英検のライティング(英作文)で、なかなか点数が伸びずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。単語や文法の知識はあるのに、いざ答案を書くと評価が低い……その原因は、「英検が求めている答案の型」を知らずに、自分流の書き方をしていることにあるかもしれません。合格への第一歩は、相手(試験官)が何を評価しているのかを正しく理解することです。このセクションでは、英検ライティングの採点基準と、2級・準1級それぞれが求める「質」の違いを徹底解説します。
なぜライティングで点数が伸びない? 英検特有の評価基準を知る
英検ライティングは、単に英語が「書ける」かどうかだけでなく、「論理的な意見を英語で表現できるか」を測る試験です。せっかく良い内容を思いついても、採点基準に沿っていなければ高い評価は得られません。まずは、試験官がどのような観点で答案をチェックしているのか、その「採点のものさし」を確認しましょう。
英検ライティングの4つの採点観点を理解する
英検のライティングは、以下の4つの観点から採点されます。どの級でもこの基本は変わりません。
- 内容 (Content): 質問に対して適切に答え、自分の意見を明確に述べているか。主張を支える理由(理由や具体例)が論理的で説得力があるか。
- 構成 (Organization): 序論・本論・結論という英文エッセイの基本構成が守られているか。接続詞などを適切に使い、文章の流れがスムーズで読みやすいか。
- 語彙 (Vocabulary): トピックにふさわしい単語・表現を正しく使いこなせているか。単調な単語の繰り返しを避け、多様な語彙が使われているか。
- 文法 (Grammar): 文法的に正確な文章が書けているか。単数・複数、時制、冠詞、前置詞などの基本的なルールを守り、多様な構文(関係代名詞や分詞構文など)を効果的に用いているか。
「内容」と「構成」は特に重要
多くの学習者は「語彙」や「文法」に意識が向きがちですが、採点の比重は「内容」と「構成」に大きく傾いています。いくら難しい単語を使っても、論理が破綻していたり、質問に答えていなければ高得点は期待できません。
英検では、各観点が均等に評価されるわけではありません。公式の採点ガイドでは、「内容」と「構成」がより重視される傾向にあります。これは、「伝えたいことを論理的に組み立て、読者(試験官)に明確に伝える力」が最優先だからです。まずは意見と根拠を明確にし、それを整然とした形で書くことに集中しましょう。
2級と準1級で求められる「質」の違い
2級と準1級では、同じ4つの観点であっても、求められる「質」のレベルが明確に異なります。合格答案を書くためには、この違いを意識することが不可欠です。
| 評価項目 | 英検2級で求められること | 英検準1級で求められること |
|---|---|---|
| 内容・構成 | 自分の意見と、それを支持する2つの理由を明確に述べる。シンプルな論理展開で十分。 | 意見を支持する複数の理由を、より深く掘り下げて論じる。抽象的な概念や社会的な視点を含めた、説得力のある展開が求められる。 |
| 語彙 | 高校卒業レベル(約3800~5100語)の基本的な語彙を正しく使用する。同じ単語の繰り返しを避ける。 | 大学中級レベル(約7500~9500語)の語彙を積極的に活用する。トピックに応じたより適切で洗練された表現が求められる。 |
| 文法 | 高校で学ぶ基本文法(関係代名詞、分詞など)を正しく使用する。複雑な構文は必須ではない。 | 多様な構文(仮定法、倒置、強調構文など)を適切に使いこなし、文章に変化と深みを持たせる。 |
| 文字数の目安 | 80~100語程度 | 120~150語程度 |
この表からも分かるように、準1級では単に「理由を2つ書く」だけでなく、「その理由をなぜそう考えるのか、具体例や別の視点を交えて深く説明する力」が求められます。また、使用する語彙や文法の複雑さ・適切さについても、より高度なレベルが要求されるのです。
ライティングで高得点を取る秘訣は、「自分に合った答案」ではなく「試験官が求める答案」を書くことです。まずは、自分の受験する級の採点観点と求められる水準を頭に叩き込み、それに合わせて答案の構成、語彙選択、論理の深さを設計しましょう。次のセクションでは、この基準を満たすための具体的な英作文構成パターンをご紹介します。
英検2級ライティング攻略:説得力のある4パラグラフ構成の型
英検2級ライティングで高得点を狙うには、「型」を身につけることが最短ルートです。採点者は限られた時間で多くの答案を読みます。その中で、論理的な構成が一目でわかる答案は、内容をしっかり理解してもらえ、高い評価を得やすいのです。ここでは、どんな設問にも対応できる汎用性の高い「4パラグラフ構成」の書き方を徹底解説します。
必ず守りたい「主張→理由×2→結論」の基本フォーマット
英検2級のライティングでは、約80〜100語で自分の意見を述べます。この文字数を効果的に使い、説得力のある答案を書くための黄金フォーマットが以下です。
設問で問われている内容を簡潔に言い換え、自分の主張(賛成か反対、どちらを選ぶか)を明確に述べます。約20語。
- 目標:「私は〜だと考える(I think that…)」など、立場をはっきりさせる。
- 避けるべき:長い前置きや、設問文の丸写し。
主張を支える最初の理由を、具体例や説明を交えて展開します。約30語。
- 目標:「第一の理由は〜である(First, … / One reason is that…)」で始め、論点を明確に。
- 避けるべき:抽象的な理由だけで終わらせない(「便利だから」→「なぜ便利なのか」まで掘り下げる)。
主張を支ける二つ目の理由を述べます。理由1とは異なる視点・観点から書くことが理想的です。約30語。
- 目標:「第二の理由は〜である(Second, … / Another reason is that…)」で始める。
- 避けるべき:理由1と似た内容(例:両方とも「経済的」な理由)になってしまうこと。
これまで述べた内容を要約し、主張を再確認して締めくくります。約20語。
- 目標:「これらの理由から、私は〜だと考える(For these reasons, I believe that…)」など、主張を繰り返す。
- 避けるべき:新しい情報や理由を追加しないこと。
導入: I think that [自分の主張]. I have two reasons for this opinion.
理由1: First, [理由1]. For example, [具体例や説明].
理由2: Second, [理由2]. This is because [理由の補足説明].
結論: For these reasons, I believe that [主張の繰り返し].
設問パターン別:意見型と二者択一型の書き分け方
英検2級のライティング設問は、主に次の2パターンに分けられます。どちらも基本フォーマットは同じですが、主張の述べ方に少し違いがあります。
- 意見型(Do you think…?)
例:「子供はもっと外で遊ぶべきだと思いますか?」
→ 導入パラグラフでは、「はい、そう思う(I agree)」または「いいえ、そうは思わない(I disagree)」と、明確に立場を表明します。 - 二者択一型(Which do you think…?)
例:「図書館で本を読むのと、電子書籍で読むのと、どちらが良いと思いますか?」
→ 導入パラグラフでは、どちらかを選択し、「私は図書館で本を読む方が良いと考える(I think that reading books at a library is better)」と述べます。
どちらのパターンでも、導入で自分の立場をはっきりさせることが採点の第一歩です。曖昧な表現は避けましょう。
2級で使える万能な「理由」の引き出し方
「主張は決まったけど、理由が思いつかない…」これは多くの受験者が直面する壁です。ここでは、アイデアをシステマティックに発想するための「観点マトリックス」を紹介します。どんなテーマが出ても、以下の観点から2つ選んで理由を作りましょう。
| 観点 | 考えられる理由の例 | 使えるキーワード |
|---|---|---|
| 個人(Personal) | 健康、時間、便利さ、ストレス、趣味、学習、成長、金銭的負担 | convenient, save time, healthy, relax, learn, improve skills, expensive |
| 社会(Social) | コミュニケーション、人間関係、地域社会、安全、伝統・文化 | communicate, make friends, community, safe, traditional culture |
| 経済(Economic) | 費用、雇用、ビジネス、成長、節約 | cost, create jobs, good for the economy, save money, affordable |
| 環境(Environmental) | 自然、リサイクル、エネルギー、汚染、持続可能性 | protect nature, recycle, save energy, reduce pollution, sustainable |
| 教育(Educational) | 知識、経験、子供の成長、学校、アクセスしやすさ | gain knowledge, good experience, children can learn, accessible |
例えば、「子供はスポーツクラブに参加すべきか?」という設問に対して:
- 理由1(個人・健康の観点): First, it is good for their health. They can exercise regularly and stay fit.
- 理由2(社会・コミュニケーションの観点): Second, they can learn how to cooperate with others. This helps them develop important social skills.
理由を述べた後は、「なぜそうなのか」「具体的にはどういうことか」を一言添えるだけで、説得力がグッと増します。
例(浅い理由): First, it is convenient.
例(深堀りした理由): First, it is convenient because we can use it anytime and anywhere.
「because…」「For example…」「This means that…」などの表現を使って、理由の後ろに必ず説明を付け加える習慣をつけましょう。
英検準1級ライティング攻略:より高度な「反論の予測と対応」を加える
英検2級でマスターした「主張→理由×2→結論」の型は、論理の基礎としては十分です。しかし、準1級では、この型に「反対意見」を予測し、それに論理的に反論するパラグラフを加えることで、より説得力と深みのある答案を書くことが求められます。この「反論への対応」は、採点基準「構成」と「内容」で高い評価を得るための重要な鍵です。
4パラグラフから5パラグラフへ:反論パラグラフの役割
準1級で推奨されるのは、「序論(Introduction)」→「主張を支える理由(Body1, Body2)」→「反論とその反駁(Counterargument & Rebuttal)」→「結論(Conclusion)」の5パラグラフ構成です。ここでの「反論パラグラフ」の役割は2つあります。
- 論理の深さを示す:「自分はこの問題を一方向からだけでなく、多角的に考えている」という姿勢を評価者に見せることができます。
- 主張の説得力を高める:反対意見を先回りして提示し、それを論破することで、自分の主張がより強固なものになります。これは「議論の完成度」を高める技術です。
準1級では、「反論を無視した一方通行の主張」は、内容の深さが足りないと判断される可能性があります。積極的に反論パラグラフを組み込むことで、評価をワンランク上げましょう。
反論の予測(Counterargument)とそれへの再反論(Rebuttal)の組み立て方
「反論パラグラフ」は単に「反対意見を書く」だけでは不十分です。必ず「反対意見」と、それに対する「自分の再反論」の両方を組み合わせて書きます。この流れを可視化すると以下のようになります。
1. 反論の提示: 「〜という意見があるかもしれない」と、自分の主張と対立する可能性のある意見を先に提示します。
2. 再反論(論破): 「しかし、その意見は〜という理由で誤っている/部分的である」と、その反論を論理的に否定または補正します。
3. 自説の再確認: 「したがって、やはり私の主張は妥当である」と、最終的に自分の立場を再確認する流れで締めくくります。
このパラグラフを書く際の具体的な手順は以下のステップに従うと整理しやすいです。
自分の主張に対して、最も説得力がありそうな反対意見は何かを考えます。例えば、「政府は環境対策により多くの予算を割くべきだ」という主張に対し、「その予算は経済対策や福祉に回すべきだ」という意見が考えられます。
「Some people may argue that…」や「Critics might point out that…」などの定型表現を使って、その反対意見を公平に提示します。
「However, this view overlooks the fact that…」(しかし、この見方は〜という事実を見落としている)や「While that is a valid concern, …」(それは確かに懸念ではあるが、…)などの表現で、反対意見の弱点を指摘し、自分の主張の優位性を示します。
- 反論の提示: It is sometimes argued that… / One common criticism is that… / Opponents of this view often claim that…
- 再反論の開始: However, this argument fails to consider… / Nonetheless, the benefits of… far outweigh this concern. / A closer examination reveals that…
- 反論を部分的に認めつつ反論: Admittedly, … is a legitimate concern. However, … / While it is true that…, this does not necessarily mean that…
抽象度の高いトピックに対応するための論理展開テクニック
準1級では、「高齢化社会への対応」「国際協力のあり方」「テクノロジーと倫理」など、抽象度が高く複雑な社会問題が出題されることが増えます。こうしたトピックで深い議論を展開するために、以下の思考フレームを活用しましょう。
- 「短期的 vs 長期的」視点: 反論を「短期的にはその通りだが、長期的に見ると…」という形で展開します。例: 「環境規制強化は短期的に企業負担を増す。しかし、長期的には新技術開発を促し、持続可能な産業を創出する。」
- 「経済的 vs 社会的・倫理的」視点: 経済効率だけではなく、社会的公平性や倫理的観点から議論を深めます。例: 「自動化は経済効率を上げる。しかし、雇用喪失による社会的コストや、人間の尊厳という倫理的課題も考慮すべきだ。」
- 「個人の自由 vs 社会の利益」視点: 個人の権利と社会全体の利益のバランスを論じます。例: 「政府の監視強化はプライバシー侵害だという意見がある。一方で、テロや犯罪の防止という社会的利益は非常に大きい。」
注意点:反論パラグラフは、自分の主張を弱めるものではありません。あくまで「想定される批判を先取りし、それを論破することで、結果的に自分の主張をより強固にする」ための戦略的パーツです。反論を提示した後、しっかりと再反論を書き、最後は自分の立場で締めくくることを忘れないでください。
実際に使える! 級別・段落別 実践テンプレート集
型を覚えたら、次はそれを「表現力」で肉付けする番です。ここでは、採点基準「語彙」と「文法」で確実に加点を狙える、安全で洗練された表現を段落ごとに集めました。丸暗記してそのまま使えるテンプレートと、表現のバリエーションを増やすための語彙リストを活用してください。
テンプレートを覚える最大のメリットは、本番で迷わず書き始められることです。最初の一文がスムーズに出れば、その後の文章も流れるように書けます。自分に合う表現を数個選び、練習で徹底的に使い込んでください。
【2級向け】導入・結論で使えるシンプルで確実な表現
2級では、複雑すぎず、文法的に正しい確実な表現が最優先です。以下の表は、導入(主張)と結論のパラグラフで使える定番フレーズです。
| 段落 | 使えるテンプレート例 | 使用上の注意 |
|---|---|---|
| 導入 (Introduction) | I agree with the idea that … (私は…という考えに賛成です) I believe that … (私は…だと信じています) In my opinion, … (私の意見では、…) | 「I think…」も使えますが、少し口語的。上記の方がライティング向きです。 |
| 結論 (Conclusion) | For these reasons, I believe that … (これらの理由から、私は…だと信じます) Therefore, I think … is a good idea. (したがって、…は良い考えだと思います) In conclusion, I agree with the statement. (結論として、私はその意見に賛成です) | 「For these reasons」や「Therefore」で、理由から結論への流れを明確に示しましょう。 |
2級の導入・結論は、シンプルでミスのない表現を選び、その分のエネルギーを理由パラグラフの充実に回しましょう。
【準1級向け】反論パラグラフをスマートに構築する表現
準1級の合否を分ける「反論への対応」パラグラフ。ここで使える高度な表現を覚えることで、論理の深みと説得力が劇的に向上します。
- 反論の予測を始める表現
Some may argue that … (~と主張する人もいるかもしれない)
It is true that … (確かに…という一面もある)
Admittedly, … (確かに…であることは認める) - 反論に対して自分の意見を主張する表現
However, I believe … (しかし、私は…だと考える)
Nevertheless, the benefits of … outweigh this concern. (それにもかかわらず、…の利点はこの懸念を上回る)
Despite this, … remains more important. (この点にもかかわらず、…の方がより重要である)
「反論を認めた上で、それでも自分の主張が優れている」という論理の流れを作ることがカギです。「Admittedly, … However, …」という構文は非常に強力で、採点者に「客観的に物事を考えている」という好印象を与えます。
理由を展開する際の「接続表現」レベルアップリスト
理由パラグラフを「First, … Second, …」だけで終わらせていませんか?接続表現をレベルアップさせることで、単なる理由の羅列から、因果関係が明確で流れるような論理展開に変えることができます。
| カテゴリ | 基本表現 | レベルアップ表現 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 順序・追加 | First, … Second, … Also, … | To begin with, … (まず初めに) Furthermore, … / Moreover, … (さらに) Additionally, … (加えて) | To begin with, remote work saves commuting time. (まず第一に、リモートワークは通勤時間を節約する) |
| 原因・結果 (最も重要) | So, … Because… | This is because … (これは…だからです) …, which leads to … (それは…という結果につながる) As a result, … (結果として) …, thereby contributing to … (それによって…に貢献する) | Studying abroad exposes students to new cultures, which leads to greater open-mindedness. (留学は学生に新しい文化に触れさせることで、それはより広い視野を持つことにつながる) |
| 具体化・例示 | For example, … | For instance, … (例えば) This can be seen in … (これは…において見られる) A prime example is … (代表的な例は…) | Volunteering builds character. A prime example is learning teamwork. (ボランティアは人格を形成する。代表的な例はチームワークを学ぶことだ) |
「lead to」や「contribute to」のような動詞を使うと、単に「AだからB」と述べるよりも、Aが能動的にBを引き起こすという因果関係を強く示せます。これが採点基準「内容」の「説得力」に直結します。まずは「which leads to …」の構文を1つ、自分の意見で練習してみましょう。
これらのテンプレートと表現を駆使すれば、型にはまっただけでなく、語彙力と論理力で差をつける答案を書くことが可能になります。次のセクションでは、これらの表現を実際の答案でどう組み立てるかを、具体的な設問例と共に見ていきましょう。
自己添削で一気に仕上げる:効果的な見直しの5ステップ
テンプレートを覚え、素早く書き上げることは大切ですが、最後の「見直し」こそが合格点と高得点を分ける岐路です。書いた直後は、自分が書いた内容に引きずられてミスに気づきにくいもの。時間を少し置き、客観的な目でチェックするための具体的な手順を5ステップにまとめました。
英作文を書き終えたら、まず5分程度は問題から目を離しましょう。その間にリラックスしたり、別の作業をしたりすることで、客観的に自分の文章を読み直す準備が整います。続いて、以下のステップに沿って体系的に見直しを進めていきましょう。
- 最初に書いた主張(Introduction)と最後の結論(Conclusion)は明確に一致していますか?
- 各理由(Body Paragraph)は、主張を裏付ける具体的な内容になっていますか?
- 全体の流れは論理的で、読み手に伝わりやすいですか?
次に、単語レベルでの見直しです。以下の項目を確認しましょう。
- 単語の重複:同じ単語を何度も使っていませんか?類義語(important → significant, benefit → advantage)に置き換えられないか考えます。
- 適切性:その単語が文脈に合っていますか?特に、動詞と名詞のコロケーション(make a decision, solve a problem)に注意します。
- スペルミス:スペルチェックは必須です。試験では機械の支援がないため、自分で丁寧に見直します。
ここで減点されやすいポイントを集中的に潰します。多くの学習者に共通する「頻出ミス」をリストアップしておき、重点的に確認するのが効果的です。
- 時制の一致:全文を通じて時制が統一されていますか?特に、条件文や仮定法に注意。
- 三単現のS:主語が三人称単数で現在形の時、動詞にsまたはesが付いているか。
- 冠詞(a/an/the):数えられる名詞の単数形には冠詞が必要です。特定のものを指す時はtheを。
- 前置詞:動詞や形容詞と組み合わさる前置詞は正しいですか?
英検2級は80〜100語、準1級は120〜150語が目安です。極端に少ないと内容不足、多すぎると減点の対象になる可能性があります。語数を数え、目安から大きく外れている場合は、理由の説明を追加したり、冗長な表現を削ったりして調整しましょう。
最後に、完成した答案を声に出して(または心の中で)音読します。これにより、不自然な語順やリズムの悪い文、接続詞の不足など、黙読では見落としがちな問題点に気づくことができます。全体として論理の流れがスムーズで、読み手に伝わりやすい文章になっているかを最終確認してください。
自分専用の「頻出ミスリスト」を作成し、ステップ3(文法チェック)の際に常に参照する習慣をつけましょう。例えば「時制ミス」「三単現のS忘れ」「冠詞の抜け」など、自分がよく犯すミスを書き出しておくことで、見直しの精度と速度が格段に向上します。
よくある減点パターンとその回避法
テンプレートを覚え、最後まで書き上げることができても、そこには思わぬ落とし穴が潜んでいます。採点者の目は細部まで行き届いています。ここでは、多くの受験者が無意識に犯してしまう減点ポイントを4つのカテゴリーに分け、具体的な改善策とともに解説します。自己添削の際に、このリストを確認すれば、確実に得点を守ることができます。
【内容・構成】理由が抽象的で説得力に欠ける
「便利だから」「効率的だから」という説明は、最も多く見られる抽象的な理由です。これでは、「なぜ便利なのか」「どのように効率的なのか」という核心に迫れていません。採点者は「具体性」を求めています。
「Online shopping is good because it is convenient.」(オンラインショッピングは便利だから良い)
「Studying abroad is beneficial because we can learn many things.」(留学は多くのことを学べるから有益だ)
これらの表現を「具体化」するには、以下のような思考プロセスが役立ちます。
- 「誰にとって」便利なのか? → 忙しい社会人、子育て中の親、地方在住者など
- 「何が」便利なのか? → 時間の節約、品揃えの豊富さ、価格比較の容易さ
- 「従来と比べて」どうなのか? → 店舗に行く必要がなくなる、24時間購入できる
- 結果的に「何が得られる」のか? → ワークライフバランスの向上、より良い商品の選択
「便利だから」と書きたくなったら、必ず一歩踏み込んで「具体的にどう便利なのか」を説明する。
【語彙】同じ単語の繰り返しやカジュアルすぎる表現
「good」「bad」「important」「thing」などの基本的な語彙を繰り返し使うと、「語彙の幅が狭い」と判断され減点の対象になります。また、「kids」「stuff」「guy」などのカジュアルな表現は、英検ライティングのようなフォーマルなライティングには不適切です。
- 類義語リストを作る: 良く使いがちな単語(例: good, important)について、試験で使えるフォーマルな類義語(beneficial, significant, crucial)を5つずつ覚える。
- 書き終えたら「単語チェック」: エッセイを書き終えた後、同じ単語が2回以上使われていないか確認する。繰り返しがあれば、類義語に置き換える。
- カジュアル表現を避ける: kids → children, stuff → things/matters, guy → person/man など、常にフォーマルな表現を選ぶ。
【文法】複数形のSや前置詞のミス
「内容」や「語彙」が良くても、基本的な文法ミスが散見されると、大幅な減点につながります。中級者が特に見落としがちなのは以下のポイントです。
- 可算名詞の複数形: 「many reason」→「many reasons」、「several advantage」→「several advantages」。
- 前置詞の選択: 「depend from」→「depend on」、「interested for」→「interested in」。
- 時制の一致: 主節が過去形の場合、従属節も過去形になることが多い。「He said that he is busy.」→「He said that he was busy.」。
- 関係代名詞の使い分け: 「This is the book who I bought.」→「This is the book that/which I bought.」。
これらのミスを防ぐには、書き終えてから文法だけに集中して見直す時間を設けることが効果的です。名詞の前に「a/an/the/many/several」がある場合は、その名詞が可算名詞か不可算名詞か、複数形か単数形かを必ず確認しましょう。
【全体】設問の指示(Agree/Disagree等)から逸脱する
最も致命的なミスが、設問で求められている答えの方向性から外れてしまうことです。「Do you agree or disagree?」と問われているのに、賛成と反対の両方の意見をバランスよく述べたり、自分の立場を最後まで明確にしなかったりすると、「課題達成度」の基準で大幅な減点を受けます。
書き始める前に、設問を最低2回は読み、自分が「Agree(賛成)」か「Disagree(反対)」のどちらを主張するのかをはっきりと決める。
序論のthesis statement(主張文)で「I agree that…」または「I disagree with the idea that…」と明確に宣言し、本論全体がその主張をサポートするように構成します。反対意見に触れる場合は、あくまでも「譲歩」として短く扱い、すぐに自分の主張の正当性を強調する流れに戻ることが鉄則です。
- 設問の指示(Agree/Disagree等)に忠実に答えているか?
- 各理由は具体的で、説得力があるか?
- 同じ単語・表現の繰り返しはないか?
- 複数形の「s」、前置詞、時制、関係代名詞に誤りはないか?
- 語数は指定範囲内(目安:2級80-100語、準1級120-150語)に収まっているか?
本番前の実践演習:タイムマネジメントと模擬問題への取り組み方
これまで、英作文の「型」の理解や自己添削の方法を学んできました。しかし、これらを本番の試験時間内で確実に実行するためには、実践的な演習が不可欠です。ここでは、制限時間を意識した練習方法と、学習効果を最大化するための取り組み方を解説します。
制限時間内に完成させるための時間配分(計画:執筆:見直し)
英検2級・準1級のライティングは、制限時間が20分(2級)または25分(準1級)です。この限られた時間を有効に使うためには、事前に明確な時間配分を決めておくことが成功の鍵となります。理想的な配分は「5分:15分:5分」です。
問題を読み、立場を決めます。次に、導入・理由2つ・結論のそれぞれに何を書くかの「設計図」をメモ用紙に素早く書き出します。ここで具体的な理由や具体例のアイデアを明確にすることで、執筆が格段にスムーズになります。
設計図に従い、覚えた「型」を使って迷わず書き進めます。この段階では、細かい文法ミスや単語の選択にこだわりすぎず、「最後まで書ききる」ことに集中します。途中で行き詰まったら、設計図に戻って軌道修正しましょう。
書き終えたら、必ず時間を残して見直します。前のセクションで学んだ「自己添削の5ステップ」に沿って、文法、スペル、構成をチェックします。特に、三単現の-s、時制の一致、冠詞の有無は見落としがちなので重点的に確認します。
本番で時間配分が狂い始めたら、まずは「書ききる」ことを優先しましょう。多少のミスがあっても、指定語数を満たして構成がしっかりしている答案は、途中で筆が止まった不完全な答案よりも高い評価を得る可能性があります。5分前になったら、必ず見直しに移るよう心がけてください。
過去問・予想問題を使った実践トレーニングの進め方
時間配分を体に覚えさせるには、実際の過去問や予想問題を使った繰り返しの練習が最も効果的です。ここでの目標は、「型」を様々なトピックに適用できる柔軟性を身につけることです。
様々なテーマで「型」を使いこなす練習
- 1日1テーマ、制限時間を厳守して書き上げることを目標にします。
- トピックは「テクノロジー」「教育」「環境」「社会生活」「健康」など幅広い分野から選びます。苦手な分野こそ重点的に練習しましょう。
- 同じ「型」でも、トピックによって使える理由や具体例は変わります。ストックを増やすことを意識して取り組みます。
添削サービスや学習仲間を活用する際のポイント
自分では気づけない弱点を発見するために、第三者による添削は非常に有効です。オンラインの添削サービスを利用したり、英語学習仲間と互いに添削し合ったりする方法があります。その際、効果的なフィードバックを得るためのコツがあります。
- 「どこが悪いですか?」ではなく「どう改善すべきですか?」と聞く: 単に間違いを指摘されるのではなく、具体的な改善案やより自然な表現を教えてもらうように依頼します。
- 特定のポイントに焦点を当てて依頼する: 「論理構成に問題はありませんか?」「使っている語彙のレベルは適切ですか?」「文法ミスはどこにありますか?」など、確認したい項目を明確にします。
- 同じ問題で複数の答案を比較する: 学習仲間と同一のトピックで作文を書き、お互いの答案を比べることで、異なる視点や表現方法を学べます。
添削を依頼する際は、「この部分の表現が稚拙に感じます。よりフォーマルで説得力のある表現に変えるとしたら、どのような英文が考えられますか?」というように、改善の方向性を具体的に示す質問をすると、相手もアドバイスしやすく、あなたの学びも深まります。
英検ライティング学習のよくある質問(FAQ)
- 英検2級と準1級のライティングで、最も大きな違いは何ですか?
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最も大きな違いは、論理の深さと反論への対応です。2級では「主張→理由×2→結論」のシンプルな4パラグラフ構成が基本ですが、準1級ではこれに「反論とその反駁」のパラグラフを加えた5パラグラフ構成が求められます。また、使用する語彙や文法の複雑さ、トピックの抽象度も準1級の方が高くなります。
- 理由がどうしても2つ思いつきません。どうすれば良いですか?
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「観点マトリックス」(個人、社会、経済、環境、教育など)を使うのが効果的です。例えば「スポーツクラブに参加すべきか?」という問いなら、「個人(健康)」と「社会(協調性の習得)」という異なる観点から理由を考えます。また、1つの理由を「短期的効果」と「長期的効果」に分けて深掘りする方法もあります。
- 自己添削で特に見るべきポイントは?
-
以下の3点を優先的に確認しましょう。
1. 内容・構成: 主張と結論が一致しているか。理由は具体的か。
2. 文法: 三単現の-s、複数形の-s、時制の一致、前置詞に誤りはないか。
3. 語彙: 同じ単語の繰り返しはないか。カジュアルすぎる表現はないか。
特に文法の基本的なミスは大幅な減点につながるため、重点的に見直してください。 - 準1級の「反論パラグラフ」で、反対意見を考えるのが難しいです。
-
自分の主張の反対側に立って考える練習をしましょう。例えば「環境規制強化に賛成」なら、その反対意見として「経済成長の阻害」「企業負担の増加」「雇用への悪影響」などが考えられます。また、ニュースや記事で社会的な議論を追うことで、自然と多角的な視点が養われます。
- 本番で時間が足りなくなりそうです。どう対策すれば良いですか?
-
日頃から「5分(計画):15分(執筆):5分(見直し)」の時間配分を厳守して練習することが唯一の対策です。計画段階で設計図をしっかり作れば、執筆中に迷う時間が減ります。また、テンプレートや定型表現を覚えていると、書き出しが速くなります。どうしても時間が足りない場合は、最後まで書き切ることを最優先にし、不完全な答案を残さないようにしましょう。

