英語学習者に広がる「できているのに自信がない」というジレンマを解消する新たな取り組みが発表されました。TOEICプログラムを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、日本人の英語を話すことに対する心理的ハードルを下げるソーシャルプロジェクト「英語で話す一歩を、もっと軽やかに。」を2026年10月19日に開始し、発表会を開催しました。
「話せる」と言えるのは2割未満 調査で浮き彫りになった日本人の英語に対する心理的ギャップ

このプロジェクトの背景には、同団体が2026年8月に英語学習者1,024名を対象に行った調査結果があります。「日常会話以上のコミュニケーションができる」と回答した人は7割を超えました。しかし、その一方で「自信を持って『英語を話せる』と言える」と回答した人は、2割に満たないという結果でした。
「日常会話以上できる」7割超と「話せる自信」2割未満の乖離
この数字は、多くの学習者が一定の会話能力を持ちながらも、それを「話せる」と胸を張って表現することにためらいを感じていることを示しています。コミュニケーションの実力と、自分に対する評価の間に大きな隔たりが生まれているのです。
心理的ハードルは何が原因? 指摘される3つの壁
なぜ、このようなギャップが生まれるのでしょうか?
- 自分より英語が話せる人との比較:周りに流暢な人がいると、自分の英語が劣っていると感じてしまう。
- 間違えることへの不安:文法の間違いや発音の悪さを恐れ、口を閉ざしてしまう。
- 現在のスピーキング力が分からない:自分の英語がどのレベルなのか客観的に把握できず、自信が持てない。
IIBC理事長の藤沢裕厚氏は、これらの心理的ハードルが、多くの日本人学習者が英語を話す一歩を踏み出すのを妨げていると指摘しました。このプロジェクトは、そのハードルを社会全体で下げていくことを目指しています。まずは自分自身の「話せる」という基準を見つめ直すことが、英語学習の新たなスタートになるかもしれません。
「英語で話す一歩を、もっと軽やかに。」プロジェクトとは 目指す社会と賛同パートナーの想い



このプロジェクトの目標は、「英語で話すことへの壁を、感じなくなる社会」を実現することです。TOEICプログラムを実施・運営する一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が中心となり、同じ志を持つ企業や組織と連携して、英語を話すための最初の一歩を肯定し、継続的な学習と成長につなげる機運づくりを進めます。
プロジェクトの発足時点で、約20の企業・団体が賛同パートナーとして名を連ねました。発表会では、グローバル人材紹介、国際協力、プロスポーツという異なる分野から3団体の代表が登壇し、それぞれの立場から熱い想いを語りました。
グローバル人材紹介を手がけるエンワールド・ジャパン株式会社の代表取締役社長、山本裕介様は、国内企業の約8割がグローバル人材の不足を感じているという同社の調査結果に触れ、「英語に対する心理的ハードルを下げることで、専門性や経験を活かした大きな挑戦が可能になり、日本の経済と社会の発展につながることを望んでいる」とコメントしました。
国際協力機構(JICA)の人事部 開発協力人材室副室長、堀田桃子様は、「英語は、世界の多様な文化や価値観、可能性とつながる第一歩として大切なツールである」と確信を示し、業界・業種の垣根を超えた意見交換への期待を述べました。
西日本初のプロアイスホッケーチーム「スターズ神戸」を運営するスターズ神戸株式会社の取締役副社長、福島未興様は、国籍の壁を越えて活動するチームにおいて英語が重要なツールであると実感していると語り、「スポーツを通じて英語を話すハードルを下げ、勇気を持って未来へ進む人々をともに後押ししたい」と意気込みを語りました。
約20団体が賛同 グローバル人材不足や多様性への期待
各パートナーからは、グローバル人材不足の解消、多様な価値観とのつながり、スポーツを通じた挑戦の後押しなど、多角的な期待が表明されました。IIBCの藤沢裕厚理事長は、これらのコメントを受け、「こうした賛同の輪が広がることで、英語で話すことへの壁を、感じなくなる社会の実現に繋がると信じています」と述べ、プロジェクトへのさらなる参加を呼びかけました。
このように、英語を話す心理的ハードルの低下は、単なる語学学習の課題を超えて、社会全体の活性化につながる可能性を秘めています。
2027年3月までに50団体の賛同を目指し交流・勉強会を実施予定
プロジェクトは今後、さらなる賛同の輪の拡大を目指します。具体的には、2027年3月までに合計50団体の賛同を得ることを目標としており、賛同パートナー同士での交流・情報交換会や、対談企画、取り組み事例の紹介、勉強会などを計画しています。特設サイトを通じて、活動内容や新しい賛同パートナーを随時発信していくとのことです。
加藤清史郎さんとシソンヌ長谷川忍さんが体感 「英語話せます」のハードルはどこにある?



発表会の後半では、俳優の加藤清史郎さんとお笑いコンビ「シソンヌ」の長谷川忍さんをゲストに迎えたトークセッションが行われました。英語に対して異なるスタンスを持つ二人の対話から、多くの英語学習者が抱える「話せる」ことへの心理的なハードルが浮き彫りになりました。
留学経験者と苦手意識を持つ芸人 二人の「話せる基準」は大きく異なる
セッションの冒頭、留学経験のある加藤さんが流暢な英語で挨拶すると、長谷川さんは思わず動揺し、「日本人の前で話す英語のほうが緊張する」と本音を明かしました。このコメントは、日本人同士の間で英語を話すことへの特有の恥ずかしさやプレッシャーを象徴するものでした。
続く「英語話せますライン10段階ジャッジ」では、二人の「話せる」基準の違いが鮮明になりました。長谷川さんは、人前で「話せる」と言うには「仕事の打ち合わせやプレゼンができる(レベル8)」という高いハードルが必要だと感じていました。一方、留学経験から「街中の人々も完璧な英語を話しているわけではない」と実感している加藤さんは、「お店で買い物・注文ができる(レベル3)」でも十分「話せる」と言えると主張しました。
「英語話せますライン10段階ジャッジ」では、加藤さんが示した「レベル3」と長谷川さんが感じた「レベル8」の間に大きな開きがありました。これは、英語を「ツール」として使いこなした経験があるかどうかで、「話せる」という言葉に込める基準やイメージが大きく変わることを表しています。多くの日本人学習者は、長谷川さんのように「高い完成度」を目指しすぎる傾向があるのかもしれません。
「箱の中身はなんだろな in English」で実践 発してみることの大切さ
後半では、実際に英語を使って心理的ハードルを下げる特別企画「箱の中身はなんだろな in English」が実施されました。箱の中の物を手探りで触り、その特徴を英語で説明しながら二人で中身を当てるゲームです。
加藤さんは「とりあえず話してみることが大事」と前向きに、長谷川さんは「できるかな」と不安を口にしながらも挑戦しました。加藤さんが感触や形を簡単な英語で説明し、長谷川さんも身振り手振りを交えながら反応する様子に、会場は笑いに包まれました。正解が「長谷川さんのスニーカー」と分かると、本人も驚き、会場は大いに盛り上がりました。
企画を終えた長谷川さんは「いざ英語を話してみたら、意外と伝えられていたのかもしれない」と実感。加藤さんも「まずは英語を発してみることが、楽しみながら学べること」と語り、完璧さよりも伝えようとする一歩の重要性を会場全体で体感する時間となりました。
このセッションは、英語学習者が自分自身に課している「話せる」の基準を見直し、まずは伝えようとする姿勢と、それを支える場や機会の重要性を強く示唆する内容でした。
英語学習者にできること 心理的ハードルを下げるための具体的なアプローチ



多くの学習者が抱える「英語を話せる」と言う自信のなさ。その背景にあるのは、自分より英語が話せる人との比較や、間違えることへの不安、現在のスピーキング力が分からないことによる心理的なハードルです。発表会では、ゲストの加藤清史郎さんと長谷川忍さんが、このハードルをどう下げていけるのか、具体的なヒントを体現しました。
「間違えてもいい」と自分に許可を出すことの重要性
発表会でのトークセッションで印象的だったのは、留学経験のある加藤さんと、英語に苦手意識を持つ長谷川さんの「話せる基準」の違いです。長谷川さんは「人前で”英語を話せます”と言うには、仕事でプレゼンができるレベルが必要」と考える一方、加藤さんは「店で買い物や注文ができれば、”話せる”と言ってよい」と指摘しました。
この違いの核心は、「完璧さを求めすぎていないか」という点にあります。加藤さんは留学経験から、「街中で完璧な英語を話している人は少ない。文法が完璧である必要はなく、まず伝えようとする気持ちが大切だ」と語りました。この考え方は、多くの学習者が抱えるプレッシャーを軽くするものです。
- 「完璧な英語」を話そうとしない。コミュニケーションの目的は「理解し合う」ことだと意識する。
- 小さな成功体験を積む。まずは「Hello.」「Thank you.」などの挨拶、カフェでの簡単な注文、自己紹介から始めてみる。
- 「間違えてもいい」「伝わればOK」と自分に許可を出す。日本人の前で話す方が緊張するという長谷川さんのように、誰の前で話すかによってハードルは変わる。
TOEIC Speaking Testと公式アプリ「TOEIC Pal」で自分の「伝える力」を知る
心理的ハードルを下げるもう一つの鍵は、「自分の現在地を知る」ことです。自分のスピーキング力が分からないと、目標が曖昧になり、不安や比較が生まれやすくなります。発表会では、この課題を解決するツールとして、TOEIC Speaking Testとその公式対策アプリ「TOEIC Pal」が紹介されました。
加藤さんは「TOEIC Pal」を事前に試し、AIと話すことやその場で発音が学べる点を「面白かった」「楽しく受験できた」と評価しました。長谷川さんも、「これまでは恥ずかしさでハードルが高かったが、このツールがあれば今からでも始められそうだ」と、学習への意欲を見せています。
TOEIC Speaking Testは、英語で「話す力」を客観的に測るテストです。公式対策アプリ「TOEIC Pal」は、AIとの会話練習や発音チェックなどの機能を通じて、日常の中で気軽に英語に触れながら、自分の現在地を知り、成長を実感できる機会を提供します。留学など環境を変えることが難しい人でも、スピーキング練習を始めるきっかけとして活用できます。
プロジェクトでは、このようなツールを活用しながら、「英語で話す一歩」をまずは肯定し、継続的な学習につなげる機運づくりを進めていくとしています。大切なのは、高い目標を一気に目指そうとするのではなく、まずは自分ができる小さな一歩を踏み出し、その経験を自信に変えていくことです。
読者からのよくある質問
- 英語を話すのに、どのくらいのレベルから「話せる」と言っていいのでしょうか?
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発表会でのゲストの意見によると、「話せる」の基準は人によって大きく異なります。大切なのは、完璧さを求めすぎないことです。例えば、旅行先で買い物ができたり、自己紹介ができたりするレベルでも、立派な「話せる」の一歩と言えます。まずは自分が達成したい具体的な場面(例:カフェで注文する)を目標に設定し、小さな成功を積み重ねていくことが推奨されています。
- 間違えるのが恥ずかしくて、なかなか話す一歩が踏み出せません。どうすればいいですか?
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多くの学習者が感じる共通の悩みです。発表会では、「日本人の前で話す方が緊張する」という意見もありました。まずは、AIを相手に練習できるアプリなどを活用して、誰にも見られない環境で話す練習を始めてみるのがおすすめです。また、「伝えようとする気持ちが大切」という考え方を参考に、「間違えてもいい」「まずは伝えてみる」と自分に許可を出すことで、心理的なハードルを下げることができます。
- 自分のスピーキング力がどれくらいか分かりません。客観的に知る方法はありますか?
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はい、あります。例えば、TOEIC Speaking Testは、英語で話す力を数値化して評価するテストです。また、公式対策アプリにはAIとの会話練習機能があり、自分の発音や表現をチェックしながら、現在の力を知ることができます。自分の「現在地」を客観的に把握することで、適切な学習目標を立て、成長を実感しやすくなります。
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