翻訳ツールや会話を支援するAIが身近になる中、英語学習や留学に対する価値観はどのように変化しているのでしょうか。ある留学支援サービスを提供する会社が2026年8月19日に発表した調査によると、生成AIを日常的に利用する若者の多くが、英語力の必要性や留学の価値を依然として高く評価していることが明らかになりました。
調査の背景と概要

AIが身近になる中での調査目的
近年、文章作成や翻訳を支援する生成AIの利用が広がっています。このようなツールが普及することで、英語を学ぶ必要性や海外留学の価値に対する考え方に変化が生じている可能性があります。今回の調査は、AIを日常的に利用している高校生・大学生が、AI時代における「生の英語力」や「リアルな留学体験」をどのように捉えているのか、その意識を明らかにするために実施されました。
調査の基本データ
調査は2026年8月、全国の高校生・大学生300名を対象にインターネットで行われました。回答者の90.0%が生成AIを「月に数回以上」利用しており、AIを身近に感じる層の意識が反映された結果となっています。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国の高校生・大学生
- 回答数:300人
- 調査実施期間:2026年8月13日〜8月17日
- AI利用率:回答者の90.0%が生成AIを「月に数回以上」利用
AI時代でも変わらない英語力への高い評価



調査で明らかになった最も注目すべき点は、生成AIを日常的に利用する若者の86.3%が、今もなお英語力そのものを「必要」と考えていることです。これは、回答者の90.0%が生成AIを月に数回以上利用しているという背景を踏まえると、非常に示唆に富む結果と言えるでしょう。
AIの翻訳・会話支援機能が身近になったことで、英語学習のモチベーションは下がるどころか、逆に高まっていることがわかりました。調査によると、AIの普及によって以前より英語を学びたいと思った学生は55.0%に上りました。
- 英語力が「必要」と回答:86.3%
- AI普及で「以前より勉強したい」:55.0%
- 学習意欲が「低下した」層:6.3%(少数)
約9割が「英語力は必要」と回答、AIが学習意欲を高める可能性も
なぜAIが普及しても英語力への評価が高いのでしょうか。一つの考え方は、AIを効果的に使いこなすためには、その基礎となる英語力が不可欠だというものです。AI翻訳の精度は高いものの、微妙なニュアンスや文脈を正確に理解し、正しい指示を出すには、ある程度の英語理解力が必要です。
また、英語学習意欲が高まった学生(55.0%)の背景には、AIによって英語学習の世界が広がり、より効率的に学べる可能性を感じていることがあるかもしれません。一方で、学習意欲が変わらない(38.7%)学生も多く、AIは学習の補助ツールとして捉えられ、英語力そのものの重要性は普遍的なものと認識されていると言えそうです。
この結果は、英語学習者にとって励みになる情報でしょう。テクノロジーの進化が英語学習の必要性を否定するのではなく、むしろ、生きたコミュニケーション能力の重要性を浮き彫りにしているのです。
留学の価値は「現地体験」にあり



翻訳ツールが発達しても、多くの若者は海外留学そのものに大きな価値を見出しています。調査では、生成AIが存在する現在でも、84.3%の高校生・大学生が留学に「価値がある」と考えていることが明らかになりました。留学を肯定的に捉える学生の割合は非常に高いと言えるでしょう。
では、なぜ彼らは留学に価値を感じるのでしょうか。その理由を尋ねたところ、「現地でしかできない経験がある」と答えた人が60.9%で最も多くなりました。これに続くのは「異文化交流ができる」(44.3%)、「コミュニケーション能力が身につく」(42.3%)という回答です。多くの学生が、オンラインやAIでは得られない「生の経験」や「人との直接的な関わり」に、留学の本質的な魅力を見出していることがわかります。
- 現地でしかできない経験がある (60.9%)
- 異文化交流ができる (44.3%)
- コミュニケーション能力が身につく (42.3%)
- 英語を実際に使う環境だから (32.4%)
- AIでは体験は代替できない (23.7%)
これらの結果から、留学の価値は単に「英語を学ぶ場」としてだけではなく、異なる文化の中での生活体験や、生身の人間との交流を通じた成長の機会として捉えられていることがわかります。テクノロジーが発達しても、教室の外にある世界を肌で感じ、自分自身で問題を解決する経験は、貴重な財産となるのです。
留学は言語学習の手段であると同時に、異文化理解や人間関係構築力を育む「人間力」を養う場としても、若い世代に強く支持されています。
AIでは代替できない英語力の本質とは



調査結果は、翻訳ツールがどれほど進化しようとも、深く求められる英語力の本質が「人と人との関わり合い」にあることを示しています。高校生・大学生が考える「AIでは代替できない英語力」として最も多く挙げられたのは、「コミュニケーション能力」で、57.0%に上りました。これは単なる会話スキルを超えて、相手の感情や意図を読み取り、信頼関係を構築する力が、AIには難しいと認識されているためでしょう。
また、約9割の学生が、何らかのAIでは代替しにくい英語力があると考えていることも注目されます。続けて挙げられたのは「会話力」(33.7%)、「友人づくり」(30.7%)、「異文化理解」(28.3%)でした。「異文化理解」が上位に入っている点は、単語や文法の知識だけでなく、文化的背景を踏まえた柔軟な対応力への期待の表れと言えます。
| AIが得意な領域 | 人間に求められる領域 |
|---|---|
| 翻訳 | コミュニケーション能力 |
| 文法チェック | 会話力 |
| 定型文作成 | 友人づくり |
| 情報収集 | 異文化理解 |
上記の表が示す通り、生成AIは正確な翻訳や英文作成という「作業」を効率化できます。しかし、臨機応変な会話を重ねて互いを理解し合い、異なる価値観を受け入れながら関係を深めていく「経験」は、依然として人間にしかできない領域です。この調査は、技術が進歩するほど、人間ならではの「生きた英語力」の価値が相対的に高まっている可能性を示唆しています。
AIを単なる「翻訳ツール」と捉えるのではなく、「会話の準備や復習を効率化する学習パートナー」として活用しましょう。例えば、AIで表現のバリエーションを調べた上で、実際の人との会話で試すことで、より実践的で深みのあるコミュニケーション能力が育まれます。
AI時代の英語学習者への提言
調査結果が示すように、たとえ翻訳ツールが進化しても、英語学習と留学に価値を見出す若者は大勢います。では、英語学習者として、このAI時代をどう乗り切り、どう学べば良いのでしょうか。大切なのは、AIを「敵」ではなく「味方」として活用しつつ、AIでは得られない「人間ならではの力」を磨くバランスです。
調査で多くの学生がAIでは代替できないと答えたのは「コミュニケーション能力」でした。これは、文法や単語の知識だけでなく、相手の意図を汲み取り、信頼関係を築く力です。また、留学の価値として「現地でしかできない経験」が最も多く挙げられました。つまり、知識のインプットや翻訳作業はAIに任せ、学習の重点は「人と関わる力」と「実体験」にシフトすることが、これからの効果的な学び方と言えるでしょう。
AIを「敵」ではなく「味方」と捉える
まず、AIを単なる翻訳機ではなく、学習を効率化する強力なパートナーとして活用しましょう。例えば、英作文の添削、語彙の提案、発音チェックなど、AIは24時間あなたの個人チューターとして機能します。これにより、従来なら時間がかかった基礎的な反復練習や間違いの修正を短時間でこなせるようになり、より高度なアウトプットの練習に時間を割くことが可能になります。
ただし、注意点もあります。AIに頼りすぎて「自分で考え、表現する力」が衰えないようにする必要があります。AIが提案する表現をそのまま受け入れるのではなく、「なぜこの表現が適切なのか?」「他に言い方はないか?」と常に問いかけ、自分の言葉として消化するプロセスが大切です。
アウトプットと実体験を重視する学習を
AIが得意なインプットや翻訳作業を補助してもらう代わりに、学習者はより「アウトプット」と「実体験」の機会を積極的に作り出すべきです。調査で留学に価値を見いだす理由が「現地体験」や「異文化交流」だったように、生のコミュニケーションを通じて得られる気づきや感情は、AIを通しては得難いものです。
言語交換アプリなどを利用し、世界中のネイティブスピーカーや学習者と実際に会話する機会を設けましょう。AIによる事前準備は有効ですが、本番の会話では相手の反応やニュアンスを直接感じ取る訓練になります。
身近なところから始めましょう。地域の国際交流イベントに参加したり、海外の映画やドラマを字幕付きで観て文化の背景を学んだりするだけでも、異文化理解の第一歩となります。
本格的な長期留学が難しくても、短期の語学留学やオンラインで現地のクラスに参加するプログラムなど、選択肢は増えています。大切なのは、「英語を使わざるを得ない環境」に身を置き、調査で言う「現地でしかできない経験」に近いものを得ることです。
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