英検のリスニングで「音声は聞こえているのに、なぜか答えられない」という経験はありませんか?その原因の多くは、イラストやグラフを見ながら同時に音声を処理する、いわゆる「二重処理」の負荷に対応できていないことにあります。この記事では、3級・準2級・2級のリスニング第2部・第3部に登場する視覚情報問題に特化して、形式の理解から実践的な対処法まで徹底解説します。
まず知っておこう!第2部・第3部のイラスト・図・グラフ問題とは何か
3級・準2級・2級それぞれの出題形式の違いを整理する
一口に「イラスト・図・グラフ問題」といっても、受験する級によって求められる処理はまったく異なります。まずは級ごとの出題形式を整理しておきましょう。
| 級 | 該当パート | 視覚素材 | 問われること |
|---|---|---|---|
| 3級 | 第2部 | 4択イラスト | 放送された会話・状況に合う場面を選ぶ |
| 準2級 | 第2部・第3部 | 図・グラフ・表 | 会話や説明文の内容と図表を照合して答える |
| 2級 | 第2部・第3部 | グラフ・図表・フローチャート | より複雑な図表を参照しながら詳細を聞き取る |
3級は「4枚のイラストから正しい場面を選ぶ」シンプルな形式です。一方、準2級・2級になると棒グラフや折れ線グラフ、案内図など多様な図表が登場し、音声で述べられた数値や情報を図表と突き合わせる作業が必要になります。級が上がるほど視覚素材の複雑さが増すと理解しておきましょう。
なぜイラスト問題で失点しやすいのか?視覚と音声の「二重処理」問題
通常のリスニング問題は「音声を聞いて答える」だけです。しかしイラスト・図・グラフ問題では、音声を聞きながら同時に視覚情報を処理しなければなりません。この二つの情報処理を並行して行うことを「二重処理」と呼びます。
なぜ二重処理が難しいのか?人間の脳は、視覚と聴覚の情報を同時に処理するとき、どちらかの精度が落ちやすい仕組みになっています。慣れていないと、グラフを目で追いながら音声の細部を聞き逃してしまうのです。
- 図表を眺めることに集中して、音声の重要な数値を聞き逃す
- 音声を追うことに必死で、どの図表の箇所を参照すべきか迷う
- 放送前に図表を確認する時間を活用できていない
これらの失点パターンはすべて、「形式を知った上での準備不足」が原因です。逆にいえば、形式を正しく理解し、対処法を身につければ確実に得点源にできます。
この記事は「形式特化」の攻略ガイドです。先読みや時間管理などの汎用テクニックではなく、イラスト・図・グラフという視覚素材が登場する問題形式そのものに絞って解説しています。自分の受験級(3級・準2級・2級)に該当するセクションから読み始めてもOKです。各級の形式を比較したい方は、上の表を参考に全体を通して読むことをおすすめします。
【3級攻略】イラスト4択問題の「見る順番」と「消去法」マスター術
音声が流れる前にイラストから読み取るべき3つの情報
問題冊子が配られたら、音声が始まる前の数秒を最大限に活用しましょう。4枚のイラストをざっと見渡し、「場所・人物の動作・物の状態」の3点を素早く比較するのが正解への最短ルートです。この3点を把握しておくだけで、音声を聞くときに「どのキーワードに集中すべきか」が自動的に絞られます。
- 場所:室内か屋外か、どんな施設か(店・学校・駅など)
- 人物の動作:立っている・座っている・何かを持っているなど
- 物の状態:数・位置・有無(傘がある/ない、荷物が左右どちらにあるかなど)
頻出シーン別・イラストの差分ポイントを瞬時に見抜くトレーニング
3級でよく出るシーンは「買い物・道案内・家庭・学校」の4つです。シーンごとに「どこが変わりやすいか」を事前に知っておくと、差分を見つける速度が格段に上がります。
| 頻出シーン | 差分が出やすいポイント |
|---|---|
| 買い物 | 商品の数・値段の表示・レジの位置 |
| 道案内 | 曲がる方向・建物の左右・信号の有無 |
| 家庭 | 家具の配置・人物の動作・時計の時刻 |
| 学校 | 黒板の内容・座席の配置・持ち物 |
実践問題で確認:3級イラスト問題の解答フロー
実際の解答手順をステップで確認しましょう。
4枚を見比べ「場所・動作・物の状態」のどこが違うかを確認。「動作が4種類ある」と気づいたら、動作を表す動詞に集中して聞く準備をします。
音声中に出てきた情報と明らかに矛盾するイラストから順に消去します。「店の外にいる」と聞こえたら、室内のイラストは即除外。
2択まで絞れたら、動詞や数・方向など差分に関わる語に集中。最後まで聞き終えたら迷わずマークし、次の問題のイラスト確認に移ります。
【スクリプト例】Woman: “Excuse me, could you tell me how to get to the library?” Man: “Sure. Go straight and turn left at the second traffic light.”
【選択肢イラストの差分】4枚とも交差点の地図。違いは「1つ目の信号で右折」「2つ目の信号で左折」「2つ目の信号で右折」「まっすぐ進む」の4パターン。
【解答フロー】”turn left”(左折)と “second traffic light”(2つ目の信号)が聞こえた時点で「2つ目・左折」以外の3枚を消去。正解は「2つ目の信号で左折」のイラスト。
消去法の最大のメリットは「全部聞き取れなくても正解できる」こと。差分を事前に把握しておけば、聞くべき情報が絞られ、聴解の負担が大幅に減ります。
【準2級攻略】会話+図・グラフ問題で「聴くべき数字・語句」を事前に絞る技術
準2級第2部・第3部の図表問題:出題パターンを類型化する
準2級のリスニングに登場する図表は、大きく4つのタイプに分類できます。棒グラフ・折れ線グラフ・表・地図(またはルート図)です。それぞれ「どこに注目するか」の優先順位が異なるため、形式を見た瞬間に視線の動かし方を切り替えられるよう、事前にパターンを頭に入れておきましょう。
| 図表タイプ | 最初に見るべき箇所 |
|---|---|
| 棒グラフ | 最大値・最小値の項目名と数値 |
| 折れ線グラフ | 上昇・下降の転換点と軸のラベル(単位) |
| 表 | 行・列の見出し語と数値の差が大きいセル |
| 地図・ルート図 | 場所の名称・方角・距離の表記 |
グラフ・表を見て「問われやすい箇所」に目星をつける読み取り法
音声が流れる前の短い時間を使って、図表の「目立つ箇所」に視線を集中させましょう。問題はほぼ必ず、グラフの中で最も目立つ数値や変化点について問われます。以下の手順で素早く目星をつけてください。
縦軸・横軸に何が書いてあるかを素早く読む。「人数」「割合(%)」「金額」など単位によって、音声で使われる表現が変わる。
グラフの中で一番高い棒、一番低い棒、折れ線が急に曲がっている点を意識する。これらは正解の根拠になりやすい。
選択肢に数字や固有名詞が並んでいる場合は、それらを先に確認しておく。音声で同じ語が出てきたときに即座に反応できる。
数字・割合・比較表現を音声で正確にキャッチするリスニングポイント
準2級の会話文では、more than / about / compared to / twice as many as といった比較・増減・割合の表現が正解の鍵を握ります。これらが聞こえたら、グラフのどの部分に対応するかをすぐに照合する習慣をつけましょう。
- thirteen(13)と thirty(30):語尾の -teen / -ty を聞き逃しやすい。強勢の位置で判断する(thirTEEN vs THIRty)
- fifteen(15)と fifty(50):同様に強勢で区別。fifTEEN / FIFty
- a hundred(100)と a hundred and(100台):and の後の数字を聞き逃すと大きくズレる
- percent(%)と point(小数点):グラフの単位と照合して判断する
実践問題で確認:準2級グラフ問題の解答フロー
下記の実践問題で、ここまで学んだ手順を実際に体験してみましょう。
【設定】ある店舗の月別来客数を示す棒グラフを見ながら、次の会話を聞いてください。
【会話スクリプト】
A: “Sales were pretty good last month. How many customers came in March?”
B: “About thirty percent more than in February. The number jumped from two hundred to about two hundred and sixty.”
A: “That’s a big increase. Was it the highest this year?”
B: “No, April was even higher — around three hundred.”
【設問】Which month had the highest number of customers?
(1)February (2)March (3)April (4)May
【正解】(3)April
【解説】Bの最後の発言 “April was even higher — around three hundred” が決め手。even higher という比較表現でMarchより多いことが示され、数値も約300と最大。”Was it the highest?” という問いへの否定(No)も聞き取れれば、Marchではないと即座に判断できる。
- 図表タイプ(棒・折れ線・表・地図)ごとに「最初に見る箇所」を決めておく
- 軸の単位と最大値・最小値・変化点を先に把握してから音声を聞く
- 比較表現(more than / even higher / compared to)が聞こえたら図表と即照合する
- -teen と -ty の聞き間違いは強勢の位置で判断する
【2級攻略】説明文+複合図表問題で「情報の取捨選択」を制する
2級第2部・第3部の出題特性:長めの説明文と複数情報を含む図表
2級のリスニング図表問題が準2級と大きく異なるのは、図表に凡例・注釈・複数のデータ系列が同時に含まれる「複合図表」が登場する点です。棒グラフの上に折れ線が重なっていたり、グラフの脇に補足テキストが添えられていたりと、情報量が一気に増えます。すべてを読み込もうとすると音声を聞き逃すため、「部分読み」の技術が合否を分けます。
複合図表(グラフ+テキスト混在)の読み取り優先順位の決め方
音声が流れる前の数秒で、図表全体を「スキャン」する順番を決めておきましょう。以下のステップで優先順位をつけると、最小限の視線移動で最大限の情報を確保できます。
グラフのタイトルと縦軸・横軸のラベルを読む。「何を・何と比べているか」が一瞬でわかる。
選択肢に登場する数値・比較表現・人物名などを素早くチェックし、図表のどの部分に対応するかをざっくりマッピングする。
細かい注釈や凡例は音声を聞きながら必要になった時点で確認する。最初から読み込まない。
ディストラクター(引っかけ)を見破る:音声と図表の「ずれ」に注目する
2級で最も多い失点パターンは、「音声の内容は正しいが、選択肢の言い換えが図表の別箇所を指している」というトラップです。
- 音声で「最も高い」と言っているのに、選択肢は「2番目に高い」項目のラベルを使っている
- 音声の数値は正確だが、選択肢の単位が「万」と「億」で入れ替わっている
- 逆接(however / but)の前の情報を正解として提示する
- 音声で言及された期間と、図表上の別の期間を混同させる
実践問題で確認:2級複合図表問題の解答フロー
下記の模擬問題で、実際の解答手順を体験してみましょう。
【図表の設定】ある市の交通手段別通勤者数の棒グラフ。凡例に「電車・バス・自転車・徒歩」の4系列あり。グラフ脇の注釈に前回調査比の変化率が記載されている。
【音声スクリプト(日本語訳)】「この調査によると、電車通勤者数は4手段の中で最多ですが、自転車通勤者数は前回調査と比べて最も大きく増加しています。一方、バス利用者は唯一減少傾向にあります。」
【設問】What is true about the survey results?
【選択肢】(A) Bus users increased the most. (B) Bicycle users showed the largest growth. (C) Train users decreased compared to the previous survey. (D) Walking is the most popular commuting method.
【正解】(B)
【解説】音声の「自転車通勤者数が最も大きく増加」が (B) の “largest growth” に直結。(A) は逆(バスは減少)、(C) は電車について誤り、(D) は言及なし。逆接 “however” の後に正解の根拠が来るパターンの典型例。
- 数値・割合が述べられた瞬間に図表の該当箇所へ視線を移す
- however / but / although など逆接の後の文を特に集中して聴く
- 最後の結論文(In conclusion / Overall など)は正解根拠になりやすい
- 選択肢の言い換えが図表の「どの系列・どの時点」を指すかを確認してから解答する
級を超えて使える!イラスト・図・グラフ問題の共通「解答フレームワーク」
3級・準2級・2級のどの級でも、図表問題の解き方には共通の骨格があります。「音声再生前・再生中・再生後」の3フェーズで何をするかを決めておくだけで、焦りが消えて正答率が安定します。まずはこのフレームワークを自分のものにしましょう。
音声再生前・再生中・再生後の3フェーズで何をするかを明確にする
選択肢や図表を見て、「どこが違うか」を素早くチェックします。全体を読み込む必要はなく、違いのある箇所だけに印をつけるイメージで。この作業が次のフェーズで「何を聴くべきか」を自動的に決めます。
音声が流れたら、STEP1で見つけた差分に関連する語句だけに集中します。すべての英文を理解しようとしないことが重要です。数字・色・方向・順序など、差分に直結する単語が聞こえた瞬間に対応する選択肢にチェックを入れましょう。
音声終了後は、キャッチできた情報と矛盾する選択肢を消していきます。「これが正解」と確信できなくても、「これは違う」と言える選択肢を2つ消せれば、残り2択から正解を選べます。
選択肢の絞り込みに使える「差分ファースト」思考の実践法
「差分ファースト」とは、図表や選択肢を見たときに「何が同じか」ではなく「何が違うか」を最初に探す思考法です。たとえば4つの棒グラフ選択肢があれば、すべての棒の高さを覚えようとするのではなく、「AとBだけ高さが違う」「3番目の棒の数値が選択肢ごとに異なる」という差分だけを頭に入れます。こうすることで、音声で聴くべきポイントが自然と1〜2箇所に絞られます。
音声の一部を聞き逃した場合でも、残った選択肢の文脈から推測できます。「この選択肢が正解なら、音声でこういう内容が流れたはず」と逆算し、消去できる選択肢を探しましょう。完全に聞き取れなかった問題でも、消去法を使えば正答率を下げずに済むことが多いです。
ミスを減らす自己チェックリスト:本番直前に確認する5つの習慣
試験会場で問題冊子が配られたら、音声が始まる前の短い時間を使って以下の5項目を素早く確認する習慣をつけましょう。
- 差分の確認:選択肢・図表の「違い」をひと目でつかんだか
- 単位の確認:グラフの軸ラベルや単位(%・円・人など)を見たか
- 引っかけパターンの意識:音声に登場した数値がそのまま答えとは限らないと意識しているか
- 消去法の準備:「正解を選ぶ」より「誤りを消す」姿勢で臨んでいるか
- 集中の切り替え:前の問題の結果を引きずらず、次の問題に気持ちをリセットできているか
級別×フェーズ別の行動一覧
| フェーズ | 3級 | 準2級 | 2級 |
|---|---|---|---|
| 再生前 | イラストの差分(人物・物の違い)を確認 | グラフの軸・数値の差分を確認 | 複合図表の凡例・注釈を素早く確認 |
| 再生中 | 動作・状態を表す語句に集中 | 数字・割合・順位に関する語句に集中 | 比較・変化・例外を示す語句に集中 |
| 再生後 | 差分に合わない選択肢を消去 | 聞き取った数値と矛盾する選択肢を消去 | 複数情報を照合し消去法で確定 |
3フェーズフレームワークと差分ファースト思考は、どの級・どの形式にも応用できる汎用スキルです。練習のたびに意識して使い、試験本番で自然に動けるまで定着させましょう。
得点力を上げる!イラスト・図・グラフ問題の効果的な練習法
過去問・模擬問題を使った「形式別」反復練習の進め方
練習の効果を最大化するには、イラスト問題・グラフ問題・複合図表問題を必ず形式別に分けて取り組むことが大原則です。異なる形式を混ぜて解くと、どの形式で躓いているかが見えにくくなります。まずは形式ごとに問題を仕分けてから練習を始めましょう。
手持ちの過去問や模擬問題を「イラスト問題」「グラフ問題」「複合図表問題」の3種類に分類します。級ごとにファイルやノートを分けておくと管理しやすくなります。
音声を再生せず、図表と選択肢だけを見て「この図表から何が問われそうか」を予測します。音声なしで選択肢を2択まで絞り込めれば、視覚処理の精度が上がっています。
今度は図表を見ずに音声だけを聴き、どの情報が読み上げられたかをメモします。その後で図表と照合することで、聞き取れていなかったポイントが明確になります。
STEP2・3で鍛えた後、本番と同じ条件で通し練習します。ミスが出たら必ず原因を記録してください。分析の方法は次のセクションで詳しく説明します。
弱点を特定する:ミスの原因を「視覚処理」と「音声処理」に分けて分析する方法
問題を間違えたとき、「なんとなく復習する」だけでは同じミスを繰り返します。ミスの原因を「視覚処理ミス」か「音声処理ミス」かに必ず切り分けることで、次に何を優先して練習すべきかが決まります。
| ミスの種類 | 具体的な原因例 | 次の練習優先事項 |
|---|---|---|
| 視覚処理ミス | 凡例の読み間違い・数値の取り違え・図表の構造を把握できていない | サイレント練習を増やす・図表の「差異」に印をつける習慣をつける |
| 音声処理ミス | 数字・単語の聞き取り失敗・話題の転換についていけない | ブラインド練習を増やす・ディクテーション練習を取り入れる |
- 問題番号・形式(イラスト/グラフ/複合図表)
- ミスの種類:視覚処理 / 音声処理 / 両方
- 具体的な原因(例:「折れ線の凡例を逆に読んだ」「比較表現の聞き取り失敗」)
- 次回の練習で意識すること(1文で簡潔に)
よくある疑問をまとめて解決:イラスト・図・グラフ問題Q&A
- 試験中にメモを取っていいですか?
-
英検のリスニングでは問題冊子へのメモ書きが認められています。図表の気になる数値や選択肢に印をつけることは有効な戦略です。ただし書きすぎると音声を聞き逃すため、短い記号(丸・三角・線など)にとどめましょう。
- 選択肢を読む時間がないときはどうすればいいですか?
-
前の問題の音声が終わった直後の空き時間を使って、次の問題の図表と選択肢を先読みする習慣をつけましょう。すべてを読もうとせず、「図表のタイトル」と「選択肢のキーワードだけ」を拾う部分読みが現実的です。
- サイレント練習とブラインド練習はどちらを先にやるべきですか?
-
初めて取り組む問題はサイレント練習から始めるのがおすすめです。まず図表の構造を把握してから音声に臨む流れが、本番の解答プロセスとも一致します。ブラインド練習は2周目以降に取り入れると効果的です。
- グラフ問題で数値を全部覚えようとしてしまいます。どうすればいいですか?
-
グラフ問題で問われるのは「最大・最小」「増減の傾向」「比較」のいずれかがほとんどです。すべての数値を暗記しようとするのではなく、グラフの「差異が大きい箇所」だけに注目する習慣をつけると、読み取りの速度と精度が格段に上がります。

