第18回IIBC高校生英語エッセイコンテスト、最優秀賞は「Who is disabled?」 応募校数過去最多

第18回IIBC高校生英語エッセイコンテスト、最優秀賞は「Who is disabled?」 応募校数過去最多

2026年10月29日、TOEIC Programを実施・運営する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、「第18回IIBC高校生英語エッセイコンテスト」の受賞作品を発表しました。このコンテストは、高校生が英語で自らの考えや経験を表現する貴重な機会を提供するもので、今回も多数の力作が寄せられました。

目次

コンテストの概要と応募実績

第18回IIBC高校生英語エッセイコンテスト、最優秀賞は「Who is disabled?」 応募校数過去最多

今回のコンテストは、「つながる心、広がる世界~コミュニケーションを通じた響きあい~」というテーマの下で開催されました。価値観や背景の違いを越えて互いを理解し合い、コミュニケーションを通じて世界が広がることの大切さを伝える作品が募集されました。

第18回コンテスト概要

テーマ:つながる心、広がる世界~コミュニケーションを通じた響きあい~
募集期間:2026年7月1日より
表彰式:2026年11月23日(月・祝)13時30分より開催予定

個人部門の応募校数は過去最多を記録

コンテスト全体では、個人部門226校から418作品、団体部門68校から3,582作品の応募がありました。個人部門の応募校数は過去最多となりました。これは、単に英語力だけでなく、自分自身の考えを英語で発信することに挑戦する生徒が増えていることを示しています。

厳正な審査を経て11作品が選出

質の高い作品が数多く寄せられる中、審査を経て、社会とのつながりや異文化理解を通じた視野の広がりを見事に表現した11作品が選出されました。

最優秀賞・優秀賞・優良賞 受賞作品の詳細

厳正な審査を経て選ばれた個人部門の最上位3賞の作品は、いずれもコミュニケーションの本質に鋭く迫る内容でした。受賞者の作品紹介コメントから、それぞれの作品がどのような経験や視点に基づいているのかを詳しく見ていきましょう。

最優秀賞「Who is disabled?」:視覚障害への理解を深める体験

最優秀賞作品のテーマ

暗闇体験を通して障害に対する見方を問い直すエッセイです。視覚障害者とのコミュニケーションについて、自身の内面の変化を率直に綴っています。

最優秀賞に輝いたのは、かえつ有明高等学校1年の林亜怜さんの『Who is disabled?』です。林さんは作品紹介コメントで、「暗闇の部屋に入った体験を通じ、障害に対する私自身の見方がどのように変化したのかをこのエッセイに綴りました」と語っています。この言葉から、単なる知識ではなく、身体的な体験を通して得られた深い気づきが作品の核になっていることがうかがえます。

優秀賞「Beyond Words」:言葉を超えたコミュニケーションの本質

優秀賞を受賞したのは、神奈川県立多摩高等学校3年の朝津友詠さんの『Beyond Words: Connecting Through Uncertainty』です。この作品は、二つの異なる経験が交差しています。一つは海外での言語の壁を感じた経験、もう一つは病院で会話のできない祖父と過ごした経験です。朝津さんは「言葉だけでは相手の理解を確かめられなくても、不確かさを抱えながらお互い歩み寄ろうとすることに、コミュニケーションの本質があるのではないか」と考えています。この視点は、審査員長が指摘した「沈黙」の意義にも通じる、言葉を超えた相互理解の可能性を示唆しています。

優良賞「More Than a Label」:言葉にできない思いの存在

優良賞は、三田国際科学学園中学校・高等学校2年の西啓太さんの『More Than a Label』です。西さんは、いとことの経験を通じて「言葉だけでは伝えきれない思いもあるのだ」と知り、その気づきを多くの人と共有したいという思いからこのエッセイを書きました。身近な人間関係の中にある、言葉にされない優しさや思いやりに気づくことの大切さを伝えています。

これらの受賞作品は、海外経験や異文化理解だけでなく、身近な人との関係や、自身の内面の変化からも、コミュニケーションについて深く考察できることを示しています。英語を学ぶ過程で、自分の経験や考えをこのように表現できることは、言語学習の大きな喜びと言えるでしょう。

特別賞・日米協会会長賞・アルムナイ特別賞 受賞者一覧

第18回IIBC高校生英語エッセイコンテスト、最優秀賞は「Who is disabled?」 応募校数過去最多

最上位3賞に続く個人部門の受賞者たちも、それぞれ独自の視点と経験で「つながる心、広がる世界」を表現しました。多くの応募作品の中から、多様なバックグラウンドや繊細な気づきを持つ作品が選出されています。

多様な視点と経験が光る特別賞6作品

特別賞には6名の高校生の作品が選ばれました。非言語コミュニケーションの大切さを描いた作品から、多文化共生や自己表現をテーマにしたものまで、幅広い視点が集まりました。

  • 阿波 凛花さん(鎌倉女学院中学校高等学校 2年)『What we say without words』
  • 小田島 誠慈さん(筑波大学附属坂戸高等学校 3年)『Heart-to-Heart Connections』
  • 姜 希奈さん(神戸朝鮮高級学校 3年)『Annyeonghaseyo』
  • 鈴木 杏奈さん(日本女子大学附属高等学校 3年)『You Can’t Play Catch Alone!』
  • 沼田 陽香さん(専修学校クラーク高等学院 梅田キャンパス 2年)『Finding My Voice』
  • 路 雅迪さん(茗溪学園中学校高等学校 5年)『Meaningless Communication Can Be Meaningful』
審査員長による総評

審査員長のコメントによると、最終審査に残った作品には、「障がいのある方との交流」「海外にルーツのある方々による視点」「海外での滞在経験による気づき」といった共通の傾向が見られたそうです。また、複数の作品で「コミュニケーションにおける沈黙の有用性」が指摘されており、高校生たちが言葉を超えたつながりの本質を鋭く捉えていたことがうかがえます。

国際理解の観点で選ばれた日米協会会長賞

一般社団法人日米協会会長が、国際理解や国際交流の観点で特に優れたと評価した作品に贈られる賞です。優秀賞と重複する受賞者もおり、その内容の深さが際立っています。

  • 朝津 友詠さん(神奈川県立多摩高等学校 3年)『Beyond Words: Connecting Through Uncertainty』
  • 小田島 誠慈さん(筑波大学附属坂戸高等学校 3年)『Heart-to-Heart Connections』
  • 加瀬 瑠音さん(江戸川学園取手高等学校 1年)『Fashionable Language』

過去の受賞者(アルムナイ)が選ぶ特別賞

このコンテストの過去の受賞者たちが審査員となり、独自の観点で選んだ作品に贈られる「アルムナイ特別賞」には、BUYANJARGAL BILGUUNSUVDさん(明徳義塾中学・高等学校 1年)の『Breaking the Cage of Fixed Family Roles through Communication』が選ばれました。コミュニケーションを通じて固定された家族の役割から脱却する様子を描いた作品です。

団体部門「奨励賞」の受賞校

団体部門では、20作品以上の応募があった学校に対して「奨励賞」が贈られました。愛知県立豊橋東高等学校や江戸川学園取手高等学校、筑波大学附属坂戸高等学校など、全国から68校がこの栄誉に輝きました。学校全体で英語による表現活動に積極的に取り組む姿勢が評価されています。

受賞校は愛知県立豊橋東高等学校、愛知真和学園大成高等学校、安城学園高等学校、AICJ高等学校、エスコラピオス学園海星高等学校、江戸川学園取手高等学校、愛媛県立宇和島南中等教育学校、愛媛県立松山南高等学校、近江高等学校、大阪府立長吉高等学校、大阪府立三国丘高等学校、大妻中野中学校高等学校、岡山学芸館高等学校、岡山高等学校、沖縄県立名護高等学校、神奈川県立神奈川工業高等学校、京都先端科学大学附属高等学校、慶應義塾志木高等学校、香蘭女学校、埼玉県立春日部女子高等学校、酒田南高等学校、札幌光星高等学校、静岡県立焼津中央高等学校、静岡県立吉原高等学校、渋谷教育学園渋谷高等学校、秀明高等学校、淑徳高等学校、潤徳女子高等学校、昭和薬科大学附属高等学校、白百合学園高等学校、聖光学院中学校高等学校、清林館高等学校、専修学校クラーク高等学院(梅田キャンパス)、専修学校クラーク高等学院 天王寺校、高槻高等学校、千葉県立千葉高等学校、中京高等学校、筑波大学附属坂戸高等学校、鶴岡東高等学校、東海大学菅生高等学校、東京都立飛鳥高等学校、東京都立三鷹中等教育学校、東北学院中学校・高等学校、東明館中学校・高等学校、徳島県立徳島北高等学校、新潟市立万代高等学校、日本女子大学附属高等学校、白鵬女子高等学校、兵庫県立有馬高等学校、広島県立廿日市高等学校、広島県立広島国泰寺高等学校、福岡県立香住丘高等学校、福島県立福島西高等学校、富士見丘高等学校、古川学園高等学校、宝仙学園中学校・高等学校、北筑高等学校、北海道札幌国際情報高等学校、北海道札幌東商業高等学校、北海道千歳高等学校、本庄東高等学校、三重県立津西高等学校、宮城県仙台三桜高等学校、三輪田学園中学校・高等学校、茗溪学園中学校高等学校、明治大学付属世田谷高等学校、明治大学付属明治高等学校、山形県立山形東高等学校です。

審査員のコメントから読み解く、優秀作品の共通点

厳正な審査を経て選ばれた作品たちには、どのような共通点があったのでしょうか。審査員長を務めた国際ビジネスコミュニケーション協会の藤沢裕厚理事長は、最終審査に残った作品に見られた3つの顕著な傾向を指摘しています。

審査員長が指摘する3つの傾向
  • 障がいのある方との交流を取り上げた作品
  • 海外にルーツのある方々による作品
  • 海外での滞在経験によって大きな気づきを得た高校生の作品

これらの傾向は、現代のグローバル化した社会や、多様性への意識の高まりを、高校生たちが敏感に捉えていることを示しています。特に、最優秀賞の「Who is disabled?」は、視覚障害への理解を深める体験を通じて、障がいに対する見方を問い直す内容でした。

「沈黙」がコミュニケーションの役に立つという意見

審査員長は、もう一つの興味深い点として、複数の作品で示された「沈黙」の捉え方を挙げています。言語を用いたコミュニケーションに重点が置かれることが多い中で、言葉のない間(ま)や沈黙が、むしろ心を通じ合わせる上で役立つという意見が多く見受けられたのです。

コミュニケーションにおいて「沈黙」は決して心を通じ合わせることの妨げにはならず、むしろ役に立つという意見も複数ありました。

この指摘は、優秀賞の作品「Beyond Words: Connecting Through Uncertainty」が、言葉だけでは確かめられない不確かさを抱えながらもお互い歩み寄ることの大切さを描いたこととも重なります。コミュニケーションの本質は、必ずしも「何を話すか」だけでなく、「どのように存在するか」や「どのように受け止めるか」にもあることを、受賞者たちは鋭く表現したと言えるでしょう。

最終的に、最優秀賞をはじめとする受賞作品は、「心と心がつながる時の響きあい」を、自身のユニークな経験を通じて明快に表現した点が高く評価されました。これらの作品は、英語で表現することの先にある、他者との真の理解と共感のあり方を、読者に深く考えさせる力を持っています。

英語学習者にとっての示唆:エッセイから学ぶコミュニケーションの本質

多数の応募作品の中で選ばれた受賞作品は、語学力の高さだけでなく、伝えたい「内容」の深さと独自性が際立っていました。これは、英語学習の目標を考える上で大切な視点を与えてくれます。

英語は「ツール」、伝えたい「内容」が重要

最優秀賞の『Who is disabled?』は、障害に対する見方を深く考察した作品です。優秀賞の『Beyond Words: Connecting Through Uncertainty』は、言葉を超えた理解の可能性を探っています。これらの作品を見ると、単語や文法の正確さを超えて、自分自身の経験や考えをどのように世界に伝えるかという「表現の核」が評価されていることがわかります。

英語学習の目的を広げよう

語学力の向上は、あくまでコミュニケーションのための土台です。その先にあるのは、異なる背景を持つ人と心を通わせ、自分の世界を広げることです。受賞作品のテーマは、多様性を前提とする現代社会で活躍するために必要な資質、すなわち「共感力」「批判的思考」「自己表現力」を養うことの重要性を示しています。

TOEIC学習の先にある「生きた英語」の価値

このコンテストを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、TOEIC Programの実施・運営も行っています。多くの学習者は、TOEICなどのテストのスコアを目標に勉強を進めます。これは学習の動機づけとして非常に有効です。

しかし、これらの受賞作品は、テスト対策で身につけた語彙や構文が、自分らしい意見や経験を伝える「生きた道具」として機能する姿を私たちに見せてくれます。点数を取るための英語から、自己を表現し、他者と深くつながるための英語へ。学習の視点を少し変えるだけで、日々の勉強がより意味のあるものになるかもしれません。

  • 自分の興味や経験を英語でまとめてみる(日記や短いエッセイ)。
  • 英語のニュースや記事を読む時、内容について自分はどう思うかを一言で表現する練習をする。
  • 語学学習と並行して、社会問題や異文化についての知識を深める。

英語を学ぶことは、単に言葉を覚えることではなく、新たな視点を獲得し、世界との対話を始める第一歩なのです。

英語力がまだ中級レベルですが、エッセイを書く練習を始めても大丈夫ですか?

もちろん大丈夫です。むしろ、自分の考えを整理して英語で表現する練習は、語彙や文法の定着に非常に効果的です。最初は短い段落や日記から始めて、慣れてきたら少しずつ長くしていきましょう。重要なのは、完璧な英文を書くことよりも、伝えたいことを表現しようとする姿勢です。

TOEICのスコアアップと、このような表現力を養う学習は両立できますか?

両立できます。TOEIC学習で身につけた単語や構文は、表現のための強力な武器になります。例えば、TOEICの長文問題で学んだ表現を、自分のエッセイで使ってみるといった応用が可能です。一方で、エッセイを書くことで、単語の深い意味や文脈での使い方を理解できるため、TOEICの読解力向上にもつながります。

深いテーマについて英語で考え、書くための良い練習方法はありますか?

まずは、日本語で考えを深めることから始めるのがおすすめです。興味のある社会問題や自身の経験について、日本語で要点や感じたことを箇条書きにします。その後、その内容を簡単な英語で表現してみましょう。また、英語のニュース記事を読んで、それに対する自分の意見を1、2文でまとめる練習も、思考を英語に切り替える良いトレーニングになります。

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本記事は「一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会」が配信したプレスリリースを元に執筆しています。

著者プロフィール

大学受験・英語資格試験塾講師。大学時代にアメリカへ1年間留学。卒業後は海外書籍を取り扱う出版社で編集職に6年間従事した後、英語教育の現場へ転身。大学受験生向けや、社会人の英語資格試験対策の講義を担当し、実践的で分かりやすい解説に定評がある。出版社時代に様々なジャンルの英語書籍を担当した経験から、法律から工学まで業界特有の英語表現やビジネス英語に関する幅広い知識を持つ。また、二児の母という立場から、実体験に基づいた子どもの英語教育に関する発信も行っている。

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