ビジネス特化型オンライン英会話サービスを提供するビズメイツ株式会社は、2026年9月17日に、社会人になってから実務で使える英語力を習得したビジネスパーソン373名を対象とした調査結果を発表しました。それによると、実務レベルの英語を習得した人の8割以上が、複数の学習方法を組み合わせてきたことが明らかになっています。多くの人が、単一の方法ではなく、異なるアプローチを試行錯誤しながら壁を乗り越えている実態が浮き彫りとなりました。
ビジネスパーソンの英語習得、複数の学習法を組み合わせる人が8割

調査対象となった社会人のうち、業務で英語を使えるようになるまでに利用した学習方法の数は「2から3種類」が最も多く、複数の学習法を試した人は全体の81.0パーセントに達しました。多くのビジネスパーソンが、一つの教材やサービスに依存せず、状況や自分の弱点に合わせて学習手段を組み合わせていることがわかります。
- 学習手段のトップは「英語学習アプリ(54.4%)」、続いて「書籍」と「オンライン英会話」
- 最も効果的だったのは「対人での実践学習」、遠回りと感じたのは「資格対策」
具体的に利用した学習手段の上位を見ると、手軽に始められる英語学習アプリ(54.4%)が1位、続いてテキストや市販の学習書籍(49.6%)、そしてオンライン英会話(42.9%)と続きます。最初に利用した手段としては「学習書籍」や「アプリ」が上位となり、独学でのインプットからスタートする人が多い一方で、最初から対人実践を選ぶ人も約2割存在しました。
学習プロセスの中で「最も効果的だった」と感じるアプローチは、「オンライン英会話など『対人』での実践学習(18.5%)」が最も高い評価を得ました。これは、日常英会話の学習やビジネスシーン特化型学習よりも高い割合です。
一方、「最も遠回りだった」と感じたアプローチ(「特にない」を除く)の1位は「TOEICなどの資格対策(17.7%)」でした。この背景には、資格試験のための学習が、実際のビジネス現場で必要な即興の会話力やコミュニケーション能力に直結しにくい、という実感があると考えられます。調査では「基礎の反復学習」や「インプット中心の学習」も遠回りと感じる人が多く、知識の習得だけでは実践力は身につきにくいという課題が示されています。
英語習得の最大の壁は「精神的障壁」、乗り越える鍵は「マインドの転換」



調査によると、実務レベルの英語を習得した人たちがぶつかった壁は、語彙や文法の不足ではなく、「心理的な障壁」が圧倒的に大きいことがわかりました。具体的には、「相手の英語が聞き取れずパニックになること」が29.8%で最多、次いで「周囲の話すスピードや勢いへの萎縮」が28.7%に上りました。これらの結果は、学習者が単に知識不足を感じているのではなく、実践の場での焦りや恐怖心に直面している実態を浮き彫りにしています。
「間違えることへの恥ずかしさ」(26.5%)も上位にランクインしており、多くの学習者が「完璧な英語で話さなければ」というプレッシャーを感じていることがわかります。しかし、この完璧主義こそが、学習者が積極的に発言することを阻む最大の要因の一つと言えるでしょう。実践での失敗を恐れて口を閉ざしてしまうと、貴重なアウトプットの機会を失うことになります。
「聞き取れずパニック」「スピードへの萎縮」が上位に
リスニングでついていけずにパニックになる経験は、多くの英語学習者にとって共通の悩みです。調査の自由回答でも、「海外チームとのミーティングでスピードについていけず聞き返すタイミングを逃した」といった具体的なエピソードが見られました。これは、練習で聞き慣れた教材の英語と、多様なアクセントや話し方、そしてビジネス特有のスピード感を持つ実際の英語との間に大きなギャップがあることを示しています。
最大の転機は「間違いを恐れず発言」と「ネイティブ志向の脱却」
では、こうした精神的障壁をどのように乗り越えたのでしょうか。調査で明らかになった最大の転機の1位は、「間違いを恐れず、とにかく発言することを優先すること」(13.7%)でした。わずかな差で2位となったのは「ネイティブのように話す必要はないと気づくこと」(13.4%)です。
ネイティブのように話す必要はないと気づくこと。
この2つの回答は、英語学習における重要なマインドセットの転換を象徴しています。つまり、「完璧さ」よりも「伝えること」を優先し、非ネイティブとしての自分を受け入れることで、心理的なハードルが大きく下がるのです。この気づきは、実務の場で最も必要とされる力が「シンプルかつ明確に意図を伝える力」(23.3%)であり、「完璧な英語力」を挙げた人はわずか5.6%だったという結果とも完全に一致しています。
- 「間違いを恐れず発言する」ことで、アウトプットの練習機会が増える。
- 「ネイティブ志向を脱却する」ことで、心理的プレッシャーが軽減される。
- 結果として、「伝える力」に集中できるようになり、実践的な英語力が向上する。
ビジネス現場で成果を出すために必要な具体的なアプローチ



調査では、英語を使う業務でより成果を出すために必要な具体的な学習アプローチも明らかになりました。多くのビジネスパーソンが、日常会話を超えた「仕事で使える英語」を身につけるために、実践的な戦略を模索している姿が浮かび上がります。
「定番の型」と「専門用語」の習得が効果的
調査対象者に「より成果を出すために取り入れたい(または取り入れている)アプローチ」を尋ねたところ、最も多かった回答は「ビジネスシーンでの定番の型(英語パターン)を増やす」(33.5%)でした。次いで「業務・業界の専門用語や語彙を増やす」(30.0%)、「ベースとなる業務スキル・専門性そのものを高める」(29.0%)という結果になりました。
これは、実務で英語を使う際には、広範な日常英会話よりも、使用場面が限定されたビジネス特有の表現や、自分の専門分野に特化した語彙の習得が、より直接的で効率的な成果につながると考えられていることを示しています。
- ミーティングで意見を求める「What are your thoughts on this?」(これについてどう思われますか?)
- スケジュールを確認する「Could we schedule a follow-up meeting?」(フォローアップの打ち合わせを設定できますか?)
- 進捗報告で使う「We are on track to meet the deadline.」(期限に間に合うように順調に進んでいます。)
現場で経験する失敗例から学ぶ
調査では、業務で英語を使用する際に経験した「失敗や戸惑ったエピソード」についての自由回答も収集されました。それらの多くは、以下の3つのカテゴリーに整理できます。
- 相手の英語が聞き取れなかった
「海外チームとのミーティングでスピードについていけず、聞き返すタイミングを逃した」「癖のある英語が聞き取れず苦労した」といった、実戦ならではのスピードや多様なアクセントへの戸惑いです。 - 言葉が出ず沈黙してしまった
「勉強や練習をしていたのに、本番になると言葉が出てこなかった」「表現の仕方がわからず沈黙してしまった」という、知識はあってもアウトプットができない瞬間に直面する葛藤です。 - 意図やニュアンスが正しく伝わらなかった
「普段仕事で使っている和製英語が通じなかった」「メールでの『本日中』の認識が国によってズレてしまった」など、表現や文化・習慣の違いによるコミュニケーションギャップです。
さらに、これらの伝統的な課題に加えて、AIツールを活用する際の新たな戸惑いも見られました。具体的には、「AIが出力した英文がフォーマルかカジュアルか、文体のニュアンス判断に困った」という声が寄せられています。ツールを便利に使いつつも、最終的な判断は人間が行う必要がある現実が浮き彫りになりました。
これらの失敗談は、単なる恥ずかしい経験ではなく、実務でのコミュニケーションが「聞く」「話す」「伝える」の総合力であることを示す貴重な事例です。
読者の英語学習に活かすための考察とアドバイス



調査結果を踏まえると、社会人がビジネスで使える英語力を身につけるためには、「インプット」と「対人アウトプット」を効果的に組み合わせる学習サイクルが重要であることがわかります。多くの学習者が複数の学習法を試し、書籍やアプリで基礎を固めつつ、オンライン英会話などの実践の場を設けているのは、このバランスが結果につながることを経験的に知っているからでしょう。遠回りと感じられた資格対策中心の学習から、実践的なコミュニケーション能力の養成へと、学習の軸をシフトさせることが成功の鍵です。
書籍や学習アプリを用いた基礎固め(インプット)と、オンライン英会話等での実践練習(アウトプット)を組み合わせる学習法を「ハイブリッド学習」と呼ぶことがあります。この方法の最大の利点は、学んだ知識をすぐに使って試せる「学びの即時性」にあります。文法や単語を覚えても、実際に口に出す機会がなければ定着しにくいもの。一方、実践練習だけでは基礎が不安定になりがちです。両者を交互に繰り返すことで、知識と運用能力が同時に育まれ、調査で示された「精神的障壁」も、小さな成功体験を積み重ねることで乗り越えやすくなります。
「インプット」と「対人アウトプット」のバランスが重要
調査では、学習のスタート地点として「書籍」や「アプリ」を選ぶ人が多い一方で、最も効果的だった学習法の1位は「対人での実践学習」でした。これは、学習の初期段階から、インプットとアウトプットのループを意図的に作ることが有効であることを示唆しています。例えば、学習アプリで新しい表現を学んだら、その週のオンライン英会話レッスンで必ず使ってみる。うまく伝わらなくても、講師からフィードバックをもらい、次に活かす。この小さな成功と修正の繰り返しが、実践への自信につながります。
ビジネス英語習得の実践的なステップとは
学習のゴールを「TOEICで800点取ること」から、「次回の海外チームとの会議で、自分の意見を一言は発言すること」といった具体的な業務目標に置き換えます。調査で現場で最も必要とされたのは「完璧な英語力」ではなく「シンプルに意図を伝える力」でした。目標を変えることで、学習の焦点も自然と実用的なコミュニケーションスキルへと移行します。
日常会話の全てをカバーしようとするのではなく、自分の仕事で頻繁に使うシーンに絞って学習します。調査でも「ビジネスシーンでの定番の型」や「業務・業界の専門用語」の習得が成果につながるとされています。例えば、プレゼンテーション、メールの書き方、会議での同意・反対の表明など、使用頻度の高いパターンを優先的にマスターしましょう。
インプット学習だけに偏らないよう、週に1回でも対面やオンラインでの英会話レッスン、言語交換の機会をスケジュールに組み込みます。ここでは、ステップ2で学んだ「型」を実際に使い、間違いを恐れず発言する練習をします。聞き取れなかった場合は、焦らず「Could you say that again, please?」と聞き返す習慣もここで身につけます。
発音や表現がネイティブのようでなくても、意思疎通ができればそれで十分です。実践の場では、相手に伝わったかどうかを最優先にし、もし誤解があれば、どの表現が適切だったかを学ぶ機会と捉えます。調査で示された「ネイティブのように話す必要はないと気づくこと」は、心理的なプレッシャーを軽減し、学習を持続させる重要な気づきです。
関連リンク










