2026年8月5日、名古屋商科大学は、国際学部のスチュアート・ワリントン教授による実践的な英語授業「ENGLISH INTERMEDIATE 600 S」を実施したと発表しました。この授業では、オンライン注文の荷物が届かないという実生活で起こりうるトラブルを題材に、英会話で不可欠な文法の一つである能動態と受動態の使い分けを学びました。
実生活のトラブルを題材に、受動態の本質を学ぶ

この科目の目的は、海外での生活や学びに活かせる実践的な英語力を4技能(読む・書く・聞く・話す)を通じて身につけることです。受講生の約70%は、同大学の海外留学プログラムの経験者または参加予定者で、より実践的な英語運用能力を求めています。
科目名: ENGLISH INTERMEDIATE 600 S
講師: スチュアート・ワリントン教授(30年以上の英語教育経験)
対象: 国際学部生
実施日: 2026年7月21日(火)
特徴: アクティブ・ラーニング形式、ネイティブスピーカーによるオールイングリッシュ授業
アクティブ・ラーニングで文法を体感
授業ではまず、能動態で書かれた文を受動態に書き換える課題が出されました。ワリントン教授は、単に文法ルールを説明するのではなく、「能動態は『誰(Who)』が重要で、受動態は『行動(Action)』が重要」と、両者の本質的な焦点の違いを明確に提示しました。この指摘により、学生は受動態が「行為者を強調せず、行為そのものや対象に注目させる表現」であることを理解できたのです。
- 題材: オンラインで注文した荷物が届かないトラブル
- 学習方法: ペアやグループで話し合い、答えをホワイトボードに記入
- 学ぶ内容: 現在形だけでなく、過去進行形など複雑な時制を含む受動態表現
能動態と受動態の焦点の違いを明確化
この区別は、英語で情報を正確に伝え、受け取る上で極めて重要です。例えば、能動態の「The company delivered the package.(会社が荷物を配達した)」では「会社」が主役です。一方、受動態の「The package was delivered by the company.(荷物は会社によって配達された)」では、話の中心は「荷物が配達された」という事実そのものに移ります。実際の会話やビジネスメールでは、この「何を話題の中心に据えるか」の判断がコミュニケーションの質を左右します。
受動態は、行為者よりも行為やその対象にスポットライトを当てたい時に使う表現です。状況説明や問題報告の場面で非常に役立ちます。
文法の理解を確認した後は、いよいよ実際の会話を聞き取る応用段階に移ります。授業では、オンラインで注文した商品が届かないというトラブル解決の電話会話を教材に、通常のネイティブスピーカーの会話速度でリスニングを行いました。学生たちは、過去形や現在完了形、そして受動態が自然に混ざり合った生のやり取りに挑戦します。
実践的なリスニング課題に挑戦, 動詞と時制の正確な聞き取りが鍵
ワリントン教授が用意したのは、コールセンターのオペレーターと利用者との電話会話の音声です。学生たちは、音声を聴きながら、プリントの空欄に入るべき動詞の形を書き込んでいきます。この課題の狙いは、単に単語を聞き取るだけでなく、その動詞が能動態なのか受動態なのか、そしてどの時制で使われているのかを瞬時に判断する力を養うことでした。
ネイティブスピーカー同士の自然なトラブル会話を、通常の会話速度で聴きます。過去形や現在完了形など、さまざまな時制の受動態が登場します。
プリントの空欄に、聞き取った動詞の正しい形を書き込みます。教授は「まず、その動詞が能動態か受動態かを考えよう」と問いかけ、学生の解答を導きました。
特に、受動態の形成に不可欠でありながら強く発音されない「be動詞」の聞き取りに注意を払います。これが正確に聞き取れるかが、文全体の意味理解のカギとなります。
ワリントン教授は、この訓練を通じて、英語の意味を正確に理解するためには「動詞」とその「時制」が最も重要であると指導しています。文法知識を、実際の音声の中で活用する経験が、実践的なリスニング力の向上につながります。
文法を「使える英語」に変える、効果的な学習法とは



英文法の学習は、多くの学習者が直面する壁です。規則を暗記し、例文を書き換える練習に終始しがちで、実際の会話やリスニングでとっさに使いこなせないというジレンマを抱える人も少なくありません。名古屋商科大学の授業が示すのは、その打開策です。文脈のない単純な例文ではなく、オンライン注文のトラブル解決という具体的な場面の中で文法を学ぶことが、記憶の定着と応用力の向上にどのように寄与するのかを見ていきます。
文脈の中での文法学習のメリット
この授業では、文法の解説は「問題を解くための手段」ではなく、「状況を伝えるための道具」として位置づけられました。例えば「荷物が届かない」という状況を説明する時、届けられる側の「荷物」が主語となる受動態が自然に使われます。文脈の中で「なぜ受動態を使うのか」を体感することで、単なる形式の変換を超えた、意味に基づいた文法運用能力が養われます。
- 文法規則が抽象的な知識ではなく、具体的な場面と結びついて記憶される。
- リスニングにおいて、文脈から動詞の形(能動態か受動態か)を予測する力がつく。
- TOEICや英検などの資格試験でも、長文読解やリスニングパートでの理解度が向上する。
実際の会話では、過去形、現在完了形、受動態が混在します。この授業で扱われた「コールセンターとの電話」というシチュエーションは、まさにその複合的な文法運用が求められる場面です。生の音声を聞きながら空欄を埋める課題は、強く発音されないBe動詞などにも注意を払う訓練となり、試験対策だけでなく、実生活でのコミュニケーション力の土台を築きます。
ネイティブ教員による授業の効果
この授業のもう一つの特徴は、ネイティブスピーカーの教員が全て英語で授業を進めることです。この環境は、単に「教えてもらう」以上の大きな学習効果を生み出しています。授業を受けた学生からは、以下のような声が聞かれました。
「数多くの新しい単語を学ぶので、英語の語彙が自然と身についた」「ネイティブの先生が全て英語で授業するため、英語を聞き取れるように耳が慣れました」
これは、「英語を学ぶ」状態から「英語で学ぶ」状態へのシフトを示しています。文法解説も指示もすべて英語で行われる環境に身を置くことで、学習者は否応なしに英語のシャワーを浴び、リスニング力が自然に鍛えられると同時に、英語への心理的ハードルも下がります。語彙も、単語帳で暗記するのではなく、トラブル解決の具体的な文脈の中で出会い、使うことで「生きた言葉」として定着していったのです。
英語学習者向けヒント:日常で受動態を意識・練習する方法
文法を理解しても、実際の場面で使いこなせなければ「使える英語」にはなりません。名古屋商科大学の授業のように、具体的なシーンを通じて学ぶことは非常に効果的です。授業から得られるヒントを参考に、日常の中で受動態を意識し、練習する方法を紹介します。
身の回りの英語を観察する
受動態は、ニュース記事や商品説明書、公共の案内表示など、私たちの身の回りに溢れています。学習の第一歩は、「be動詞+過去分詞」の形を探す目を養うことです。例えば、ネットショッピングサイトの注文履歴ページには、「The order was shipped yesterday.(注文は昨日発送されました)」といった表現がよく使われています。こうした実在する英文に触れることで、受動態がどのような文脈で使われるのかを体感できます。
英文を読む際に、受動態が使われている文に印をつけてみましょう。なぜ能動態ではなく受動態が選ばれているのか、その理由を考えることで理解が深まります。
能動態と受動態を書き換えてみる
基礎力を固めるには、能動態と受動態を相互に書き換える練習が欠かせません。授業でも行われたこのトレーニングは、主語と目的語の関係、時制の一致を正確に理解するのに役立ちます。まずはシンプルな文から始め、慣れてきたら過去進行形や現在完了形など、複雑な時制を含む文に挑戦してみましょう。
- 日常の出来事を、あえて受動態を使って日記やSNSに書いてみる。
- リスニングでは、弱く発音されがちなbe動詞(was, were, beenなど)と、それに続く過去分詞の音のパターンに耳を澄ませる。
- オンラインの学習アプリや練習問題で、習った表現を繰り返しアウトプットする。
文法は、実際に使ってみて初めて自分のものになります。トラブル解決の場面に限らず、日常のあらゆるシーンを想定して、「この状況なら受動態でどう表現するか?」と自問自答する習慣をつけることが、応用力を高める近道です。
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