラブル時のクルーへのアナウンス

現場のリーダーとして、状況の変化を全員に素早く共有するのはあなたの責任です。曖昧な表現は混乱や誤解を生むため、状況、決定、次のアクションの3点を明確に伝えることを心がけましょう。

状況説明と指示の定型

Attention, everyone!
(皆さん、注目してください!)
We’re getting heavy rain. We’re moving to the indoor set immediately.
(雨が強くなってきました。すぐに屋内セットに移動します。)
Camera and Grip teams, secure your equipment first.
(カメラ・グリップ班は、まず機材を固定してください。)

機材トラブル時は、問題の特定と代替策の検討を同時進行で行います。チームに伝える際は、パニックを避けるため、事実と今後の見通しを分けて伝えましょう。

  • The main camera is down. We are troubleshooting.(メインカメラがダウンしています。原因を調査中です。)
  • Stand by, please. We’ll switch to Camera B in five minutes.(そのままお待ちください。5分以内にBカメラに切り替えます。)
  • We have a generator issue. All non-essential power, please shut down.(発電機に問題があります。緊急でない電源はすべて切ってください。)

軽微な怪我や体調不良への初期対応と報告

現場での健康と安全は最優先事項です。軽微な切り傷や熱中症の疑いなど、どんな小さな事案でも迅速かつ適切に対応し、必ず監督やプロデューサーに報告する義務があります。まずは本人の状態を確認し、次に必要な措置を指示します。

STEP
状況確認とケア
  • Are you okay? What happened?(大丈夫ですか?どうされましたか?)
  • Someone, bring the first aid kit, please.(誰か、応急処置キットを持ってきてください。)
  • Let’s sit down in the shade and drink some water.(日陰に座って水を飲みましょう。)
STEP
上長への報告

監督や制作責任者には、客観的事実を簡潔に報告します。

  • Director, we have a minor injury. A grip member cut his finger.(監督、軽微な怪我がありました。グリップ班のメンバーが指を切りました。)
  • He’s with the first aider now. We need your call on whether to call an ambulance.(現在応急処置担当者が対応中です。救急車を呼ぶかどうかの判断をお願いします。)
  • The actor is feeling dizzy. We’ve paused the shoot for now.(俳優がめまいを訴えています。いったん撮影を中断しています。)

近隣からの苦情を受けた際の謝罪と対応案内

ロケ撮影では、騒音や駐車などで地域住民に迷惑をかける可能性があります。苦情を受けた際は、防御的にならず、まずは誠意を持って謝罪し、状況を説明することが基本です。あなたは現場の顔であり、プロジェクト全体の印象を左右します。

近隣の住民が「音がうるさい」と直接クレームを申し入れてきました。最初に何と言えばよいですか?

まずは丁寧に謝罪し、事実関係を確認します。
“I’m so sorry for the noise. We are filming a scene here today.”
(お騒がせして申し訳ありません。本日ここで撮影を行っています。)
“May I have your name and contact? I will report this to our production manager immediately.”
(お名前とご連絡先をいただけますか?すぐに制作責任者に報告します。)

終了時間を伝えて理解を求めたい場合、具体的な表現は?

具体的な時間を示すことで、見通しを与え、不安を軽減します。
“We sincerely apologize for the inconvenience. We will wrap up in about 30 minutes.”
(ご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。あと約30分で終了します。)
“The loud part should be over in the next 10 minutes.”
(大きい音がする部分は、あと10分以内に終わる予定です。)

苦情対応後、必ずすべき内部報告は?

詳細を記録し、監督とユニットプロデューサー(UPM)に報告します。今後のロケ継続や対策に影響します。
“UPM, we received a noise complaint from a neighbor at [Address/Time]. I apologized and explained our schedule.”
(UPM、[住所/時間]にて近隣から騒音の苦情を受けました。謝罪し、スケジュールを説明しました。)
“I have their contact details. Should we follow up with a formal apology later?”
(連絡先を控えています。後日正式にお詫びの連絡をすべきでしょうか?)

緊急時やクレーム対応では、感情的にならず、常にプロフェッショナルで冷静な態度を保つことが信頼を築く鍵です。事前に想定されるシナリオでフレーズを練習しておきましょう。

著者プロフィール

大学受験・英語資格試験塾講師。大学時代にアメリカへ1年間留学。卒業後は海外書籍を取り扱う出版社で編集職に6年間従事した後、英語教育の現場へ転身。大学受験生向けや、社会人の英語資格試験対策の講義を担当し、実践的で分かりやすい解説に定評がある。出版社時代に様々なジャンルの英語書籍を担当した経験から、法律から工学まで業界特有の英語表現やビジネス英語に関する幅広い知識を持つ。また、二児の母という立場から、実体験に基づいた子どもの英語教育に関する発信も行っている。

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