2026年8月25日、教育測定研究所が「第65回大学英語教育学会(JACET)国際大会」に協賛し、AI時代の英語教育をテーマにしたシンポジウムを開催すると発表しました。急速に普及する生成AIが英語学習の現場に導入される一方で、「AIが書いた文章をどう評価すべきか」という新たな課題が浮上しています。本シンポジウムでは、こうした教育現場のジレンマについて、研究と実践の両面から議論が行われます。
AI活用が広がる英語教育の新たな課題
生成AIの普及が変える学習と評価のバランス
生成AIの進化により、英語学習者は短時間で質の高い文章を作成できるようになりました。しかし、その反面、「AIに依存した学習の質」や「本当の英語力の定義」が問われるようになっています。特に教育現場では、AIを活用した作文を「学習成果」として評価できるのかという判断が難しくなっており、従来の評価基準の見直しが急務とされています。
AIで書かれた作文をどう評価すべきか
AIが生成した文章をそのまま提出するケースが増えていることを受け、教育側は「言語運用能力」の本質を見極める必要に迫られています。単に文法や語彙の正確さだけでなく、「思考の深さ」「独自性」「課題へのアプローチ」など、AIでは測りきれない力をどう評価するかが鍵となります。そのため、AIを補助ツールとして活用しながら、学習者の成長を適切に把握できる新たな評価枠組みの構築が求められています。
AIが書ける文章を人間が書けなくてもよいのか。むしろ、AIを効果的に活用するための「指示出し力」「編集力」「批判的思考力」が新たな英語力として重視される時代へと移行しています。
- 短時間で多様な表現例を学べる
- 自分の文章の添削を即座に受けられる
- 表現の幅や語彙力を効率的に拡張できる
- AIによる代行作成の見極めが困難
- 評価基準の公平性・透明性の確保
- 本当の「言語運用能力」の定義再考
研究と現場の声をつなぐシンポジウムの内容
2026年8月27日に開催されるシンポジウムでは、「AI時代における評価と指導の在り方」というテーマのもと、研究機関と教育現場の知見が融合した議論が展開されます。特に注目されるのは、AIを活用した英語学習データの分析結果と、それを実際に授業に取り入れている教員の実践報告です。
UGUIS.AIのデータを活用した研究発表
株式会社教育測定研究所は、自社が提供する英語ライティング学習サービス「UGUIS.AI」の利用データを基に、AIが学習者の書き換えプロセスやフィードバックの反応パターンに与える影響について発表します。この研究では、AIのフィードバックを受けた学習者がどのように文章を改善していくか、その傾向や課題点がデータとして可視化されています。
AIによる自動フィードバックは、文法修正の即時性という利点を持つ一方で、「表面的な修正にとどまりがち」という課題もデータから明らかになっています。
大学教員によるAI活用の実践報告
法政大学の飯野厚先生、岡山理科大学の田口純先生らの登壇により、教育現場でのAI活用事例が共有されます。実際にAIツールを授業に組み込む中で、どのような課題設定を行い、学習成果をどう評価しているかについて、具体的な授業設計が紹介されます。
- 課題提出前にAIで草稿の添削を行うことを許可し、その履歴を評価対象とする
- AI生成テキストの特徴を学ばせ、人間らしい表現との違いをディスカッションする
- 最終レポートには「AI使用の有無とその範囲」を明記させるルールの導入
「AIを使うことを禁止するのではなく、どう使うかを学ぶことが教育の役割だと考えています。学生がAIと向き合う姿勢そのものが、これからの英語力の一部になるでしょう。」
パネルディスカッションで議論される未来の英語教育
本シンポジウムの目玉とも言えるパネルディスカッションでは、研究者と教育現場の教員が一堂に会し、AI時代に求められる英語教育の在り方について多角的に議論を交わします。急速に普及する生成AIを教育に取り入れる中で、「AIが書いた文章をどう評価するか」という課題にどう向き合うべきかが、中心的なテーマとなります。
評価の公平性と学習の質の両立
教育現場では、AIを活用した学習支援が進む一方で、学習者の実力とAIの介入の境界線が曖昧になるリスクが指摘されています。特にライティング評価においては、AIが生成した文章をそのまま提出するケースも想定され、公平な評価の仕組みの構築が急務とされています。
評価の公正さを保ちながら、学習者がAIを“道具”として効果的に使いこなす力を育む指導法の確立が、今後の鍵となる。
AI時代に求められる英語力の本質
専門家たちは、AIが代替できない人間固有の能力に焦点を当てるべきだと指摘します。たとえば、自分の考えを筋道立てて表現する「思考力」、文脈や目的に応じて言葉を選ぶ「表現力」、相手の反応を読み取りながらやり取りする「コミュニケーション力」が、今後ますます重要になると見られています。
- AIで作文を書くのはズルい?
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ズルかどうかではなく、「なぜその表現を選んだか」を説明できるかどうかが重要です。AIを活用する際にも、自分の思考プロセスを言語化する力が求められます。
- 14:45~ 開会と研究発表(教育測定研究所)
- 15:15~ 実践発表(大学教員)
- 15:45~ パネルディスカッション(司会:髙村恭子氏)
- 16:15 終了
CASECやUGUIS.AIなどAI教育サービスも紹介
シンポジウムに併せて、教育測定研究所は会場にブースを設置し、AIを活用した英語学習サービスの紹介を行います。特に注目されるのは、英語コミュニケーション能力のオンライン判定テストと、AIによるライティング・スピーキング学習支援ツールです。
オンラインで受験可能なCASECの活用
累計350万人以上が受験した実績を持つ「CASEC」は、オンラインで手軽に受験できる英語コミュニケーション能力判定テストです。スピーキングやリスニング、ライティングなどの実用的なスキルをバランスよく測定でき、個人の学習進度の把握や教育現場でのレベル診断に幅広く活用されています。時間や場所にとらわれず受験できる点が、教育機関や学習者から支持されています。
UGUIS.AIが実現するAI自動採点の仕組み
一方、「UGUIS.AI」は自然言語処理技術と生成AIを組み合わせた英語ライティング・スピーキング学習サービスです。学習者が書いた英文に対して、文法的な正確さや語彙の豊かさ、構成の論理性などをAIが即座に分析し、フィードバックを提供します。教師の負担を軽減しながら、学習者一人ひとりに合わせた個別指導が可能になる点が大きな特徴です。
CASECは「現在の英語力の診断」に特化したテストサービスであるのに対し、UGUIS.AIは「英語力を育てる」ための学習支援ツールです。両者を組み合わせることで、能力の測定から学習の実施、改善の確認までの一連の流れをAIでサポートすることが可能になります。
- CASECの主な機能と利用シーン:オンライン受験による英語4技能の診断、学習の進捗管理、教育機関でのクラス分けや到達度評価
- UGUIS.AIの主な機能と利用シーン:AIによるライティング・スピーキング課題の自動採点、個別フィードバックの提供、授業での反復練習や課題提出の支援
今後の英語教育に向けた取り組みの方向性
教育現場におけるAIの活用が進むなか、評価の信頼性と学びの質を両立させる仕組みが求められています。教育測定研究所は、AI技術と長年の教育測定の専門性を融合させ、今後の英語教育に必要な新たな学習・評価モデルの構築を目指しています。
教育測定とテクノロジーの融合
同研究所は、自然言語処理技術を活用した英語学習サービスの開発を通じて、学習者のライティングやスピーキング能力をAIが客観的に分析・フィードバックする環境を実現しています。これにより、教師の負担軽減と、学習者一人ひとりへのきめ細かい指導支援が可能となります。
学ぶ人一人ひとりの成長を支える評価設計
今後の英語教育では、知識の定着だけでなく、思考力や表現力、課題解決力といった高次元のスキルが重視されることが見込まれます。教育測定研究所は、こうした能力を適切に測定・評価できるテスト設計の研究を進めています。
将来的には、AIが学習者の得意・不得意や思考のクセを分析し、個別最適な学習プランと信頼できる評価を同時に提供する仕組みの実現が目指されます。
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