AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

英会話教室運営会社が2026年10月20日に発表した調査結果によると、AIや英会話アプリを活用した学習で「実際の会話に役立つ」と感じる人は約9割に上ります。しかし、相手がAIやアプリから「実際に会う外国人」に変わると、「スムーズに話せる」と感じる人は約2割にまで激減します。学習ツールでの手応えと、生身の人間との会話力との間に、多くの学習者がギャップを感じている実態が浮かび上がりました。

目次

AI学習は「役立つ」が対人では「話せない」、学習者の9割が感じるギャップ

AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

生成AIや英会話アプリの普及により、一人で何度でも「話す練習」ができる環境が整いました。同調査では、AI・アプリでの学習が実際の会話で「役立つ」と感じる人は88.9%に達しています。多くの学習者がデジタルツールの有用性を実感していることがわかります。

一方、同じ調査で「スムーズに話せる」と感じる相手を尋ねたところ、結果は大きく分かれました。AI・アプリを相手とする場合は62.8%が「スムーズに話せる」と回答したのに対し、「仕事や旅行など実際の場面で出会う外国人」に対して同じように感じる人は19.2%にとどまりました。つまり、AI相手では6割以上が話せると感じていても、それが実際の外国人との会話には繋がっていないのです。

調査結果のキーフィギュア
  • AI・アプリ学習が「役立つ」と感じる人:88.9%
  • AI・アプリ相手に「スムーズに話せる」と感じる人:62.8%
  • 実際の外国人相手に「スムーズに話せる」と感じる人:19.2%
  • 人相手の方が「言葉に詰まる」と感じる人:89.1%

学習ツールでの手応えと実際の会話力に乖離

なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか。調査では、AI・アプリでの練習時と比べて、人を相手に英語を話すときのほうが「言葉に詰まって黙ってしまう」と感じる人が89.1%もいることが明らかになりました。デジタルツールでは流暢に話せても、実際の人間を前にすると緊張や焦りから言葉が出てこない、という経験は多くの学習者に共通するものかもしれません。

この「詰まる」のは、語彙や文法の知識が足りないからでしょうか。

この現象について、調査にコメントを寄せた上智大学の藤田保教授は、語彙や文法の知識が不足しているからではないと指摘します。知識が足りないのであれば、AI相手でも人相手でも同じように言葉に詰まるはずです。人を相手にしたときだけ沈黙が生まれる背景には、「相手を待たせてはいけないという焦り」や「間違えたら伝わらないのではないかという緊張」があると分析しています。

「言葉に詰まる」原因は知識量ではなく経験の差

では、この緊張や焦りを克服するにはどうすればよいのでしょうか。調査結果は明確なヒントを示しています。AI・アプリのみで学習している人のうち、「実践(実際に人と英語で話すこと)」に力を入れてきたと答えた人はわずか27.2%でした。対人学習も併用している人では63.4%が実践に力を入れていると回答しており、大きな差があります。

この差は、知識の量ではなく人を相手に英語を使った経験の量によって生まれます。知識は同じように蓄えているのに、人とやりとりする経験そのものが不足しているのです。

藤田教授は、AI・アプリでの学習と対人での実践はそれぞれ異なる役割を持つと説明します。デジタルツールは「失敗を恐れずに何度も反復練習できる環境」を提供し、言いたいことを英語にする「引き出し」を増やすのに有効です。一方、人とのやりとりでは、相手のリアクションを見ながら話を調整したり、想定外の話題に対応したりする「即興的な対応力」が求められ、これこそが会話力の本質的な部分であると言えます。

AIのみの学習者は「実践」経験が圧倒的に不足している実態

AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

AIや英会話アプリのみで学習を進めている人たちは、知識の吸収やアプリ内での練習には積極的である一方で、実際に人と英語を話す「実践」の経験が非常に少ないことが明らかになりました。

調査では、英会話スキルの習得にあたって「これまで力を入れてきたもの」を尋ねています。全体では、「学習(単語や文法の知識吸収)」が68.8パーセント、「訓練(読み上げやAI・アプリでの反復練習)」が62.4パーセントでした。これに対し、「実践(実際に人と英語で話すこと)」は45.3パーセントと、他の二つに比べて大きく低い結果となりました。

「学習」「訓練」「実践」の定義

本調査では、以下のように用語を定義しています。
学習:単語や文法などの知識を吸収すること
訓練:読み上げやAI・アプリを使って反復練習すること
実践:実際に人と英語で話すこと

学習・訓練に偏るAIのみ学習者

この傾向は、学習方法別に見るとさらに顕著です。AI・アプリのみで学習している層では、「実践」に力を入れてきたと答えた人はわずか27.2パーセントでした。一方で、英会話スクールや人の講師によるレッスンなど「対人学習」も併用している層では、この割合は63.4パーセントと2倍以上に跳ね上がります。

興味深いのは、知識吸収である「学習」に力を入れてきた割合は、両層で大きな差がない点です。AIのみ学習者層が65.0パーセント、対人学習併用層が72.6パーセントと、7ポイント程度の差にとどまっています。これは、多くの学習者が同じように知識をインプットしているにもかかわらず、それを実際に使う機会の有無が大きく分かれていることを示しています。

「実践」の有無が会話力に3.7倍の差

この実践経験の差が、実際の会話力にどれほどの影響を与えるのでしょうか。調査結果は、その差を明確な数字で示しています。

  • 「実践」に力を入れてきた人では、実際に出会う外国人と「スムーズに話せる」と感じる人が32.0パーセントいた。
  • 一方、「実践」に力を入れてこなかった人では、その割合は8.6パーセントに留まった。

両者の間には、実に3.7倍もの開きがありました。さらに、「いずれの相手ともスムーズに話せない」と感じる人の割合も、実践を重視してこなかった層では11.2パーセントと、重視してきた層(2.4パーセント)に比べてかなり高くなっています。この結果は、知識を蓄えるだけでは不十分で、生身の人間との会話経験を積むことが、自信や実際の会話力につながることを強く示唆しています。

なぜ人との会話練習が重要なのか? 対人学習ならではの4つの強み

AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

AIやアプリで練習を積んでも、実際の外国人相手に言葉に詰まるのはなぜでしょうか。調査では、対人学習にはAIでは代替しにくい、即興的なコミュニケーションを学べる強みがあることが明らかになりました。

対人学習だからこそ良いと感じる点を尋ねたところ、「相づちや表情など、リアルタイムの反応が返ってくる」(53.0%)が最も多く、次いで「発音や言い回しをその場で細かく直してもらえる」(45.2%)、「自分に合わせて話す速さや内容を調整してもらえる」(44.7%)という結果でした。これらは、あらかじめ決められたシナリオでは得られない、その場で起こるやりとりそのものに関わる要素です。

  • リアルタイムの反応が返ってくる
  • 発音や言い回しをその場で直してもらえる
  • 話す速さや内容を調整してもらえる
  • 想定外の話題に対応する経験が積める

今回の調査にコメントを寄せた上智大学の藤田保教授は、これらの「あらかじめ筋書きを用意できない対応」が、第二言語習得において貴重な学習機会になると指摘しています。AIとの練習は「言いたいことを英語にする」反復作業で知識の「引き出し」を増やすのに有効ですが、その引き出しを実際の会話で「使える」ようにするには、生身の人間との即興的なやりとりを通じた経験が不可欠なのです。

最適な学習サイクルとは?

調査では、約7割の人がAIと対人を組み合わせた学習を理想と回答しています。最も支持されたのは「AI・アプリ学習で基礎を練習し、人が相手の学習で実践する」(54.7%)という方法です。これは、AIで失敗を恐れずに反復練習し、得た表現や構文を、対人練習で実際に試し、調整し、使えるようにしていくという、理想的な学習サイクルを表しています。

AI学習ツールは、手軽で効率的な練習環境を提供します。しかし、言葉はあくまで「人と人」をつなぐものです。調査が示すのは、ツールで培った力を真の会話力に昇華させるためには、やはり実際に人と話す「実践」の場が不可欠だということです。両者の役割を理解し、バランスよく組み合わせることが、英語で「話せる」実感をより確かなものにする近道でしょう。

英語学習者の約7割が望む、AIと対人を組み合わせた効率的学習法

AI英会話学習で「話せる」実感は約9割も、実際の外国人相手では約2割に イーオン調査

調査結果から見えてきたのは、多くの学習者がデジタルツールと生身の人間との学習を「どちらか一方」ではなく、両方を効果的に組み合わせたいと考えているという事実です。ある調査では、理想の学習方法について「AI・アプリ学習で基礎を練習し、人が相手の学習で実践する」という組み合わせを選んだ人が54.7%に上りました。これに「人が相手の学習で学び、AI・アプリ学習で復習・反復する」を加えると、約7割(65.9%)がAIと対人を組み合わせた学習を理想と回答しています。

理想の学習方法は「AIで基礎、対人で実践」

多くの学習者が支持するのは、AI・アプリで基礎的な反復練習を積み、その成果を人の講師や英会話スクールで「実践」するという方法です。これは、デジタル学習の効率性と、対人学習でしか得られない即興性を、学習のステップに応じて使い分けたいというニーズを反映しています。

この結果は、学習者がそれぞれの学習方法の長所を明確に認識していることを示します。AIやアプリは、失敗を恐れずに何度でも練習できる「訓練」の場として役立ちます。一方、対人学習には「相づちや表情など、リアルタイムの反応が返ってくる」「発音や言い回しをその場で細かく直してもらえる」といった、AIでは代替しにくい強みがあります。

つまり、効率的な英語学習を目指すなら、「学習」「訓練」「実践」の3つの要素をバランスよく取り入れることが重要です。AIツールを活用して語彙や文法の知識を蓄え(学習)、発話の反復練習(訓練)を重ねた上で、その成果を人を相手に試す場(実践)を積極的に設ける。このサイクルを回すことが、「分かっているのに話せない」という壁を突破する鍵となるでしょう。

調査結果から考える、これからの効果的な英語学習計画

AIやアプリでの学習が「役立つ」と実感していても、実際の人間相手ではうまく話せないというギャップ。この問題を解決する鍵は、学習過程における「実践」の位置づけを明確にし、意図的にその機会を設けることにあります。調査では、AI・アプリのみで学習する人のうち、「実践(実際に人と英語で話すこと)」に力を入れてきたと答えた人はわずか27.2%でした。これに対し、対人学習も併用している人では63.4%に上り、実践経験の有無が「実際の外国人と話せる」と感じる割合に3.7倍もの差を生み出しています。

「学習」「訓練」「実践」のバランスを見直す

多くの学習者が陥りがちなのは、知識のインプット(学習)と一人での反復練習(訓練)に時間を費やし、生きたコミュニケーション(実践)の機会を後回しにしてしまうことです。学習計画を立てる際は、単語や文法を学んだら、必ず「誰かと実際に使ってみる」というステップを組み込みましょう。AIツールは、この実践の「予行演習」や、うまくいかなかった表現の「反復練習」として活用するのが効果的です。

では、具体的にどのように実践の場を増やしていけばよいのでしょうか。英会話スクールに通う時間や予算がない場合でも、選択肢はあります。

STEP
オンライン英会話や言語交換アプリも活用

比較的安価なプランを提供するオンライン英会話サービスでは、講師とマンツーマンで話す機会を週に数回、短時間から設定できます。また、言語交換を目的としたアプリでは、英語を学びたい日本人と日本語を学びたい外国人がペアになり、互いの言語で会話を練習できます。

  • オンライン英会話:予約制のレッスンで、講師からのフィードバックが得られる。
  • 言語交換アプリ:非同期のチャットから始め、慣れたら音声・ビデオ通話に挑戦できる。
STEP
小さな目標から始める

最初から長いフリートークに挑戦する必要はありません。その日に学んだ単語や構文を一つだけ使ってみる、自己紹介を毎回少しずつブラッシュアップするなど、達成可能な小さな目標を設定しましょう。この積み重ねが、「人を相手に英語を使った経験」を着実に増やしていきます。

STEP
失敗を恐れず、フィードバックを得る

対人での会話で最も価値があるのは、調査でも上位に挙がった「リアルタイムの反応」と「その場での修正」です。間違いを恐れて黙るのではなく、とにかく伝えようと試み、相手の反応や指摘から学びましょう。このプロセスこそが、AIだけでは得られない「即興的な対応力」を養います。

言語交換アプリ利用時の注意点

言語交換アプリを利用する際は、公共の場での利用や個人情報の開示には注意が必要です。最初はプロフィールやチャット機能のみを使い、信頼できる相手とだけ音声・ビデオ通話に進むなど、安全に配慮して利用しましょう。

学習者自身が理想とするのは、約7割が選んだ「AIと対人の組み合わせ」です。デジタルツールで基礎力を固め、その力を生身の人間との会話で試し、修正する。このサイクルを意識的に回すことが、「分かっているのに話せない」という壁を乗り越え、真のコミュニケーション能力を身につける近道となるでしょう。

関連リンク

本記事は「株式会社イーオン」が配信したプレスリリースを元に執筆しています。

著者プロフィール

大学受験・英語資格試験塾講師。大学時代にアメリカへ1年間留学。卒業後は海外書籍を取り扱う出版社で編集職に6年間従事した後、英語教育の現場へ転身。大学受験生向けや、社会人の英語資格試験対策の講義を担当し、実践的で分かりやすい解説に定評がある。出版社時代に様々なジャンルの英語書籍を担当した経験から、法律から工学まで業界特有の英語表現やビジネス英語に関する幅広い知識を持つ。また、二児の母という立場から、実体験に基づいた子どもの英語教育に関する発信も行っている。

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