文法書を読み、構文も理解している。なのに、いざ英文を書いてみると「なんとなく不自然」「翻訳くさい」と感じたことはありませんか?英文法を学び、単語も知っているのに、書いた文章のクオリティが上がらない。その原因の多くは、「品詞」の使い分けを見落としていることにあります。この記事では、その根本的な理由と、ライティング最終フェーズで劇的に改善する方法を解説します。
なぜ文法はわかっているのに、書くと不自然になるのか?
文法のルールを知っていても、それが自然な英語表現に直結するとは限りません。特に、日本語から英語に「翻訳」しようとする際に、多くの人が陥るのが「単語の1対1置き換え」という罠です。
「単語の置き換え」が生む落とし穴
例えば、「彼の説明は混乱を招いた」という日本語を英訳する場面を考えてみましょう。多くの学習者は「混乱を招く」を辞書で調べ、「cause confusion」という表現を知ります。ここで問題となるのは、そのまま「His explanation caused confusion.」と書いてしまうことです。文法的には間違いではありませんが、ネイティブスピーカーにとっては少し堅く、直接的すぎる印象を与えることがあります。
より自然な表現を探求すると、「confusing(形容詞)」という品詞を使う選択肢が見えてきます。「His explanation was confusing.」の方が、状況を描写する表現としてしっくりくるのです。この差は、「動詞+名詞」の組み合わせから「be動詞+形容詞」へのシフト、つまり使用する単語の「品詞」を変えることで生まれます。
- 直訳的(不自然になりがち): 動詞(cause) + 名詞(confusion) → 「原因と結果」をそのまま述べる。
- 自然的(描写力が高い): be動詞(was) + 形容詞(confusing) → 「状態や性質」を描写する。
最終確認フェーズこそ品詞チェックが効く理由
文章の構成(アウトライン)や主な内容が決まった後の「最終確認フェーズ」は、細部の磨き上げに最も集中できるタイミングです。この段階で、各文の骨格(主語・動詞)だけでなく、修飾語句がどの品詞で構成されているかを意識的にチェックすることで、文章の質は飛躍的に向上します。
最終チェック時に「この名詞を形容詞に変えられないか?」「この動詞をより具体的な名詞で表現できないか?」と自問する習慣が、翻訳調から脱却し、自然な英文を書くための最短ルートです。文法エラーを減らす以上の、表現の幅を広げる効果があります。
つまり、文法の知識とライティングスキルのギャップを埋める鍵は、「品詞の選択肢を意識する」ことにあるのです。次のセクションからは、具体的にどの品詞に注目し、どうチェックすればいいのか、その実践的な方法を詳しく見ていきましょう。
品詞チェックの全体像:4ステップで文章を磨き上げる
品詞チェックは、文章全体をぼんやりと眺めるのではなく、戦略的な順序で各パーツを確認する作業です。順番を守ることで、チェック漏れを防ぎ、効率的にミスを発見できます。ここからは、その具体的な手順をステップバイステップで解説します。
文章の核となる「動詞」からチェックを始めます。主語と数が一致しているか(三単現のs)、時制は適切か、態(能動態/受動態)は自然かを確認します。
次に、動詞の対象となる「名詞」をチェックします。可算名詞なら冠詞(a/an/the)や複数形は正しいか、不可算名詞に複数形を使っていないかを確認します。
名詞を修飾する「形容詞」に目を向けます。名詞の直前に置かれているか、比較級・最上級の形は正しいか、名詞を修飾する本来の働きをしているかを確認します。
最後に、動詞・形容詞・文全体などを修飾する「副詞」を確認します。文中の位置は適切か(例:頻度を表す副詞は動詞の前)、形容詞と副詞を混同していないかをチェックします。
この「動詞→名詞→形容詞→副詞」の順序には明確な理由があります。最も重要な文の骨格(動詞と名詞)から固め、その周辺を飾る要素(形容詞と副詞)を後から確認するという、建築物を作るような流れです。逆の順序で確認すると、根本的な間違いを見落とす可能性が高まります。
チェックは「動詞→名詞→形容詞→副詞」の順で, 確認すべきは『働き』と『位置』
順序を守るだけでは不十分です。各ステップでは、その品詞が文中で果たすべき「働き」と、本来置かれるべき「位置」の2点に集中して確認しましょう。これが、不自然な英文を自然な英文に変える核心です。
- 動詞の働きと位置:主語に対して「何をするか」を表す。基本的には主語の後に置かれる。助動詞や否定語(not)との位置関係もチェック。
- 名詞の働きと位置:人・物・事柄の名称を表し、主語や目的語になる。冠詞や所有格などの「前飾り」とセットで考える。
- 形容詞の働きと位置:名詞の状態や性質を説明する。修飾する名詞の直前に置かれるのが基本(※一部例外あり)。
- 副詞の働きと位置:動詞・形容詞・他の副詞、または文全体を修飾する。文中の位置が比較的自由なため、最も確認が難しい品詞。
一つの文をチェックするときは、各品詞に下線を引き、その「働き」と「位置」を声に出して確認すると効果的です。例:「この ‘quickly’ は動詞 ‘learn’ を修飾する副詞だ。位置は動詞の後でOK」。視覚と聴覚の両方を使うことで、脳への定着度が高まります。
最も多いミスは「形容詞と副詞の混同」です。例えば、「I feel badly.」は「私はひどく感じる(触覚が鈍い)」という意味になり、「I feel bad.」(気分が悪い、申し訳なく思う)とは異なります。形容詞(bad)と副詞(badly)の「働き」の違いを常に意識してください。
ステップ1: 動詞チェック – 文の核を確実にする
品詞チェックの第一歩は、英文の「心臓部」である動詞を徹底的に見直すことです。動詞は文の意味と構造を決定する最も重要な要素。ここを確実にすることで、文全体の骨格がしっかりと固まります。
- 「自動詞」と「他動詞」を正確に見分ける
- 動詞の「形」(時制、態、法)が意図通りかを確認する
- 動詞の後に来るべき品詞(名詞、動名詞、不定詞など)が正しいか確認する
「自動詞」と「他動詞」の見分け方
最も基本的でありながら、多くの間違いの原因となるのが、自動詞と他動詞の混同です。日本語では「~を」という言葉がなくても、英語では目的語を必要とする動詞が多くあります。
「他動詞」は、必ず目的語(名詞またはそれに相当する語句)を直後に必要とします。目的語が抜けている文は、文法的に不完全です。
チェックのコツは、動詞の後に「誰に?」「何を?」を表す語句が自然に続くかを考えることです。
| 自動詞 (Intransitive Verb) | 他動詞 (Transitive Verb) |
|---|---|
| 主語の動作・状態を表し、目的語を取らない。 例: The sun rises. (太陽が昇る。) | 動作の対象(目的語)を必要とする。 例: I raise my hand. (私は手を挙げる。) |
| He arrived at the station. (彼は駅に到着した。) ※「at the station」は前置詞句であり、目的語ではない。 | We discussed the plan. (私たちは計画について議論した。) ※「the plan」は動詞「discussed」の直接目的語。 |
| My grandfather passed away. (私の祖父が亡くなった。) | Please pass me the salt. (塩を取ってください。) |
上記の表で、特に注意したいのは「discuss」です。日本語では「~について議論する」と「について」が必要ですが、英語の「discuss」は他動詞なので、「discuss about the plan」は誤りです。「discuss the plan」が正解です。
動詞の形(時制・態・法)は意図通りか
次に、動詞の「形」が文脈に合っているかを確認します。ここで見るべきは主に3点です。
- 時制の一致: 主節の動詞が過去形の場合、従属節の動詞も原則として過去形になるか?
例: She said that she was tired. (彼女は疲れていると言った。) - 受動態の適切さ: 主語が「~される」立場の時、受動態(be + 過去分詞)を使うべきか?
例: The book was written by a famous author. (その本は有名な作家によって書かれた。) - 法(仮定法など): 事実と異なる仮定や願望を表す時、動詞の形は適切か?
例: If I were you, I would study harder. (もし私があなたなら、もっと勉強するだろうに。)
頻出ミス:動詞の後に来るべき品詞の誤り
最後に、動詞によって後に続くべき語の「品詞」が決まっているケースをチェックします。これは単語ごとのルール(語法)なので、暗記と確認が重要です。
- 動名詞のみを目的語に取る動詞: enjoy, finish, avoid, consider, practice, give up
- 不定詞のみを目的語に取る動詞: decide, hope, plan, promise, refuse, seem
- 目的語として名詞/代名詞を必要とする他動詞: explain (something to someone), provide (someone with something)
このステップで動詞を完全にマスターできれば、英作文の基礎は盤石になります。次は、この動詞と結びつく「名詞」を見ていきましょう。
ステップ2: 名詞チェック – 主語・目的語の役割を明確に
動詞で文の骨格を固めたら、次はその周りを構成する「名詞」を点検します。名詞は主語や目的語として、文の誰が・何をを明確に示す重要なパーツ。ここを曖昧にすると、せっかくのアイデアが正確に伝わりません。
特に日本語から英作文をする際、日本語にはない文法概念が壁になります。このステップでは、その代表格である「可算・不可算」の区別や「単数・複数」の一致を、体系的にチェックする方法をお伝えします。
「可算名詞」と「不可算名詞」の区別
英語の名詞は、数えられる「可算名詞」と、数えられない「不可算名詞」に分かれます。この区別は、冠詞(a/an/the)や複数形の「s」を付けるかどうかを決める大前提です。
名詞の前に冠詞「a/an」を付けるか、複数形「s」を付けるか迷ったら、まずはその名詞が「数えられるものかどうか」を自問しましょう。
- 「可算名詞」 (Countable Noun) : 1つ、2つと数えられるもの。 例: a book(本), two ideas(アイデア), many problems(問題)
- 「不可算名詞」 (Uncountable Noun) : 形が一定でなく、量で表すもの。一般的に複数形にはなりません。 例: information(情報), advice(アドバイス), water(水), research(研究)
日本語では「情報」も「アドバイス」も数えられますが、英語では不可算名詞として扱われることが多いため要注意です。
この区別が曖昧だと、以下のようなミスが発生します。
| Before (誤り) | After (修正後) | 理由 |
|---|---|---|
| I received a good advice. | I received good advice. (または I received a piece of good advice.) | “advice”は不可算名詞。冠詞”a”は付けられない。 |
| We need more informations. | We need more information. | “information”は不可算名詞。複数形の”s”は付けない。 |
| He has many experience. | He has much experience. (または He has many experiences.) | “experience”(経験)は不可算。数えられる「体験」の意味では可算(experiences)となる。 |
主語と動詞の数の一致(単数・複数)
英語では、主語が単数なら動詞も単数形、主語が複数なら動詞も複数形にする「主語と動詞の一致」が絶対ルールです。ステップ1で動詞を確認した際、その形が主語の数によって正しく決まっているか、改めて確認しましょう。
- 主語が単数名詞または三人称単数代名詞(he, she, it)の場合、動詞は三人称単数形(一般動詞なら-s/-esを付ける)。
- 主語が複数名詞またはI, you, we, theyの場合、動詞は原形(三人称単数形ではない)。
| Before (誤り) | After (修正後) | 理由 |
|---|---|---|
| The list of items are long. | The list of items is long. | 主語は「The list」(単数)。”of items”はリストを修飾しているだけ。 |
| My friend, as well as his parents, are coming. | My friend, as well as his parents, is coming. | 主語は「My friend」(単数)。”as well as…”は追加情報で、主語の数に影響しない。 |
| Each of the students have a textbook. | Each of the students has a textbook. | “Each”(それぞれ)は単数扱い。 |
名詞を修飾する要素の位置は正しいか
名詞を詳しく説明する「修飾語」の位置も、日本語と英語では大きく異なります。基本的なルールは以下の通りです。
「美しい花」は “a beautiful flower”。「美しい」という形容詞は、修飾する名詞「flower」の前に直接置きます。
「机の上の本」のように、2語以上のかたまり(句)や主語と動詞を含むかたまり(節)で名詞を修飾する場合は、名詞の後ろに置きます。
- the book on the desk (机の上の本)
- the person who I met yesterday (昨日私が会った人)
- something important (何か重要なこと)※「something」「anything」などは形容詞が後置。
このルールを意識せずに日本語の語順で書くと、不自然な英文になってしまいます。
| Before (不自然) | After (自然) | 改善点 |
|---|---|---|
| I have a question about the project simple. | I have a simple question about the project. | 「simple」(形容詞)は名詞「question」の前に。「about…」(句)は名詞の後に。 |
| He is a man reliable. | He is a reliable man. | 「reliable」(形容詞)は原則、名詞の前。 |
名詞チェックのまとめ:1. 名詞が可算か不可算かで冠詞・複数形を決める。2. 主語の数に合わせて動詞の形を一致させる。3. 修飾語は形容詞なら前、句・節なら後ろに置く。
ステップ3: 形容詞チェック – 名詞の情報を的確に追加する
文の骨格(動詞)と主体(名詞)を固めたら、次はその名詞に色や質感、状態などを加える「形容詞」を精査します。形容詞は文章に豊かさと正確さをもたらすスパイス。しかし、使い方を間違えると、意味が曖昧になったり、不自然な表現になったりします。このステップでは、英作文で特に間違いやすい3つのポイントを集中的にチェックする方法をお伝えします。
形容詞が修飾しているのは本当に「名詞」か?
形容詞の最も基本的な役割は、名詞を直接修飾することです。チェックの第一歩は、「この形容詞が指しているのは、近くにある名詞か?」を確認することです。特に長い文や関係代名詞を含む文では、修飾関係がずれてしまうことがあります。
形容詞は、原則として直後の名詞を修飾します。配置が少し変わるだけで、修飾する対象が変わってしまうことに注意しましょう。
上記の例では「red(赤い)」は「bag(かばん)」を修飾しています。英語では、意見・評価を表す形容詞(beautiful)が、色・素材など客観的な形容詞(red)よりも名詞に近い位置に来るのが一般的な語順です。この語順ルールを意識するだけで、表現の自然さが格段に向上します。
叙述用法と限定用法の混同に注意
形容詞には、大きく分けて2つの使い方があります。「限定用法」と「叙述用法」です。この区別がしっかりできていないと、文法的に誤った文になってしまいます。
- 限定用法: 名詞の直前に置き、その名詞を直接修飾する。
例: an interesting book (面白い本) - 叙述用法: be動詞やfeel, lookなどの動詞の後ろに置き、主語の状態・性質を説明する。
例: This book is interesting. (この本は面白い。)
ほとんどの形容詞は両方の用法で使えますが、「叙述用法でしか使えない形容詞」が存在します。これらを限定用法で使うと間違いになります。
- 「alive(生きている)」や「alone(一人の)」はどう使う?
-
これらは典型的な叙述用法専用の形容詞です。
-ingと-edで終わる形容詞の使い分け
英作文で最も混乱しやすいポイントの一つが、「-ing形」と「-ed形」の形容詞の使い分けです。これらは元は動詞の現在分詞・過去分詞ですが、形容詞として非常に頻繁に使われます。
-ing 形容詞 → 「(対象が)~させる性質を持っている」
-ed 形容詞 → 「(主語が)~させられた状態にある」
つまり、-ingは「原因・性質」、-edは「結果・状態」を表すイメージです。
| -ing形容詞 (物・事柄の性質) | -ed形容詞 (人の感情・状態) |
|---|---|
| an interesting movie (人を興味を起こさせる映画) | I am interested in the movie. (映画に興味を起こさせられた状態の私) |
| a tiring job (人を疲れさせる仕事) | I feel tired. (疲れさせられた状態の私) |
| a confusing explanation (人を混乱させる説明) | The students look confused. (混乱させられた状態の学生たち) |
この区別をクリアにすることで、「私は退屈です」を “I am boring.” (私は人を退屈させる人です) と書いてしまうような致命的なミスを防ぐことができます。正しくは “I am bored.” です。
形容詞チェックは、あなたの英作文に「正確さ」と「豊かさ」の両方を与える最終仕上げです。名詞と形容詞の関係、形容詞の正しい配置と用法を1つずつ確認することで、表現のクオリティが確実に向上します。
ステップ4: 副詞チェック – 文章に精度とニュアンスを加える
動詞・名詞・形容詞と、文の主要なパーツを確認したら、最後にその仕上げとなる「副詞」をチェックします。副詞は、動詞の様子を描写したり、形容詞の程度を表したり、文全体に話し手の態度や評価を加える小さな単語たち。これが適切に使えると、単なる事実の羅列が、洗練され、ニュアンス豊かな表現へと一気に変わります。
しかし、その小さいゆえに、置き場所を間違えたり、形容詞と混同したりするミスが頻発します。この最終チェックをクリアして、あなたの英作文に「プロの一筆」を加えましょう。
副詞が修飾している対象(動詞・形容詞・文全体)の確認
副詞をチェックする第一歩は、「この副詞は、いったい何を修飾しているのか?」を明確にすることです。修飾対象によって、副詞の種類と適切な位置が変わります。
- 動詞を修飾する副詞: 動作の「どのように」を説明します。例:run (quickly), speak (fluently), work (hard)。基本的に動詞の直後、または目的語の後に置きます。
- 形容詞を修飾する副詞: 形容詞の程度を表します。例:very (good), extremely (difficult), quite (interesting)。常に修飾する形容詞の直前に置きます。
- 文全体を修飾する副詞: 話し手の意見や、文全体に対する評価を示します。例:Fortunately, Obviously, Interestingly。通常、文頭に置かれることが多く、文全体を修飾します。
| 修飾対象 | 例文 | 補足 |
|---|---|---|
| 動詞 | She carefully read the document. He speaks English fluently. | 動詞の様子を説明。 |
| 形容詞 | It was an extremely long meeting. This task is quite challenging. | 形容詞の直前に置く。 |
| 文全体 | Fortunately, the weather was fine. Honestly, I don’t agree with that idea. | 文頭に置き、カンマで区切るのが一般的。 |
副詞の位置(文頭・文中・文末)は適切か
副詞の位置は、その種類と強調したい内容によって決まります。位置を間違えると、不自然な響きになったり、誤解を招いたりします。
- 文修飾の副詞は文頭が基本:「Fortunately」「Surprisingly」「Generally」など、文全体に対するコメントを加える副詞は、文頭に置くのが最も自然です。
- 動詞を修飾する副詞は、動詞の近くに: 特に助動詞やbe動詞がある場合、直後に置くのが原則です。
例: She can easily solve the problem. (○)
例: She easily can solve the problem. (△ 不自然) - 強調したい要素の前に置く: 特に何を強調したいかによって位置を調整できます。
例: I only told him the news. (私だけが彼に話した)
例: I told only him the news. (彼だけに話した)
頻出ミス:形容詞と副詞の取り違え
英作文で最も目にする間違いの一つが、形容詞と副詞の混同です。これは、日本語ではどちらも「〜く」「〜に」など同じ語尾で表現されることが多いためです。
見分ける鉄則は、「形容詞は名詞を説明し、副詞は動詞・形容詞・他の副詞を説明する」です。
「He works hard.」と「He is a hard worker.」の違いを完璧に理解しましょう。
- He works hard. (○)
「働く」という動詞(work)を「懸命に」という意味で修飾しているので、副詞の「hard」が正解です。
- He is a hard worker. (○)
「働き手(worker)」という名詞を「勤勉な」という意味で修飾しているので、形容詞の「hard」が正解です。
ここで「He works hardly.」としてしまうと、「ほとんど働かない」という真逆の意味になってしまいます(hardly = ほとんど〜ない)。このように、一文字違いや形の似た単語には細心の注意を払いましょう。
副詞チェックのまとめ:①修飾対象を特定する。②種類に応じた適切な位置(文頭・文中・文末)を確認する。③形容詞との混同(特に「-ly」の有無)がないか最終確認する。
実践トレーニング:実際の英文で品詞チェックを試してみよう
ここまで、品詞チェックの4つのステップ(動詞→名詞→形容詞→副詞)を学んできました。しかし、知識だけではミスは減りません。実際の文章に当てはめて「身体」で覚えることが、上達への最短ルートです。このセクションでは、ビジネスシーンや試験でよく見かける英文を題材に、実践的なチェック作業を行います。目と手を動かして、確実にスキルを定着させましょう。
以下の例文を読みながら、自分ならどこをどうチェックするか考えてみてください。すぐに答えを見るのではなく、「なぜ間違いなのか」「どう直すべきか」を自分で推測するプロセスが、最も効果的な学習です。
ビジネスメール文例のチェックポイント
まずは、仕事で使う機会の多い英語メールから。丁寧さと正確さが求められる場面だからこそ、品詞のミスは避けたいものです。
以下の文は、学習者が書きがちなミスを含んでいます。4ステップで問題点を探してみましょう。
原文: I am writing to request a detail information about the new project and would like to discuss it more deeper at the meeting next week.
- ステップ1:動詞チェック – “am writing”, “request”, “would like to discuss” は文の骨格として適切です。
- ステップ2:名詞チェック – “information”, “project”, “meeting” は可算/不可算の観点で問題ありません。
- ステップ3:形容詞チェック – ここに注目! “detail information” が問題です。“information”(不可算名詞)を修飾するのは形容詞である “detailed” でなければなりません。“detail” は名詞です。
- ステップ4:副詞チェック – “more deeper” が典型的な間違いです。“deep” の比較級は “deeper” であり、それ自体が比較を表す形容詞です。さらに “more” を付けると二重比較になってしまいます。動詞 “discuss” を修飾する副詞は “in more detail” や “more deeply” が適切です。
英検・TOEFLライティング頻出テーマの文を添削
試験のライティングでは、限られた時間で論理的な文章を構築する必要があります。焦りから起こりやすい品詞の混乱を、チェックで防ぎましょう。
原文: One of the most effect solutions to global warming is the develop of renewable energy. Governments should invest in this area heavy.
- “effect solutions” – “effect” は名詞(効果)です。ここでは “effective”(効果的な)という形容詞が必要です。「効果がある解決策」という意味になります。
- “the develop of” – “develop” は動詞です。前置詞 “of” の前、定冠詞 “the” の後には名詞が必要です。正しくは “development”(開発)です。
- “invest … heavy” – 動詞 “invest” を修飾するのは副詞です。“heavy” は形容詞なので、副詞形の “heavily” に直します。
このように、名詞が必要な場所に動詞の原形を置いてしまうミスは、特に「動名詞」や「不定詞」の選択に迷う中級者に非常に多いパターンです。品詞チェックはこのような根本的な誤りを一発で見つけ出します。
チェックリストの活用と反復練習の重要性
実践を重ねた後は、その経験を自分専用のチェックリストにまとめ、すべてのライティング作業の最終工程に組み込みましょう。これが、ミスを習慣的に減らす「仕組み」を作る最後の一歩です。
- 基本の4ステップ:動詞の時制/態、主語と動詞の一致、名詞の可算/不可算/複数形、形容詞と副詞の使い分け。
- 自分の弱点を追加:例えば、「“information” の前は必ず “detailed” か確認」「比較級は二重になっていないか」など、実践トレーニングで発見した個人的な癖や間違いを項目に加えます。
- 試験別ポイント:TOEICライティングではフォーマルな表現を、TOEFL/英検では論理的な接続副詞(However, Thereforeなど)の品詞を重点チェックするなど、用途に合わせてカスタマイズします。
エッセイやメールを書く際の流れを以下のようにします。
- アウトライン(構想)を立てて文章を書き上げる。
- 内容や論理構成の推敲(大きな修正)を行う。
- 完成品に対して、作成したチェックリストに従って、上から順に品詞チェックを実行する。
- チェック終了後、最終確認して提出または保存する。
最初はチェックリストを見ながら一つ一つ確認する作業は面倒に感じるかもしれません。しかし、これを毎回のライティングで繰り返すことで、チェックの視点が無意識のうちに働くようになります。最終的には、書いている最中に「ここは副詞が必要だ」と自然に気付けるレベルを目指しましょう。これが、クオリティを根本から高める「自動化」です。
最初は汎用的なチェックリストを使い、練習を重ねるごとに自分の犯したミスをリストに追加していき、パーソナライズしていくのが理想的です。ある学習サービスでは、ユーザーが間違えた問題から自動的に弱点チェックリストを生成する機能も提供されています。自分で管理する場合は、ノートやデジタルメモに「品詞チェックリスト」として保存し、常に参照できる状態にしておきましょう。
品詞チェックで避けられるよくあるミスとその対策
最後に、品詞チェックを習慣化することで、具体的にどのようなミスを防げるのかを総まとめしましょう。これまでのステップを踏まえ、特に日本人学習者が陥りやすい落とし穴を確認することで、あなたのライティング精度はさらに高まります。
- 「-ly」を付ければすべて副詞になるのですか?
-
いいえ、そうとは限りません。「-ly」で終わる形容詞も存在します。例えば「friendly(友好的な)」「lovely(愛らしい)」「lonely(孤独な)」は全て形容詞です。「She spoke to me friendly.」は誤りで、正しくは「She spoke to me in a friendly way.」などと表現します。品詞は形だけでなく、文中での「働き」で判断することが大切です。
- 「much」と「many」の使い分けは名詞チェックで解決できますか?
-
はい、完全に解決できます。「much」は不可算名詞を、「many」は可算名詞を修飾します。つまり、ステップ2の名詞チェックで「この名詞は可算か不可算か?」を確認できれば、自動的に「much information」「many books」と正しく選択できるのです。品詞チェックは、個別の単語の暗記ではなく、体系的な理解を促します。
- 「look」や「feel」の後は必ず形容詞ですか?
-
基本的にはそうです。「look」「feel」「sound」「taste」「smell」などの知覚動詞は、その後ろに形容詞を置いて主語の状態や性質を説明します(叙述用法)。「You look happily.」は誤りで、「You look happy.」が正解です。ただし、様子を表す場合は副詞も可能です(例:She looked at me angrily.)。動詞の意味と品詞の関係を意識することが鍵です。
英作文のクオリティ向上は、複雑な文法を新たに学ぶことよりも、既知の単語の「品詞」という視点で文章を見直す習慣を身につけることから始まります。アウトライン作成後の最終確認フェーズに、今回紹介した4ステップの品詞チェックを取り入れるだけで、不自然な表現や初歩的な文法ミスを大幅に減らし、自信を持って英文を書けるようになるでしょう。

