認定NPO法人SETが2026年8月13日に発表したところによると、同年8月1日、岩手県陸前高田市広田町のコミュニティカフェにて地域住民とヨーロッパからの留学生が、お菓子を媒介に英語で交流する国際交流イベントが開催されました。このイベントは、同地域に滞在中の留学生と住民のさらなる交流の機会を創出することを目的としたものです。
お菓子を囲んで言葉の壁を越えた交流 イベントの詳細

「LET’S EAT! European Snacks」は、地域住民が気軽に参加できる国際交流の機会として企画されました。カフェには親子連れなど14名の参加者が訪れ、留学生とともにテーブルを囲みました。
- 開催日時: 2026年8月1日(土)
- 開催場所: 広田町コミュニティカフェ「彩葉」
- 参加者: 地域住民14名
- 提供されたお菓子: イギリス、デンマーク、ベルギーの各国菓子
英語での会話と身振りで伝える異文化
会場では、留学生が各テーブルに付き、参加者と英会話を交わしながら交流を深めました。現地でのお菓子の食べ方や、それにまつわる習慣を身振り手振りを交えて説明する場面も見られ、言葉だけに頼らないコミュニケーションが生まれました。このような交流は、実践的な英語を使う場面として、参加者にとって貴重な体験となったと考えられます。
イベントの運営には、デンマークの「フォルケホイスコーレ」から来日している留学生に加え、JICAグローカルプログラムの実習生も参画しました。多様なバックグラウンドを持つスタッフが協力することで、より豊かな交流の場が作り上げられました。
イベントの背景 広田町で学ぶ「フォルケホイスコーレ」留学生とは
ヨーロッパから留学生が集まった背景には、デンマーク発祥のユニークな教育機関「フォルケホイスコーレ」との深い関係があります。認定NPO法人SETは、この留学生受け入れプログラムを通じて、地域住民と留学生が日常的に関わりながら学び合う機会を継続的につくってきました。
そもそも「フォルケホイスコーレ」とはどのような学校なのでしょうか。
- 19世紀にデンマークで生まれた成人向けの寄宿制学校です。
- 試験も成績もないのが大きな特徴で、資格取得を目的としません。
- 対話と共同生活を通じて、個人の関心や社会について学ぶスタイルが重視されています。
今回の留学生は、フォルケホイスコーレの一校である「ノーフュンス・ホイスコーレ」との連携により、岩手県陸前高田市広田町を訪れました。
留学生は2026年7月から8月にかけての約2カ月間、広田町に滞在しました。ヨーロッパ4カ国から集まった約9名の留学生たちは、地域の民泊施設などに宿泊し、日常生活の中で地元の方々と交流を重ねていました。このような長期的な滞在が、単発のイベントとは異なる深い関係性を築く土台となっています。
SETは、東日本大震災以降、若者と地域住民が共に学び合う機会を数多く創出してきた実績を持つ団体です。フォルケホイスコーレとのプログラムもその一環であり、留学生が「観光客」ではなく、一時的な「地域の一員」として生活することを大切にしています。日常的に買い物をしたり、散歩をしたりする中での些細な会話の積み重ねが、お互いの文化や言語に対する理解を自然と深めていくのです。
このように、フォルケホイスコーレの理念とSETの地域づくりの活動が融合したことが、今回のスナックを囲んだ国際交流イベント開催の基盤となっていました。留学生たちは既に地域に溶け込んでいたからこそ、カフェでの会話もよりリラックスした、実践的なものになったと考えられます。
英語学習者にとっての価値 教室の外の「生きた英語」に触れる機会
このイベントは、英語学習者にとって貴重な実践の場となり得ます。教科書やアプリで学んだ表現を、実際に使ってみる体験は、知識を定着させる上で非常に重要です。
実践的な英会話の場として、異文化理解を深める非公式な交流
語学学習において最も難しいステップの一つは、学んだことを「使う」ことです。発音や文法の間違いを恐れて話せない学習者は少なくありません。しかし、今回のようなリラックスした非公式な交流の場では、完璧な英語でなくても、ジェスチャーや表情を交えながら意思疎通を図る体験そのものが大きな学びとなります。
- 教科書では学べない自然な会話の流れや、リアルな発音に触れられる。
- 「間違えたらどうしよう」というプレッシャーが少ない環境で、勇気を持って話す練習ができる。
- 食べ物という万国共通の話題があるため、会話のきっかけを作りやすい。
- 文化の違い(例:お菓子の食べ方や習慣)を、相手から直接聞くことで、単なる知識以上の深い理解が得られる。
- 海外旅行や留学が難しい場合でも、地域にいながらにして国際感覚を養える可能性がある。
語学はコミュニケーションの道具です。どれだけ単語や文法を暗記しても、実際に使わなければ「使える英語」にはなりません。教室の外で、目的を持って英語を使う経験は、学習のモチベーションを高め、何よりも「通じた!」という成功体験を積む絶好の機会です。このような地域での交流イベントは、学習者にとって理想的な実践の場を提供するものです。
このように、英語学習は教室の中だけにとどまらず、このような地域の小さな国際交流イベントで大きく前進する可能性を秘めています。次回開催される機会があれば、ぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。
認定NPO法人SETの活動と今後の展開
今回の留学生との交流イベントを主催した認定NPO法人SETは、陸前高田市を中心に、若者と地域住民が共に学び合う持続可能な関係づくりを進めています。この活動の根底にあるのは「一人ひとりの’やりたい’を’できた’に変え、日本の未来にGoodなChangeを起こす」というミッションです。
団体は、2011年の東日本大震災以降、岩手県で若者が地域の日常に関わる仕組みを構築してきました。修学旅行民泊の受け入れや、大学生や社会人向けのプログラムなど、年間5,000人以上が参加する多様な活動を展開しています。その取り組みは高く評価され、内閣総理大臣賞を2度受賞しています。
- 団体名:認定特定非営利活動法人SET
- 所在地:岩手県陸前高田市広田町字山田52-6
- 設立:2011年3月12日(法人化:2013年6月18日)
- 理事長:三井俊介
今回の留学生イベントは、こうした「続く関係」を育む活動の一環です。そして、この夏の交流で生まれた地域住民とのつながりは、次なる教育的な機会へとつながっていきます。具体的には、2026年8月19日(水)の13時30分から14時30分に、地域の子どもたちを対象とした「英語で遊ぶ教室」の開催が予定されています。これは、留学生との触れ合いが、子どもたちの学びの場を直接的に創出する好例といえるでしょう。
地域に根ざした継続的な交流が、国際理解と語学学習の機会を生み出しています。
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